7 / 105
中等部4年編
2 ※微
しおりを挟む翌日の朝、ルーカスは生徒会役員として入学式に参列する。その為目が覚めると学園に向かう準備をしていた。
すると朝の剣の鍛錬を終えたリヴァイが部屋に戻ってきた。
「おはよう、リヴ」
「おはようございます……」
……少し顔色が悪い?
ルーカスは心配そうに近付き、リヴァイの頬に手を当てた。
「あまり眠れなかったようだね。今日は入学式の一刻程だけだから、護衛はエイルとキャシーに任せて君は部屋で眠っていても構わないよ?」
「、、申し訳ございません。問題はございませんので支度をしてまいります」
「……そうかい?」
リヴァイはルーカスにそう答えると、すぐ様学園に向かう為の準備をし始めた。その後朝の準備が完了しアレイルとキャサリンが迎えに来ると4人は学園へ向かった。
一刻程すると、無事に入学式を終え、昼食を済ませてルーカスとリヴァイは寮の部屋へと戻ってくる。
「今年も生徒会役員が増えると良いね」
「そうですね。殿下の演技も終了し、皆が貴方とお話をしたそうにしておりました。機会を得られる生徒会は、そんな生徒達にとっては好機と言えるでしょう……」
ルーカスがソファに座りそう言うと、リヴァイは2人分の紅茶の準備をしながら、面白くなさそうに言った。
「ふふふ、そうだと良いけれど。……ありがとう」
「いえ」
リヴァイは紅茶をルーカスの前に置き、机を挟んだルーカスの向かい側のソファへと座る。
「……こちらにおいでよ」
ルーカスは自身の隣を指しリヴァイに言う。
「私はこちらで…………」
しかしリヴァイは頑なに動こうとはせず、少し緊張したような気まづそうな雰囲気を纏っている。
……昨日の僕の発言のせいだよね。けれど、最後は楽しそうに僕に意地悪していたくせに……。
「別に取って食べたりしないから、あまり警戒しないで? それに、食べられるのは僕の方でしょう……?」
ルーカスが少し拗ねたようにそう言うと、リヴァイは驚いたように目を見開く。
「……最後までするつもりはございません」
「けれど今日愛される側は僕だ」
「そ、それは、そう、ですが……」
「だからほら、気を張らずにこちらにおいで」
「っ……、分かり、ました」
リヴァイは観念したようにルーカスの隣に移動した。しかしそれでもリヴァイは緊張が解れるどころか、さらに高まった様子だ。
「……殿下と体を重ねる事が嫌なわけではございません。とても嬉しく、光栄な事だと思っております。しかし、漸く貴方に触れられるのです……。加減を忘れ、貴方を傷付けたり、来年までは最後までしないという、陛下とのお約束を違えたりしてしまうのではと……」
リヴァイは酷く不安そうに胸の内を打ち明けた。その不安にはルーカスも気づいていたのだろう。ルーカスはリヴァイの言葉を静かに最後まで聞き終えると、彼の頭を優しく撫でた。
「大丈夫だよ、リヴ。もしも君が暴走してしまっても、必ず僕が止めてあげる。君に触れられても、体も動くし、魔法も神力も使えなくなる事は有り得ないから。だから安心して」
「しかし殿下の筋力では私を退けることは……」
それはそうだろう。ルーカスには同学年のか弱い貴族の女子であっても、抱えられるか分からない程の力しかない。いくらルーカスが、力の使い方が上手く、体術に優れていると言えども、リヴァイに体を抑え込まれては、退けるどころか抵抗すら出来ないはずだ。
するとその言葉を聞いたルーカスは、少し困った表情で言う。
「そうなった場合に、君を魔法で攻撃してでも逃げる事よりも、僕が遠慮してそのまま流されてしまうことの方が、リヴを傷付ける行為だと言うことを僕は分かっているつもりだよ。
僕は、君がどれ程僕を想い、大切にしてくれているのかを知っている」
そう言って真剣な瞳で見つめるルーカスに、リヴァイの不安は一気に晴れた。
「だから安心してよ」
「はい、ありがとうございます」
その後各々する事を済ませると、食堂に夕食を食べに行く。そして食事を終え、ルーカスとリヴァイは部屋に戻ってきた。
「リヴ、今日は一緒に湯浴みをしようか」
「……分かりました」
……いつもならば慌てているのに、今日は素直だね。
ルーカスがそんなふうに思っていると、リヴァイの言った言葉を聴き逃しそうになる。
「どうか、準備は全て私にお任せ下さい」
「え……?」
ルーカスは驚きのあまり呆気に取られ聞き返してしまう。
「準備の仕方は以前お見せ頂きましたので問題はございません。……貴方に、少しでも長く触れていたいのです。それに、準備をする貴方を前に、我慢を出来る自信がございません。どうか、私の我儘を聞き入れていただけないでしょうか?」
「え、、ああ……構わない、よ………」
まさか準備を任せて欲しいと言われるとは思わなかった……。…………本当に、了承して良かったのかな?
