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第1章 法廷のシーメール
03: 蛸蜘蛛屋敷の性転換双子姉妹
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柊医師による大整形手術の結果、男性から女性への変貌は無論のこと、その容姿まで双子の姉妹のようにそっくりにされてしまったAとM。
どちらがどちらなのか、ちょっと見ただけでは区別が難しい程の完成度だったという。
服を脱げば肋骨が透けて見えるほど痩せているのに、妙に乳房だけが立派なのがA。
スレンダーな体つきの中に太い骨格が見て取れるのがM、、、そんな風に、辛うじて骨格上の見分けは、付いたそうなのだが。
その双子の容貌が、また面妖だったという。
彼らは、柊医師の手によって意図的に、「典型的な整形顔」になるように手術されていたのだ。
深い二重まぶたは、日本人離れしており、高く薄い鼻は整い過ぎ、アゴは尖っている。
そしていかにも口紅が旨く乗りそうな唇、安物のクラブホステスやニューハーフにありがちな容貌である。
あるいは、男の欲望が抽出された「オンナの顔」と言って良いのか。
特に、昔はアクション派の男優だったMの彫りの深い顔を思うと、その変容ぶりは、画用紙に書いた男の似顔絵を「オンナの顔」へ、消しゴムを多用して描き直したのではないかと思える程だったらしい。
手術の腫れがほぼ引いたころ、MとAの二人は神室邸内にある美容室まがいの場所に連れて行かれ、同じような髪型化粧を施され、同じスタイルの服を着せられて、彼らの雇い主の前に引き出されていた。
このあたりの裏付けと証言は、他の使用人や出張美容師などへの聞き込みによって完全に取れている。
彼らは、いや彼女らは、その見分けが付けられるようにと、意識的にけばけばしくしたファッションやアクセサリーの色使いを、Aが金色、Mは銀色に、統一されていたという。
しかし元はまったく別人の、しかも男だった二人が、事件当時には「双子の姉妹」であったとは.いかにも面妖な状況だった。
・・・・・・・・・
「我ながら良い出来だ。なあ三平。この二人ならお前と俺で双子姉妹スワッピングもいいな。」
「いや、Mは胃の中までお前のザーメン漬けなんだろ?随分、つまみ食いをしてくれたそうじゃないか、スワッピングは遠慮しておくよ。」
「さて、手始めにAとMで双子レズでも披露してもらおうか?SMじみたのがいいな。」
神室と柊の前に引き出されたAとMは、「こんな事の為に、わざわざ整形手術を、、」と言葉を失い、呆然と立ち尽くした事だろう。
「何かな?この沈黙は。普段、あんなに愛し合っていたんだから、レズの真似事など造作もないことだろ?」
「...」
黙りこくる二人。
彼らの男色の営みは以前からで、その様子は、四六時中、神室の当主・三平によってモニタリングされていた。
それが、彼ら二人を、人生のドンズまりから引き上げる際に、神室が最初に出した条件の一つだったのだ。
そして今も、彼ら、いや彼女らは、雇い主に逆らうわけにはいかない状況に置かれている。
「はい...」
先にAが口を開いた。
「そう、それが当然の返事だ。では、これから君たちの『姉妹の時間』だ。これまで君たちが楽しんで来た例の部屋でSMレズをやってみてくれ。・・壮絶なのをな、ありきたりのものでは私達は満足しない。君たちだって、実はそうしたいんだろう?」
蛸蜘蛛屋敷の異名は、中央に大きな母屋、そこから放射状に様々な家屋が伸びていく神室屋敷の異様な建築様式から来ているが、蛸や蜘蛛がその脚で獲物を取り込んで行く様も同時に表しているのだろう。
実際、地元では何人かの若い女性が行方不明になっている。
「人工双子美女姉妹のSMプレイか。あんたに言われた通り、人工美丸出しで整形をやってみたが、正解だったな。こいつらのこの顔じゃ、二度と普通の生活にはもどれん。ククッ、、他の人間達のように、あんたの蛸蜘蛛屋敷で飼い殺しってわけだ。それに、この二人、Mから聞いた話によると、そうとう血なまぐさいSMを普段からやるらしいからな、今から楽しみだぜ。」
「この二人は、もう我々の掌中で踊るだけの生肉人形と同じだよ。それも、昔は羽振りもよくて男臭いプレイボーイだったのを、女に変えてやって、ここまで墜としたんだからな。この二人のショータイム、なおさらに味わい深いってものだ。」
「・・完全な犯罪なのに、どこに出しても合法で通る。本人達の念書があるからな。まさに契約社会様々だよ。金と力で人を好きなように操れる、あんたが言ってた権力の魅力とは、そういったもんなんだなぁ、、たまんねぇな。」
・・・・・・・・・
普通の人間なら、夢想は夢想で止まる、だが大きな権力は常識を突破する。
常識では考えられない事を、彼らは好き放題する。
以上が、まだ公にされていない、この事件の背景である。
自慢ではないが、我が特殊犯捜査第6係の調査結果だ、精度は高い。
もちろん彼らの性の実態などのいくつかは、私の長年の知見による推測も入っているが、おおよそ、こんな所で間違いないだろう。
これは公式の文書ではないから、石の裏で蠢く虫たちに光を当てるような暴露が出来るのだ。
だが裁判で、明らかにされた彼らAとMの実態は、もう少し乾いたものだった。
