転生皇子の新生活 高等部編

𝐍 𝐢 𝐚🐾

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中等部4年編

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「テオ殿下、申し訳ございません。想像以上に材料集めに時間が掛かってしまいお渡しするのが遅くなってしまいました」


 あれからひと月と少し経ち、3の月28の日、ルーカスが授業を終えてムハンマドの別邸に帰ると、メディソンがルーカスの部屋へ精力剤を持ってやってきた。


「いや、突然頼んだのはこちらだからね。ありがとう」


「この薬は効果がとても強いので、ご使用する際はお気をつけ下さい」


 精力剤はいくつかの小瓶の中に分けて入れられている。1度の使用で小瓶1つが目安だそうだ。


「目安はあくまで目安です。人によって効果の出る分量が変わってきます。1瓶も飲めない方もいれば、足りない方もおられます。なので少しずつお飲み下さい」


「足りなかった者は2瓶目も開けるのかい?」


「はい。ですが、これまでの記録上、どんな方でも3瓶までで効果が現れました。3瓶飲んでも効果が現れなかった場合は……」


「僕には精力剤が効かないという事だね。分かった。3瓶以上飲むことはしないから、安心して」


 ルーカスの言葉を信用し、メディソンは真剣な表情で頷くと部屋を後にした。


 3瓶か……。


 ルーカスは精力剤の小瓶の入った箱を見て少し不安そうな表情をする。


 もうすぐテストと剣術大会がある。一先ずこれは亜空間に閉まっておこう。


 ルーカスはリヴァイに知られないよう、精力剤を亜空間に入れ厳重に保管した。




 それからルーカスは3週間後のテストに向けて友人達と勉学に励み、リヴァイに剣術の鍛錬にも付き合ってもらい過ごす。


「おい、テオ。これどうやって解くんだよ」


「問題、難しくなり過ぎだよな~」


「ふふふ、ルーが簡単に満点を取ってしまうので、教員の方々は躍起になっておられるのでしょうね」


「ルナも歴代の最高得点を楽々と超えてんだろ」


 ルーカスの演技が終わり、外でのソフィアとの距離感も気にする必要が無くなった。その為ルーカスとソフィアはもちろんの事、フランク達やソフィアやナタリー達の距離感もぐんと近くなっていた。


「あら、そんなことはございませんわ。お兄様達の点数を超えるのにはいつも苦労しておりますもの。ルーが教えてくれるおかげでなんとか越えられているのですよ」


「ほんとかよ」


 ソフィアの言葉に、フランクは疑わしげにそう言った。


「そういや、エラ皇女も毎回首席なんだろ? 5人もいて全員優秀で仲も良いし、今世代の皇子皇女は規格外だって父上達が驚いてたぞ」


「ふふふ、リリーは自慢の妹だからね」


「ええ、凄く可愛くて賢くて私達の天使ですから」


 フランクが驚きながら言うと、ルーカスとソフィアのシスコンぶりに皆は少し苦笑いをしたのだった。




 そしてテスト当日の4の月17の日の朝、ルーカスは学園に行く準備をする。


「本日は座学のテストですので、私達は別室で待機しております。ですが、何かあれば直ぐに駆け付けますのでご安心下さい」


 座学のテストの日は、不正防止の為側近達は別室で待機となる。ルーカスはキャサリンの共鳴の魔法で常に連絡を取れるようにしているが、この日だけはそれも解除することになっている。

 その為リヴァイは毎度酷く心配そうな表情でルーカスを案じている。


「安心して、リヴ。何かあればこちらで対処するから。それに君達も直ぐに来てくれると信じているから。大丈夫、今回も何も起こらないよ」


「……はい。応援しております」


「うん、ありがとう。リヴ、愛しているよ」


「私も、愛しております」


 リヴァイの返答に、ルーカスは嬉しそうに微笑んだ。




 その後2日間のテストは無事何事もなく終了した。19の日にはテストの結果が掲示されていた。


「流石です、ルーカス様!」


「ルーカスはまた満点かよ」


「ヨハン達もまた点数が伸びたね」


 掲示板を見ると、ヨハンが嬉しそうにし、フランクが驚き疲れたようにそう言った。


「殿下、おめでとうございます」


「ありがとう、リヴ。そうだ、君から何かご褒美が欲しいな」


「ご褒美、ですか……?」


「うん」


 ルーカスが少し悪戯な笑みでそう言うと、リヴァイは戸惑いながら考えた。


 ふふふ、何をくれるかな。剣術の相手かな、それともハグやキスかな。


 ルーカスはわくわくしながら期待の眼差しでリヴァイを見つめた。

 するとリヴァイはルーカスに向けて手を伸ばした。


「……流石です、殿下」


 そう言ってリヴァイはルーカスの頭をぽんぽんと撫でた。その行動にルーカスは目を見開き驚いて、呆然とする。


「、すみません。やはりこんなものではご褒美には……」


「あぁ、どうして君は、こんなにも可愛いんだい?」


 ルーカスは引こうとするリヴァイの腕を掴む。そしてこれでもかと言うほどに口角を上げ、ギラついた瞳でリヴァイを見つめそう言った。するとリヴァイはその瞳に囚われたように、動けなくなってしまう。


 頭を撫でる行為は、よくルーカスがリリアンやレイア、そして後輩達を褒める時にやっている。そしてリヴァイの頭も良く撫でていた。

 公爵子息のリヴァイの頭を撫でる者など、ルーカスくらいのはず。両親や祖父母達も彼を褒める時は言葉でのみであった。
 それでもルーカスへのご褒美に思い付いたのが、頭を撫でる事だということは、余程ルーカスに撫でてもらう事を嬉しく思っていたのだろう。


 それに気付いたルーカスはどうしようも無いほどにリヴァイへの想いが溢れでた。


「ああ、リヴ。愛しているよ。今この瞬間、君をこの世で一番愛しているのは、絶対に僕だ」


 そう言いルーカスはリヴァイに優しい口付けをした。


「……私も、貴方を、この世で一番愛している自信があります」


 耳を真っ赤にして言うその返答に、ルーカスは心底満足そうな表情をリヴァイに向けた。


「はぁぁぁ、本当に見せつけてくれますね」


「ほんとよね。独り身の私達のことも考えてみて下さい」


 アレイルとキャサリンが大変むず痒そうな表情で悪態を着いた。


「ふふふ、ごめんね。気持ちが溢れてしまったようだ。けれど今のは、あんなに可愛いことをしたリヴが悪いよ」


「ルーカス殿下、見てくださいよ。ネオやヒュー達が顔を真っ赤にして見ています」


「あのアールとロニーですら耳を赤くしているんですから」


 ルーカスがそちらに目を向けると、ヨハン達4人は顔を真っ赤にし、フランクとマルセルも恥ずかしそうに顔を背けていた。


「ふふふ、君達は意外と恥ずかしがりなんだね」


「お前に羞恥心が無さすぎるだけだよ!」


 ルーカスの言葉にマルセルが反撃すると、ヨハン達はこれでもかと言うほどに頷き同意した。




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