ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

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【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(中部編) 】

16: 岐阜高山 ①奥飛騨温泉郷(蕎麦と作詞と温泉と)

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 11月霜月、もう12月が見えてます。
 今日は、奥飛騨温泉郷でお泊まりです。

 ところで、ここに来る途中、「ひるがの高原」で初雪を見ましたよ。
 そしてそんな天候の中、平湯温泉のにごり湯に、ええねぇー、、こーいうのも。
 露天から見える筈の笠ヶ岳は、雪雲に隠れて見えなかったけど。
 方向的に見て、新穂高温泉あたりの空模様なんかは、このまま積もっちゃうんじゃかという勢いだったし。

 いつものようにノーマルタイヤのツーシーターで来てるから、積雪や路面凍結にでもなったら、ちょっとやばいんだけど(笑)。
 そうなったらそうなったで、覚悟を決めて「街」には帰らずの人になって「奥飛騨慕情」の世界に移り住んでもいいんだけどなー。
 (逃避行的雰囲気なら「奥飛騨慕情」も良いけど、クレージーケンバンドの「山の音」も良いですよ。)

 飛騨は酒も川魚も蕎麦も山菜も、うまいで~っ。
 ついでに不倫の味は、蜜の味やちゅーねん(笑)。
 うーん、ホント最近、「天城越え」からはじまって、「奥飛騨慕情」まで、この世界にどっぷりなアンやなぁ。
 ところでみなさん、竜鉄也氏の作詞、作曲、「奥飛騨慕情」はすごい完成度ですよ。
 特に歌詩の方ですね。
 韻の踏み方とかは舌を巻くほどで、音なしで文字面を読んでも、メロディーが出てきそう。
 アンは密かに、竜鉄也氏の事を、演歌界の谷川俊太郎と呼んでいます。
 Jポップなんかだと、井上陽水氏なんかの歌詩も凄くて、このお二人の言葉のセンスは双璧だと思います。

    ・・・・・・

 微かな寝息が聞こえる部屋の中で一人目を覚ます。
 普段から睡眠時間の少ない人間だけど、旅先ではそれがもっとひどくなる。
 夜明けまでに、まだタップリ時間があるぐらいの時間帯に目が覚める。
 動き回る訳にも行かないので、そっと自分が打ち込んだ旅の記録についてチェックする。
 自分の文章が支離滅裂なのには笑った。
 やっぱり酔っているんだ。

 今回訪れた飛騨温泉郷は、平湯・福地・新平湯・栃尾・新穂高の各温泉から成り立っている。
 それぞれの温泉地からの距離は車で7~8分ぐらいのものだから、「郷」として一つの温泉ブロックとみなして構わないのだろう。
 このブロックで、大小100カ所あまりの露天風呂があって、その数は日本一なのだそうだ。
 また、北アルプスの登山口としても知られていて、確かに道すがらに見た、いくつかの温泉は山小屋を思わせるような風情を持っていたように思う。

 ・・・てな感じで、飛騨温泉郷のことをシラッと書いたのだけれど、実を言うと出掛けるまでのアンの奥飛騨イメージは、正に竜 鉄也氏の「奥飛騨慕情」そのまんまだったのだ。
 つまり、飛騨高山をスケールダウンしたような、山間の歓楽地付き温泉街。
 あまり健康的でない恋人同士がしけこむ温泉。
 確かにそういう側面もあるけれど、実際にはスキー・登山・ゴルフのスポーツ系とセット利用が多い感じだ。


 平湯温泉では「のりくら一休」の蕎麦が美味しいという事で、覗いてみたんだけど休業中、奥飛騨に行ったら是非、手打ち蕎麦っていう事前情報だったので、結局、近所の味どころに入って、山菜ざる蕎麦を頼むことにした。
 このお店、蕎麦を看板にしている訳ではないので、味にはあまり期待していなかったんだけど、これが殊の外、美味しいので感激した。

 蕎麦の腰は勿論なんだけれど、アンはどちらかというと、しっかり手を加えられていて喉越しがツルリとしたのが好きなので、その意味では、ここの蕎麦は大正解だった。
 それに山菜、これはもう、地の利が味方した味ですね。
 加えて山菜が、少し甘みを加えた水煮で仕上げてあって、これがソバつゆとの相性も抜群。 

 二日目になっても、この蕎麦の味が忘れられず、飛騨高山近くのお蕎麦屋さんに立ち寄った。
 ああいう普通のお店でも蕎麦が美味しいんだから、まして有名店ならという欲を掻いた考え。
 ・・・こちらの方は、完全に蕎麦をメインにしたお店、間違っても「まずい」はずが、、、うーんこれがねぇ、、いかにも「蕎麦に拘りました」って感じがするだけで、アンにしたらピンとくる味じゃなかったのね。

 アンの友達で、「味の素のどこが悪いのん。美味しいやん。どんどん使たらええやん。身体に悪いとか、今更何言うてんの」と主張する人物がいるんだけど、何となくその言葉を思い出した。

 伝統通りの味を守る事がそんなに重要なのか?
 現代人の舌がそれについて行けるのか?
 『結構なお点前で御座いました』って思わず言ってしまいそう。
 ある意味、それはブランド商売ではないのか?
 時々、グルメってなんだろうと思うのよね。

 経済はバブルではじけたけど、メディアがあおり立てるグルメ情報や価値観って、未だにバブルそのものなんじゃないのかと、、。
 渓谷ぞいのこのお店、店構えはさすが飛騨高山だし、味だって、たぶん江戸時代に作ってた様なピュアな蕎麦なんだろうと思う。
 いわゆる「本物志向」っていうやつ?
 でも江戸時代の食文化を「置き去りにして来た豊かさ」とか再定義して、今それを有り難がるのはどうなんだろうと思うんだよね。
 いくらヘルシーでも、玄米のにぎり寿司は、食べたくないと思うんだけどな~(笑)。
 極端な比喩を書いちゃったけど、きっとそういう事なんだと思うよ。

 (あっと、こう書くと「ああ、あの店の事を言ってるんだな」とお判りになる方や、「おれはあの店のファンなんだぞ。お前なんかに、蕎麦の味が解ってたまるか!」とか、十割蕎麦とかが好きな人ととか、ゴメンなさいね。アンのエッセイでは、「食」については独断独善が基本なので。)







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