当然、その「乾き」には、後に我々の外部コンサルタントとなるシーメール精神鑑定医・指尻ゑ梨花のメス捌きが、実に大きく関わっていたのだが。
どちらがどちらなのか、ちょっと見ただけでは区別が難しい程の完成度だったという。
服を脱げば肋骨が透けて見えるほど痩せているのに、妙に乳房だけが立派なのがA。
スレンダーな体つきの中に太い骨格が見て取れるのがM、、、そんな風に、辛うじて骨格上の見分けは、付いたそうなのだが。
その双子の容貌が、また面妖だったという。
彼らは、柊医師の手によって意図的に、「典型的な整形顔」になるように手術されていたのだ。
深い二重まぶたは、日本人離れしており、高く薄い鼻は整い過ぎ、アゴは尖っている。
そしていかにも口紅が旨く乗りそうな唇、安物のクラブホステスやニューハーフにありがちな容貌である。
あるいは、男の欲望が抽出された「オンナの顔」と言って良いのか。
特に、昔はアクション派の男優だったMの彫りの深い顔を思うと、その変容ぶりは、画用紙に書いた男の似顔絵を「オンナの顔」へ、消しゴムを多用して描き直したのではないかと思える程だったらしい。
手術の腫れがほぼ引いたころ、MとAの二人は神室邸内にある美容室まがいの場所に連れて行かれ、同じような髪型化粧を施され、同じスタイルの服を着せられて、彼らの雇い主の前に引き出されていた。
このあたりの裏付けと証言は、他の使用人や出張美容師などへの聞き込みによって完全に取れている。
彼らは、いや彼女らは、その見分けが付けられるようにと、意識的にけばけばしくしたファッションやアクセサリーの色使いを、Aが金色、Mは銀色に、統一されていたという。
しかし元はまったく別人の、しかも男だった二人が、事件当時には「双子の姉妹」であったとは.いかにも面妖な状況だった。
・・・・・・・・・
「我ながら良い出来だ。なあ三平。この二人ならお前と俺で双子姉妹スワッピングもいいな。」
「いや、Mは胃の中までお前のザーメン漬けなんだろ?随分、つまみ食いをしてくれたそうじゃないか、スワッピングは遠慮しておくよ。」
「さて、手始めにAとMで双子レズでも披露してもらおうか?SMじみたのがいいな。」
神室と柊の前に引き出されたAとMは、「こんな事の為に、わざわざ整形手術を、、」と言葉を失い、呆然と立ち尽くした事だろう。
「何かな?この沈黙は。普段、あんなに愛し合っていたんだから、レズの真似事など造作もないことだろ?」
「...」
黙りこくる二人。
彼らの男色の営みは以前からで、その様子は、四六時中、神室の当主・三平によってモニタリングされていた。
それが、彼ら二人を、人生のドンズまりから引き上げる際に、神室が最初に出した条件の一つだったのだ。
そして今も、彼ら、いや彼女らは、雇い主に逆らうわけにはいかない状況に置かれている。
「はい...」
先にAが口を開いた。
「そう、それが当然の返事だ。では、これから君たちの『姉妹の時間』だ。これまで君たちが楽しんで来た例の部屋でSMレズをやってみてくれ。・・壮絶なのをな、ありきたりのものでは私達は満足しない。君たちだって、実はそうしたいんだろう?」
蛸蜘蛛屋敷の異名は、中央に大きな母屋、そこから放射状に様々な家屋が伸びていく神室屋敷の異様な建築様式から来ているが、蛸や蜘蛛がその脚で獲物を取り込んで行く様も同時に表しているのだろう。
実際、地元では何人かの若い女性が行方不明になっている。
「人工双子美女姉妹のSMプレイか。あんたに言われた通り、人工美丸出しで整形をやってみたが、正解だったな。こいつらのこの顔じゃ、二度と普通の生活にはもどれん。ククッ、、他の人間達のように、あんたの蛸蜘蛛屋敷で飼い殺しってわけだ。それに、この二人、Mから聞いた話によると、そうとう血なまぐさいSMを普段からやるらしいからな、今から楽しみだぜ。」
「この二人は、もう我々の掌中で踊るだけの生肉人形と同じだよ。それも、昔は羽振りもよくて男臭いプレイボーイだったのを、女に変えてやって、ここまで墜としたんだからな。この二人のショータイム、なおさらに味わい深いってものだ。」
「・・完全な犯罪なのに、どこに出しても合法で通る。本人達の念書があるからな。まさに契約社会様々だよ。金と力で人を好きなように操れる、あんたが言ってた権力の魅力とは、そういったもんなんだなぁ、、たまんねぇな。」
・・・・・・・・・
普通の人間なら、夢想は夢想で止まる、だが大きな権力は常識を突破する。
常識では考えられない事を、彼らは好き放題する。
以上が、まだ公にされていない、この事件の背景である。
自慢ではないが、我が特殊犯捜査第6係の調査結果だ、精度は高い。
もちろん彼らの性の実態などのいくつかは、私の長年の知見による推測も入っているが、おおよそ、こんな所で間違いないだろう。
これは公式の文書ではないから、石の裏で蠢く虫たちに光を当てるような暴露が出来るのだ。
だが裁判で、明らかにされた彼らAとMの実態は、もう少し乾いたものだった。
当然、その「乾き」には、後に我々の外部コンサルタントとなるシーメール精神鑑定医・指尻ゑ梨花のメス捌きが、実に大きく関わっていたのだが。
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