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中等部4年編
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しおりを挟む「はぁ、兎に角開会の挨拶が終わったらすぐルーカス殿下の所に行って謝ってこい」
「そうよ。何のために私達が参加しているのか分からないじゃない」
「…………ああ」
ウィリアムが壇上に上がり、開会の挨拶が始まると、アレイルとキャサリンによるリヴァイへの説教も漸く終了したのだった。
時は少し遡る。ルーカスが逃げる様にウィリアム達の元へ行くと、そのルーカスの様子に、ウィリアム、セドリック、ノーマン、オーランドの4人は少し驚いた様子だ。
「どうしたんだい、ルーク。そんなに慌てて」
「少し顔が赤いみたいだけど……」
「リヴァイ様達はどうしたんだ?」
皆が立て続けに尋ねるが、ルーカスは誤魔化すように言う。
「リヴが意地悪だから逃げてきた。一緒に居てもいい?」
「ぐはっ!」
「もちろん構わないよ。ただ、ウィルはもうすぐ挨拶があるから行ってしまうよ。私も段下まで付いていくから……」
ルーカスのお願いに悶絶しているウィリアムを他所に、セドリックがそう答えた。
「では私とオーランドがお側におります。ノア様方の護衛には及びませんが、人も多くおりますので問題ないかと」
「そうだな。ま、ルーカス様よりも弱え俺達で護衛になるかは分かんねえけどな」
「そんなことないよ。2人が共に居てくれるのならば心強い。ただ、兄さんの護衛がセドリックだけになるのが申し訳ないよ。僕の事は気にせず……」
「1人で良い。なんて言ったら怒るよ? ノアちゃんを怒らせてくれないのならば、守る事くらいはさせてくれるかい」
ウィリアムは眉を上げて困った表情をしながらルーカスに願った。
「……分かった。ありがとう、ウィル兄さん」
そのウィリアムの願いに、ルーカスは折れて了承する。そしてウィリアムとセドリックが挨拶の準備のためルーカスの元を去っていき、3人だけが残った。
「そう言えば、この組み合わせって珍しいよね」
「確かにウィルなしでルーカス様に会うことってねえもんな」
「そうですね」
初めての組み合わせに、ルーカスは不思議そうにそう言うと、オーランドとノーマンも共感した。しかし元々それぞれで仲が良い為、特に気まずくなることも無く3人は楽しげに談笑をしていく。
「それで、ルーカス様はノア様に何されたんだ? ノア様って意地悪しなそうなんだがな」
「確かに気になりますね。今はウィル殿下もいらっしゃいませんし我々に教えてくださいませんか?」
2人のその言葉に、ルーカスは恥ずかしそうにしながら耳を少し赤くした。
「……絶対に言わない?」
「おう!」
「絶対に言いません」
オーランドとノーマンが固く誓うと、ルーカスは少し小さな声で話し出した。
「……今朝、いつもみたいにリヴに髪をゆって貰ったんだけど、全て結い上げたいと言ったら、……項を見られるのがやだって、跡、付けられた……」
その話を聞き2人は心底驚いた表情になる。
「それをさっき、友人に見られた……」
「跡を!?」
「うわぁ~、そりゃ逃げたくなるわな。ルーカス様、どんまい……」
ノーマンは驚きのあまり固まり、オーランドは不憫そうな目でルーカスを見て励ました。
すると開会の挨拶の準備が出来たようで、壇上にウィリアムが上がっていくのが見える。
ルーカスは話を区切るために2人に向き合って言う。その顔は酷く真っ赤に染まっていた。
「もうこの話はお終い! 絶対に誰にも言わないでね!!」
オーランドとノーマンは物凄く恥ずかしそうなルーカスに、絶対に言わないと約束しこの話を終わらせたのだった。
生徒会長であるウィリアムの開会の言葉が終わり、ウィリアムとセドリックがルーカス達の元へと戻ってきた。
「ウィル兄さん、かっこよかったよ。お疲れ様」
「ありがとう。おや、ソフィ達もこちらに来たみたいだね」
ウィリアムの視線の方へ目を向けると、ソフィア、ティファニー、グレイス、ナタリー、そしてクロエがこちらへ来ているのが見えた。
ソフィア達といつも一緒にいるシエンナは、リリアンの護衛の為に初等部のみのオリエンテーションの方へ参加しており、今日は欠席している。
「あら、ルーもウィルお兄様の所にいたのね」
「リヴ達が見当たらないけれど、どうしたのかしら?」
ソフィアとティファニーがルーカスのみがウィリアムと一緒にいることに気付き、不思議そうにする。
「私にも教えてくれないんだ。けれど、本人がやって来たみたいだからすぐに分かるんじゃないかな?」
今度はリヴァイ達や、ヨハン達がルーカスの元へとやってきた。すると、ルーカスの元へついて早々、リヴァイは彼に向けて頭を下げた。
「申し訳ございませんでした」
「……何に対して? 付けたこと? 見られたこと?」
リヴァイのその謝罪に、ルーカスは拗ねたようにそう返した。
「……貴方の意思を強制的に曲げさせたことです」
その言葉に、ルーカス、アレイル、キャサリンの3人は目を見開いて驚いた。そしてアレイルは頭を抱えため息をつく。
「……跡を付けることは、貴方が許して下さったことです。それに、ネイトに見られたのは、貴方の過失でもあります」
「ちょっと……!」
リヴァイの発言にキャサリンが窘めるように口を開いたが、次の瞬間、リヴァイは酷く拗ねた様にルーカスに言う。
「あなたの髪に触れて良いのは、私だけです……。貴方とダンスを踊るのも、恥ずかしがる貴方を見るのも、全て、私だけが良い」
(((あのリヴ(ノア様)が拗ねてる……!!!)))
「えっ、、ああ、うん……そう、だね」
何この子。可愛すぎではないかな?
リヴァイの嫉妬による破壊力で、ルーカスは嬉しいを通り越し、もはや無表情になってしまう。だがその心の中は、酷くリヴァイを賞賛していた。
「……適当に流さないで下さい」
ルーカスの薄い反応に、リヴァイはまたもや拗ねて言った。するとルーカスは少し考える素振りを見せたあと口を開いた。
「リヴ、僕が他の者達とダンスを踊る理由は分かっているでしょう? 僕が成人して周りの人間がある程度固まるまでは我慢しなさい」
「……はい」
「髪は、元々はモニカの仕事だから、仕事を奪うことは出来ない。けれど、君とモニカ以外には触れさせないと約束しよう。あとは、……恥ずかしがるのは全て君関連の事だから、君が自重しなさい」
ルーカスはそう言って目を逸らす。
リヴァイは自分の為に努力しようとするルーカスに嬉しくなり機嫌が良くなってきた。
「あ、けれど。見える所に跡を付けるのはやだ……。兄さん達や他人にならばまだしも、友人に見られるのは1番恥ずかしいから、万が一にも見られる場所には付けないで……!」
「…………善処します」
「約束してよ」
「よしじゃあ、ルークからの説教も終わった所だし、こちらにおいで、ノアちゃん?」
ルーカスとリヴァイの話し合い?が終わると、すぐ様ウィリアムがにっこり笑顔でそう言うと、リヴァイへの説教第2弾が始まったのだった。
「ヘクター、変なものを見せてごめんね」
「い、いえ……!! ノア様も拗ねることがあるんですね」
「凄く可愛いでしょう?」
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