転生皇子の新生活 高等部編

𝐍 𝐢 𝐚🐾

文字の大きさ
上 下
35 / 105
中等部4年編

30

しおりを挟む


 テストが終わった後、ルーカスはセドリックの元へ行き、ある相談をしていた。


「ウィル兄さん達には内緒にしていて欲しいのだけど、リヴの方から、誘ってもらう方法はないかな? いつも僕から誘うから……」


「不安になったんだ?」


 その問い掛けにルーカスはこくりと頷いた。


「それならば、良い方法があるよ。ルーはいつも通り友人達や後輩達と仲良く過していればいい。けれどその間、ルーから誘うのはだめだよ」


「それだけで良いのかい?」


「うん。リヴのルーに対する独占欲と嫉妬心はこの世で1番高いからね。あ、でも、もしかしたら怒りに任せてリヴがルーを無理矢理襲うかもしれない……、、余計なお世話だったね」


 セドリックの言葉にルーカスは少し考えたあと、柔らかい表情をする。


 リヴならば、無理矢理にされてもかまわない。




 その日からルーカスはより一層友人達や後輩達と親しげに接した。するとセドリックの言葉通り、リヴァイは嫉妬心を見せる。



(……いつにも増して距離が近くないか? 何故他の奴らにまでそんな風に接するんだ。私だけで良いだろ)



 そして剣術大会が終わると、ルーカス達はムハンマドの屋敷で過ごし、振替の休日が終わり火の曜日に寮へと戻って来る。
 ルーカスが授業を受け終えると、側近を連れいつものように生徒会室へ向かう。


「おーい、ルーカス! ノート返すぜ」


「もう良いのかい?」


 ルーカスの授業のノートを借りていたフランクがギャレットとマルセルを連れて廊下まで出て急いで近付いてきた。


「おう。もうちょっとで長期休暇に入んのに、勉強のことなんか考えたくねぇからな。ありがとな」


 そう言ってフランクはルーカスの頭をワシワシと少し強めに撫でる。


「わあ、、! もう、髪がぐちゃぐちゃになるから強く撫でないでよ」


「結い直せば良いだろ。じゃあな」


 そう言うとフランクはギャレット達と教室に戻って行く。


「フランクってば、本当に怖いもの知らずだよね」


「ノア様の顔、怖すぎて見てらんねぇよ」




「お待たせ、生徒会室に向かおうか」


「はい」


 ルーカスは今度こそ生徒会室へ向かった。


(……明日は水の曜日だ。テストも剣術大会も終わった。あまり嫉妬ばかりしていると、殿下を困らせる事になる。落ち着け)


 リヴァイはそうやって自分に言い聞かせる。



 しかし、翌日の夜。ルーカスは一向に誘ってくる様子はなく、就寝の準備をしてベッドに入ってしまった。


「おやすみ、リヴ」


「……おやすみなさいませ」


(今日は気分じゃなかったのか? それとも……私に、飽きたのか……? だから、他の奴らとあんなに親しく……くそっ、まだ、殿下から何か言われた訳では無い。まだ……)




 翌日、リヴァイは務めて平然を装った。しかしそれはルーカスにいとも簡単に破られる。

 けれどルーカスはリヴァイにどうしたのかと尋ねることはしなかった。理由はわかっているし、自身が原因である事も分かっている。


 その日の放課後、生徒会が終わるとルーカスはセドリックの元へ行く。


「((ヒソッ…ねえ、セドリック。やはりリヴに嫉妬させるのは辞めようと思うのだけど」


「何かあったのかい?」


「リヴに申し訳なくて。落ち込んでいるみたいだし、それに、これからはリヴから先に言葉で伝えてくれると言ってくれたから。欲張り、かなと思って……」


 ルーカスは少し後ろめたそうにセドリックの質問に答えた。するとセドリックは優しく笑って言う。


「欲張りじゃないよ。リヴは自分から愛情表現をし無さすぎなんだよ。これは使いたくなかったんだけど、一撃でリヴから誘わせる方法があるよ」


「え……?」


 そう言いセドリックはルーカスに耳打ちする。


「((コソッ…私の方に顔を向けて、目を瞑って」


「? こう……?」


 ルーカスは不思議そうにしながらもセドリックの言う通りにする。


「そう。それでうの口をするんだ」


 うの口……こうかな?


「そのままじっとしていてね。……ルー、可愛いね」


 セドリックは声を大きくしてルーカスを褒めると、彼の頬に優しく触れた。


「え、、わあ!?」


 すると2人の間に、リヴァイが険しい表情をして割って入った。


「セドリック、貴様、なんのつもりだ!」


 え、リヴ、凄く怒っている。どうして……??


「ルー、作戦はバッチリだったね」


 セドリックは満足そうに悪い笑みを浮かべて、リヴァイの後ろで困惑しているルーカスにそう言った。


 リヴは何に怒ったんだろう……?





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

王道学園なのに、王道じゃない!!

主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。 レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ‪‪.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...