ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

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【 旅と温泉グルメ しゃぶれどもしゃぶれども(番外編) 】

01: 夕張 マウントレースイスキー場

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 新千歳空港は、小雪舞い散るマイナス8度、、まあ去年の富良野より暖かいか、、。
 空港からバスに乗って夕張に向かう。
 雪を浅く積もらせたJRの側を抜ける時に、旅情を少し感じる。
 もちろん、地元の人たちにとっては嫌になるほどの日常的な光景だろうが、、。

 こんな時、環境が人に与える影響というものをいつも考えさせられる。
 長い間、外国に暮らしている日本人が、その国の人のような雰囲気を身につけると言うのはよく聞く話だ。
 血液型占いは信じないけれど「堅実で厳格なドイツ人気質」とか、「ナンパなイタリア男」とか、そういうのはありだと思う。

 信号待ちの時には、フライング気味で車を発進させなければ、後ろからクラクションを鳴らされる大阪と、直線が長すぎて居眠り防止のための措置がとられる北海道。
 こんなに狭い日本でさえ、地域差に伴う「現実に関わる際の個人の意識差」があるのだ。
 現代の日本人は、「人は皆、同じ」という安いヒューマニズムに馴らされすぎたのかも知れない。
 だからその地平から生まれる「反動」だって同様にお安いのだろう。

 なんちて、偉そうなことを考えているうちに、夕張に到着。
 レースィってスキー場としてはマイナーだし華やかさにかけるけれど、空港から圧倒的に近いのはいい。
 三十路を越えると、長時間の移動は微妙にしんどい部分があるのよねぇ、、。

 昼食は本町二丁目の「藤の家」さんでカレー蕎麦をいただく。
 (※ このお店は、もう閉店してます。旅の思い出って、こういう食べ物屋さんと引っ付いてる部分があって、そういうお店が、どんどん消えていくのは寂しいですね。)
 張り紙をみてると「大盛り」なるものがあって、すこしそれに色気が走ったけれど「並」にして正解だった。

 テーブルに出されたどんぶりには溢れんばかりのカレー汁が、お蕎麦はたぶんこの下に沈んでいるのだろうと、かき混ぜた途端に、割り箸はすぐ、団子状態で層を形成したボリュームたっぷりのお蕎麦に突き当たる。
 それから後は、もうナポリタンスパゲッティ状態!

 こんな風に書くと、蕎麦通の方は「そんなのは蕎麦じゃねぇ」って怒られるかも知れないが、考えてみて欲しい。
 普通の蕎麦で、こんなことをやったら、とても食べられたものではない筈だ。
 それが、そこそこにいただける。
 つまりお蕎麦自体が違うのだ。うーむ「藤の家」侮り難し、、。

 レースィのゲレンデ話は、後で書くことにして、「シューパロの湯」つまり夕張の温泉について書いてみよう。
 よくよく考えてみるとここ数年、冬場は毎年のように北海道に来てる。
 ところが温泉に入るのは初体験。
 定山渓にも泊まったけれど、宿泊先の関係で温泉には入っていない。

 「湯」の印象としては、ワイルドな感じがする。
 「硬い」でも「荒々しい」でもなく、カタカナ表記の「ワイルド」っていう感じ。
 身体も温まるんだけど、芯からジワーッって感じではなく、外部から強制的にぬくもる。
 それと露天風呂も、外気温との差が激し過ぎ。

 でもこんな感じは決して嫌いじゃない。
 もっともこの「嫌いじゃない」って感じは多分に、夕張という町自体の印象に影響されているんだけれど。
 「うどんは喉越しで食べるという」言葉があるけれど、アンの場合、温泉は、その町村の雰囲気で「入る」と思っているから。

 きっと夕張炭坑が閉鎖された後の、この町のサバイバル精神が、空気中に漂っていてそれが気に入っているんだと思う(笑)。
 小難しく言うと「産業遺構の集客施設化」に現れるスピリットというかね。
 アンの大好きなSF系の映画が集まる「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」が、この場所で行われているなんて、現地に来てみると、逆にちょっと驚きだし。 

 スキーの後、時間があったので「幸せの黄色いハンカチ」のロケ跡を見に行くことにした。
 タクシーの運転手さんがおしゃべりな人で、ずっと前の市長がワンマンのやり手、しかも映画好きで、映画祭を誘致したり、随分、現在の夕張を形作るため力を尽くしたというような話をしてくれた。
 それ以外に「私から言わせると、これだけやっているのに今一、客が少ない。」ともボヤいていたが、それはアンも同感。
 だって夕張の場合、言っちゃ割るけど、一般の人々が住んでいる町並みが貧相過ぎるもの、、。
 炭坑の呪縛は、メロンじゃ解けない。
 これじゃ、とうてい一流の観光都市にはなれないよ、、。

