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【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(番外編) 】
02: 岩手県遠野市土淵町土淵 伝承園
しおりを挟む今までのアンの旅エッセイを振り返ってみると、中国・四国地方の記述が多いですよね。
でも実際は、中部地方にはもう少し数を行ってるし、東北・関東・九州もドライブで訪れてます。
でも遠方に行くほど、その時々の記録がとれていないという事情があります。
訪れた土地の事やエピソードを全部憶えている訳じゃないので、旅先で、あるいは帰宅した直後に、それらの思い出などをコンピュータで打ち込んだものが、エッセイの元ソースになっているんです。
そういうのをちゃんと逐一、保存してるんですよね。
アンに取ってみるとそれは一種の日記帳みたいなものだから。
今では旅先での記録はスマホで事足りますが、これを始めた頃は、ハンドヘルドコンピュータと呼ばれる範疇のちっさなのを持って出かけてました。
今でもスマホで液晶をタッチするより、小さくてもキーボードの方がいいんですけど、今更、テプラとか、いかにも入力マニアな道具は、、、というか、余りにも自分の姿に似合わないだろうと。
いえ、昔も似合ってなかったんですよ(笑)。
どこからどう見ても、、○○○な子が小さなキーボードに向かってパチャパチャやってるのは、、、ただホテルで寝る前とか、他人様には隠れて入力してたので。
今は、スマホを四六時中触っていても、見た目が何も問題ないという時代ですからね(笑)。
(でも少し前「美保の松原」に行った時に、ポケモンゲームをしてるいい大人が松林の中にうじゃうじゃいてて、その人達が一心不乱にスマホの画面を覗いてる光景を見た時は戦慄を憶えましたが。そんなの人の自由なんだけど、こういう場所でもしないといけないのかと)
逆に言うと、そういう記録がない旅の思い出っていうのは、変な話、アンの場合、凄いスピードで風化していくんですよね。
後から考えると、そう何度も行けない遠距離旅行なのに、記憶がないというのは凄く勿体ない。
それに、文章で記録する代わり、基本、写真とかは撮らないですから写真で思い出すと言う事はほぼないんです。
何だか超高級料理を戴いたのに、その味が、茫漠とした体験記憶のなかだけにフワフワ浮かんでいるような。
でもそういう旅でも、何処かで何かが自分の中に「おちている」と言う気もします。
例えば、今回、取り上げてる岩手県遠野市の「伝承園」ですね。
この時は、凄くハードな夏場のドライブで、大阪を出発して北陸自動車道経由で北上して、新潟から内陸部に向かって、会津若松、福島、仙台の各主要観光ポイントを押さえながら、最終目的地の花巻まで行ったんです。
でその時、どういうわけかここまで来たんだから、予定されていた宿泊地の事も考えず「遠野まで行っちゃぇ」って事になったんですね。
まあ基本、この時の旅のテーマは「宮沢賢治に会いに行く」でしたから、ここに遠野物語の柳田國男がプラスされても気持ちとしては自然な成り行きでした。
ああ、これは余談ですけれど宮沢賢治の作品が好きな方は、是非とも花巻辺りに旅行をされるといいと思います。
宮沢賢治の作品って、東北という土地と絶対切り離せない文学だと思いますので。
でもこれは行程としてはかなりハードでしたね(笑)。
結局、遠野に到着しても全然時間の余裕がなくて、この伝承園だけを訪れて、その日の宿泊地に戻ったんですから。
伝承園っていうのは、国の重要文化財に指定される古民家を利用した郷土歴史博物館なんですが、なんとなく柳田國男的世界というか、遠野物語世界が展示されていたなという事だけは憶えています。
、、、、御蚕神堂に飾られている1000体のオシラ様とか。
でも完全に運転疲れで、細かい部分はなにも記憶にないんです。
ただ今でも憶えているのは、施設の窓から差し込んでいた日差しの色がなんだか妙にキラキラしてたなと(笑)。
この時の旅が、アンの短編「妖奇行 サムトの婆ぁの家」の下敷きになっています。
もしかしたら、空気感だけならフィクションである「妖奇行 サムトの婆ぁの家」の方が、この紀行文モドキより、遠野を良く伝えているかも知れません。
ちなみに伝承園からの徒歩圏内に「カッパ淵」もあります。
作品内では河童淵で場所も地形も違いますが。
ああそれと、短編に登場する、秘仏「味噌付け地蔵」が所有されているとしたのは、金沢市にある某有名骨董屋さんをモデルにしています。
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