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中等部4年編
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しおりを挟むあの後、弓術大会は無事に終了する。ルーカスは今年もベスト32で敗退した。
長期休暇に城へ戻ったら、エド兄さんに弓を教えてもらおうかな。
「殿下、お疲れ様でした」
「ありがとう。エイルとキャシーも気をつけて帰ってね」
「はい。お疲れ様でした」
レイアが待っている為、ルーカスとリヴァイは早く帰れるよう既に荷物を亜空間へと仕舞っていた。
馬車の辺りまで行くと、ルーカスはアレイル達に挨拶をして解散する。そしてリヴァイと共にムハンマド家の馬車に乗り込み帰路へ着いた。
馬車がムハンマドの別邸へ到着すると、アルフィーがレイアを抱えて扉の前で待っていた。
「アルフィー、いつも言っているけれど、わざわざ待っておかなくて構わないよ」
「私とレイアが待ちたいだけです。なあレイア」
「うー!」
ルーカスが申し訳なさそうにアルフィーに毎度伝えたが、アルフィーはレイアを理由に一向に譲ろうとしない。
まったく……、アルフィーも忙しいだろうに。
「ただいま、レイア」
「戻った」
「とと、ちう、おきゃり!」
レイアは嬉しそうにおかえりと言うと、ルーカスに抱っこを迫る様に腕を伸ばした。
「お祖父様、ただいま戻りました」
「ああ」
「ごめんね、レイア。弓を引きすぎて腕に力が入らないんだ」
「レイア、こっちに来い」
ルーカスの腕は、ぷるぷると震え弱々しい状態になっている。その為リヴァイが自分の方へ来るようにと腕を伸ばした。
「ちう! ぎゅ?」
「ああ、ぎゅう、だ」
レイアはリヴァイに抱っこをしてくれるのか尋ねると、リヴァイは頷きそう言った。その為レイアはすぐ様リヴァイの方へと腕を伸ばした。
「お主の口からぎゅうなんて聞けるとはな」
その様子にアルフィーが微笑ましそうにしながら言った。
「ルーカス殿下、夕食まで時間があるので、先に湯浴みにされますか? フレデリックもまだかかると思いますので」
「そうだね」
「ぽかぁ?」
アルフィーとルーカスの会話に、レイアが目をきらきらと輝かせて尋ねる。
「ふふふ、そう、ぽかぽかだよ。レイアも一緒に入るかい?」
「う!!」
「殿下、腕は大丈夫なのですか?」
ルーカスがレイアを湯浴みに誘うが、リヴァイが心配そうにそう尋ねる。するとアルフィーが不甲斐なさそうに言う。
「リヴ、お主も共に入れば良かろう。浴室は充分な広さがあるじゃろう」
「レイア、父上も一緒だって」
「ちう、しょっ!」
「……ああ。共に入ってもよろしいですか?」
「もちろん」
リヴァイの不安そうな問いかけに、ルーカスはくすっと微笑んで了承したのだった。
ルーカスとリヴァイがレイアを連れて部屋まで行くと、湯浴みの準備を整え脱衣所に行った。
「レイア、ばんざい出来るかい?」
「殿下、私がやります。レイア、ばんざいだ」
レイアの服を脱がすため、リヴァイは床に立ったレイアの目線にしゃがんだ。そしてレイアに腕をあげさせると、服をぬがしていく。
リヴァイがレイアの事をしてくれている為、ルーカスは自分のことをしようと服のボタンに手を掛けた。しかし思っていた以上に腕が限界だったのか、震える手では中々ボタンを外せない。
嘘……、流石にこれは……。
「…………リヴ」
「はい」
「僕も脱がせて……」
ルーカスが情けなさそうにお願いすると、リヴァイは酷く驚いている。しかしレイアの服を脱がせ終えるとすぐ様ルーカスの服も脱がせてくれる。
「……とと、しょ!!」
その光景を見て、レイアは嬉しそうに一緒だね、と言うが、ルーカスはさらに不甲斐なさを感じたのだった。
「……ありがとう」
「いえ。レイアと先にお入りください」
「分かった。レイア、僕のお手て持って」
ルーカスはレイアと手を繋ぎ、浴室内に入る。
(……レイアもいるのだぞ)
ルーカスはレイアの体を洗うと、急いで自分の体も洗う。
「とと、あわわ!」
「あわあわだね~」
するとすぐにリヴァイも浴室の中へと入ってきた。
「リヴ、少し待ってね」
「急がなくて大丈夫です。レイア、ぷかぷかするか?」
「しゅりゅ~」
そう言うとリヴァイはレイアを浴槽の中に入れる。
「熱くないか?」
「ぽかぁ~」
「くくっ、ぽかぽかだな」
レイアの満足そうな表情に、リヴァイは可笑しそうに笑って言った。
すると体を洗い終えたルーカスが近づいて言う。
「レイア、夕食の後、琴を聞くかい?」
「こと!」
「ふふふ、リヴも聞いてくれるかな?」
「勿論です」
ルーカスが尋ねると、リヴァイも嬉しそうに答えた。
「では、沢山温まって夕食を食べに行こうか」
そう言ってルーカスは浴槽に浸かり、リヴァイも体を洗い終えると、3人仲良くにお湯に浸かったのだった。
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