 で、件の「黄色いハンカチ」だけど、バラック跡を改造した記念館の内部の壁にはびっくりした。
 なんと、壁一面に観光客が残した「黄色いメモ用紙」がびっしり張り付けてあるのだ。
 そう、お正月のみくじが鈴なりに木に結びつけてあるのを思い出してもらえばいい。
 あれのもっと凄いのが、まっ黄色に、壁を埋め尽くしているわけ。
 山田洋次監督が、このメモのうち何枚かを抜き出して、その書き手のところに訪問するなんて、わざとらしい演出もあったらしい。
 アンは山田監督のこう言った所に嫌らしさを感じるんだけど、「黄色いハンカチ」の世界観自体は嫌いじゃない。
 あれが、戦後日本人の情緒的原型じゃないかって考えているくらいだもの。

    夕張の 真っ黒カラス 過去を飛ぶ
       ニビ色の空 雪を孕んで

 ゲレンデについての話題が随分、後回しになっちゃったけど、正直言って、これといった話題がない。
 アンのスキーの腕前って、まあ中級程度だし、ゲレンデの状況とか、滑りの蘊蓄とか、そんなのに絡めて語れるような凄いスキー場でも、本人でもないので。
 なんとなくボードの方が、滑りやすいゲレンデかなとは思うんだけどね。
 2年ほど前に、ファッションでボードに切り替えようって考えたこともあったんだけど、、、その頃出会った若い子達の様子を見てると、脳味噌の薄い人たちの仲間入りしたくないなーって思ってしまって乗り換えそびれたって感じだし。

 頭薄いって言えばスキー場のナンパ君達、、彼らって一目でわかるね。
 ボーダーにしても(ミニ)スキーヤーにしても、それに打ち込んでる子は無茶苦茶打ち込んでるから、ナンパは二の次三の次、第一、スキー場に来る子って既にカップルが多いしね。
 もちろん、アンんとこには来ないわよ。
 レストハウスで一人でいる時だって、びびってるんじゃない。
 アンって雰囲気的に、若い子にはちょっと無理だろうし。

 で勢い、彼らを観察する方に回っちゃうんだけど、化粧の濃い女の子同士のペアって狙われやすいよね。
 まあ当たり前だろうけど、、。
 ロンゲで撫で肩、ジャニ系のタラーンとした三人組のうちの一人がまず先遣隊。
 女の子達がテーブルに置いた缶コーヒーに、自分が持っていた缶コーヒーをカチンと当てて「乾杯」の仕草。
 「僕たちの出会いに、、。」とか言ってそう。
 しばらく会話が続くと、残りの二人が立ち上がってさりげなく女の子たちを取り囲む。
 けど女の子の内の一人が乗り気薄な様子で、それを察してか、今まで彼らと会話を続けていた女の子の方も笑顔で断りモードへ、、。

 結局、ナンパ君達は爽やかな笑顔を振りまきながら退場したんだけれど、、彼らだってこういう行為は「数」なんだろうね。
 でも一日にどれぐらい女の子に声をかけるんだろう?
 アンの身の周りに、こういうのの成れの果てって感じの男性がいない訳じゃないけど、、アン的にはやっぱ好きになれないなぁ、、。
 でもマスコミとか、ポップスなんかが、こういう世界を煽り立てているからねー。
 若い子達が、どんどん絡め取られちゃうのは仕方ないのかも、、。

 実を言うとこの日記は元旦の朝に書いてる。
 昨日の内に更新したかったのだけど、昨日は旅行から夜遅く帰ってきたばかりだったので、シャワーを浴びてすぐに眠ってしまったのだ。
 だから世間様の「年越し」っていうのをやっていない。

 あんな紅白でも、しばらく仲間内でも話題になるから、見ていないのはちょっとつらいけど、判ったような顔をして相槌打っていたら、その内、本当に内容まで判るようになる。
 結局、その程度の内容だってことだ。

 それにしても、北海道の露天風呂って強烈だったなぁ、、。
 湯煙、庭園に積もった雪、夜空から舞い降りてくる雪。
 ここまでは北国の露天なら何処も同じなんだけれど、外気の冷たい事といったら、水面から出てる肩に雪が当たると痛いという感じになる。
 それと今回、考えさせられたのは夕張の財政復興の多難な道のこと、夕張炭坑の閉鎖から始まって、延々とこの問題は続いているんだけど、今の日本のあり方に関わって、根深い問題だなぁと。

 「夕張の雪は世界一美しい!神が雪を降らせている場所だ。」
 このコピーは、昔「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」にクエンティン・タランティーノが送ったモノ。  まったく、タラちゃん、あんたって言う人は(笑)。





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