ルーカスに少しの不安が過ぎった。
2人は衣服を脱ぎ浴室へ行くと、頭を洗った。そしてルーカスが体を洗おうとすると、突然背中側からリヴァイにお腹に腕を回され、完全に捕まえられてしまう。
「ここからは私が行いますので、シアンは楽にしていて下さい」
そう耳元で囁くリヴァイに、ルーカスの中には、シアンと呼ばれた喜びと、リヴァイの言葉に対する驚きとが織り交ざった。しかしリヴァイは、そんなルーカスを他所に石鹸を泡立て、ルーカスの体を撫でるように手で洗い始める。
指先から順にリヴァイはルーカスの事を洗っていく。腕から肩にかけて泡で撫でると、今度は首や胸を撫でた。
「ま、待って、リヴ……! 僕、自分で洗えるよ……」
今まで性行為に対して羞恥を感じるよりも恐怖を抱き、リヴァイとの触れ合いでも、嬉しさは見せども恥じらいはあまり見せなかった。だが流石のルーカスも、この後に大好きなリヴァイからどの様な事をされるのか想像出来るこの状況で、酷く込み上げてくる羞恥を感じずにはいられなかったようだ。
「ねえリヴ、、お願い……」
「……私に触れられるのは嫌ですか?」
ルーカスが羞恥に悶えながらリヴァイに懇願すると、リヴァイは少し落ち込んだ様子でそう尋ねた。
「ちがっ……! 君に触れられるのは嬉しいけれど……」
「それは良かったです」
ルーカスの返答を聞くと、先程の落ち込みは何処へやら、リヴァイは満足そうな笑みを浮かべて洗うのを再開した。
首を洗う手は、ルーカスの脇腹を撫で、胸を撫でる手は優しく小さな突起へ触れる。
「っ、リヴ、、くすぐったいよ……」
「すみません、少し力を強めます」
「えっ、?」
その言葉通り、リヴァイはルーカスの小さな突起を抓るようにぎゅっと捏ねた。
するとルーカスは少し体をビクつかせ、一気に顔や耳、首までを紅潮させた。
「リヴ、意地悪しないでぇ……」
「……いつも私を揶揄い虐めるのはシアンの方です。なので貴方に仕返しをしようと思いまして」
そう言ってリヴァイはルーカスにピタリとくっ付くように抱きしめた。するとリヴァイの硬くなった陰茎もルーカスの体に当たる。
「本当は今すぐにでもこれを貴方の中に差し込んで、ぐちゃぐちゃに犯したいと思っております」
その艶っぽく情欲に満ちた声色に、ルーカスは心臓が一際大きく跳ね上がり、体に当たるリヴァイの陰茎へと意識が持っていかれてしまう。
「ですが陛下とのお約束がありますので、今はシアンの白く美しい肌を味わおうと……」
うぅ、、そんな風に言われたら……。
32
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説

ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね
ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」
オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。
しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。
その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。
「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」
卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。
見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……?
追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様
悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました
taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件
『穢らわしい娼婦の子供』
『ロクに魔法も使えない出来損ない』
『皇帝になれない無能皇子』
皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。
だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。
毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき……
『なんだあの威力の魔法は…?』
『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』
『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』
そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる