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中等部4年編
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しおりを挟むテストが終わった後、ルーカスはセドリックの元へ行き、ある相談をしていた。
「ウィル兄さん達には内緒にしていて欲しいのだけど、リヴの方から、誘ってもらう方法はないかな? いつも僕から誘うから……」
「不安になったんだ?」
その問い掛けにルーカスはこくりと頷いた。
「それならば、良い方法があるよ。ルーはいつも通り友人達や後輩達と仲良く過していればいい。けれどその間、ルーから誘うのはだめだよ」
「それだけで良いのかい?」
「うん。リヴのルーに対する独占欲と嫉妬心はこの世で1番高いからね。あ、でも、もしかしたら怒りに任せてリヴがルーを無理矢理襲うかもしれない……、、余計なお世話だったね」
セドリックの言葉にルーカスは少し考えたあと、柔らかい表情をする。
リヴならば、無理矢理にされてもかまわない。
その日からルーカスはより一層友人達や後輩達と親しげに接した。するとセドリックの言葉通り、リヴァイは嫉妬心を見せる。
(……いつにも増して距離が近くないか? 何故他の奴らにまでそんな風に接するんだ。私だけで良いだろ)
そして剣術大会が終わると、ルーカス達はムハンマドの屋敷で過ごし、振替の休日が終わり火の曜日に寮へと戻って来る。
ルーカスが授業を受け終えると、側近を連れいつものように生徒会室へ向かう。
「おーい、ルーカス! ノート返すぜ」
「もう良いのかい?」
ルーカスの授業のノートを借りていたフランクがギャレットとマルセルを連れて廊下まで出て急いで近付いてきた。
「おう。もうちょっとで長期休暇に入んのに、勉強のことなんか考えたくねぇからな。ありがとな」
そう言ってフランクはルーカスの頭をワシワシと少し強めに撫でる。
「わあ、、! もう、髪がぐちゃぐちゃになるから強く撫でないでよ」
「結い直せば良いだろ。じゃあな」
そう言うとフランクはギャレット達と教室に戻って行く。
「フランクってば、本当に怖いもの知らずだよね」
「ノア様の顔、怖すぎて見てらんねぇよ」
「お待たせ、生徒会室に向かおうか」
「はい」
ルーカスは今度こそ生徒会室へ向かった。
(……明日は水の曜日だ。テストも剣術大会も終わった。あまり嫉妬ばかりしていると、殿下を困らせる事になる。落ち着け)
リヴァイはそうやって自分に言い聞かせる。
しかし、翌日の夜。ルーカスは一向に誘ってくる様子はなく、就寝の準備をしてベッドに入ってしまった。
「おやすみ、リヴ」
「……おやすみなさいませ」
(今日は気分じゃなかったのか? それとも……私に、飽きたのか……? だから、他の奴らとあんなに親しく……くそっ、まだ、殿下から何か言われた訳では無い。まだ……)
翌日、リヴァイは務めて平然を装った。しかしそれはルーカスにいとも簡単に破られる。
けれどルーカスはリヴァイにどうしたのかと尋ねることはしなかった。理由はわかっているし、自身が原因である事も分かっている。
その日の放課後、生徒会が終わるとルーカスはセドリックの元へ行く。
「((ヒソッ…ねえ、セドリック。やはりリヴに嫉妬させるのは辞めようと思うのだけど」
「何かあったのかい?」
「リヴに申し訳なくて。落ち込んでいるみたいだし、それに、これからはリヴから先に言葉で伝えてくれると言ってくれたから。欲張り、かなと思って……」
ルーカスは少し後ろめたそうにセドリックの質問に答えた。するとセドリックは優しく笑って言う。
「欲張りじゃないよ。リヴは自分から愛情表現をし無さすぎなんだよ。これは使いたくなかったんだけど、一撃でリヴから誘わせる方法があるよ」
「え……?」
そう言いセドリックはルーカスに耳打ちする。
「((コソッ…私の方に顔を向けて、目を瞑って」
「? こう……?」
ルーカスは不思議そうにしながらもセドリックの言う通りにする。
「そう。それでうの口をするんだ」
うの口……こうかな?
「そのままじっとしていてね。……ルー、可愛いね」
セドリックは声を大きくしてルーカスを褒めると、彼の頬に優しく触れた。
「え、、わあ!?」
すると2人の間に、リヴァイが険しい表情をして割って入った。
「セドリック、貴様、なんのつもりだ!」
え、リヴ、凄く怒っている。どうして……??
「ルー、作戦はバッチリだったね」
セドリックは満足そうに悪い笑みを浮かべて、リヴァイの後ろで困惑しているルーカスにそう言った。
リヴは何に怒ったんだろう……?
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