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【 東南アジアの旅 】
14: 初めてのバリ旅行 ジャランジャランは明日から ⑧デジャブ
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さてゴア・ガジャなんだけど、、どうなんだろうなー。
11世紀の古代遺跡と言われてもよく判らない。
確かに、入り口からやや下方にあるゴアガジャの敷地で礼拝をしてる人々を見下ろした時には、ちょっと厳粛な気分にはなったんだけど。
下に降りて沐浴場跡を見てもぴんと来ないし(なぜか大阪は天王寺さんの亀の池を思い出す始末)、、地元の叔母さんに案内されて、お約束通り有名な「魔女の口」を潜って洞窟に入ってみたんだけどね。
これも日本の海岸なんかの洞によくある祠みたいな感じで「見て吃驚」ってものじゃないんだよね。
ご神体である三体のリンガ(おチンチン)の前に来ると、急に叔母さんが「写真とりなよ」ってニヤニヤしながらアンに言ったのには吃驚したけど。
目の前にあるのは確実に異国の光景なのに、なぜかその裏側に、古き良き時代の日本が透けてみえる、それがアンの感覚を狂わせているんだと思う。
まあそれがバリなのかも知れないけど。
自転車で「ジャラン、ジャラン(散歩)」して、疲れたらカフェで一服。
夜はバリ舞踊見学。
そんな感じでウブドでの一日が瞬く間に過ぎていく。
そして朝、「スラマッパギ」、おはよう、と覚えたての挨拶をしながら、今日もまたウブドのゆるやかな時の流れが始まるのだ。
この緩やかさ、、アンが旅行者だからじゃない。
それはウブドのバイブレーションなのだと思う。
ヤナン君にデンパサールの空港に送ってもらった帰国の日。
夕暮れの風景の中で、豪華な食べ物を満載した盥を頭に乗せた人達に出会う。
たまたまこの地域にある寺の祭りに出くわしたのだと言う。
人々は普段食べる食事よりもっと豪華なお供え物を寺に持っていくのだそうだ。
夕暮れの境内で楽しく群れ集うバリの人達の姿がある。
青黒く落ちていく光の中で男達の白いシャツが滲んで光って見えた。
帰国の飛行機の中で夢を見た。夢、、未来への旅。
小型の乗り合いバスのような薄暗い車内。アンは少年。
この乗り物はレールの上を超高速で走ってるらしい。
そして乗員の内の何人かは、走行中にその意識を未来に飛ばす事が出来ると言う。
この乗り物に選ばれた人々は、すべて未来に行く能力を秘めているのだ。
アンは1時間ほどの未来に行って帰って来た。
意識だけが飛ぶから外見上は変化がない。
しかし未来に行ったという自覚がある。
涙が止まらない。
周囲の人々はそんなアンに、控えめだが真実の賞賛を送ってくれる。
はっと目が覚めると飛行機のシート、、日本とバリの時差は1時間。
なんかそのままやんと思いながら、自分の夢の芸のなさを恥じる。
でもこんな夢を旅行中に見たのは、初めての事だった。
・・・後書き・・・
アンは霊的な感応力がまったくない人間だ。
ほんと言うとバリへ行きたかったのは、その「神秘性」に惹かれての事だった。
もちろんその神秘性とは、バリに関する様々な情報からアンが感化されたものであって、バリの実態じゃない。
けれど感応力の強い人は、そのような情報の発信源に行くと、それなりの反応はするようだ。
アンにはバリに着いてもそれがまったく無かった。
やっぱり鈍感なのだ。
むしろ「それってちょっと大げさキャッチフレーズじゃない」と思っていた商業ベースの「ヒーリング・バリ」の方に反応した。
もちろん如何にもせこい日本人らしい旅程の組み方しかしないアンの事だから、滞在先はリゾートホテルでも旅程はキツキツだ。
それでも不思議な事にアンはバリに癒された。
いや「空間に癒される」という事が、どういう事であるかを身をもって知ったと言うべきだろうか。
バリで何度も感じたのは、バリの光景に透けて見える、古い日本の風景と思えるデジャブだ。
そして人々の「日常としての祈り」の姿だった。
日本の私たちは、速く生き過ぎている。
・・・後書きの後書き・・・
以上の文章は、アンがまだ生意気盛りの頃に、初めて訪れたバリについて書いたものです。
年齢的には高校を卒業して少し経ったくらいです(笑)。
今読み返すとガキかよって思うところも、まま在りますが、その感想の大体が「人間ってそう変わらないなー」と、、、冷や汗ものです。
人間、精進が必要です。
11世紀の古代遺跡と言われてもよく判らない。
確かに、入り口からやや下方にあるゴアガジャの敷地で礼拝をしてる人々を見下ろした時には、ちょっと厳粛な気分にはなったんだけど。
下に降りて沐浴場跡を見てもぴんと来ないし(なぜか大阪は天王寺さんの亀の池を思い出す始末)、、地元の叔母さんに案内されて、お約束通り有名な「魔女の口」を潜って洞窟に入ってみたんだけどね。
これも日本の海岸なんかの洞によくある祠みたいな感じで「見て吃驚」ってものじゃないんだよね。
ご神体である三体のリンガ(おチンチン)の前に来ると、急に叔母さんが「写真とりなよ」ってニヤニヤしながらアンに言ったのには吃驚したけど。
目の前にあるのは確実に異国の光景なのに、なぜかその裏側に、古き良き時代の日本が透けてみえる、それがアンの感覚を狂わせているんだと思う。
まあそれがバリなのかも知れないけど。
自転車で「ジャラン、ジャラン(散歩)」して、疲れたらカフェで一服。
夜はバリ舞踊見学。
そんな感じでウブドでの一日が瞬く間に過ぎていく。
そして朝、「スラマッパギ」、おはよう、と覚えたての挨拶をしながら、今日もまたウブドのゆるやかな時の流れが始まるのだ。
この緩やかさ、、アンが旅行者だからじゃない。
それはウブドのバイブレーションなのだと思う。
ヤナン君にデンパサールの空港に送ってもらった帰国の日。
夕暮れの風景の中で、豪華な食べ物を満載した盥を頭に乗せた人達に出会う。
たまたまこの地域にある寺の祭りに出くわしたのだと言う。
人々は普段食べる食事よりもっと豪華なお供え物を寺に持っていくのだそうだ。
夕暮れの境内で楽しく群れ集うバリの人達の姿がある。
青黒く落ちていく光の中で男達の白いシャツが滲んで光って見えた。
帰国の飛行機の中で夢を見た。夢、、未来への旅。
小型の乗り合いバスのような薄暗い車内。アンは少年。
この乗り物はレールの上を超高速で走ってるらしい。
そして乗員の内の何人かは、走行中にその意識を未来に飛ばす事が出来ると言う。
この乗り物に選ばれた人々は、すべて未来に行く能力を秘めているのだ。
アンは1時間ほどの未来に行って帰って来た。
意識だけが飛ぶから外見上は変化がない。
しかし未来に行ったという自覚がある。
涙が止まらない。
周囲の人々はそんなアンに、控えめだが真実の賞賛を送ってくれる。
はっと目が覚めると飛行機のシート、、日本とバリの時差は1時間。
なんかそのままやんと思いながら、自分の夢の芸のなさを恥じる。
でもこんな夢を旅行中に見たのは、初めての事だった。
・・・後書き・・・
アンは霊的な感応力がまったくない人間だ。
ほんと言うとバリへ行きたかったのは、その「神秘性」に惹かれての事だった。
もちろんその神秘性とは、バリに関する様々な情報からアンが感化されたものであって、バリの実態じゃない。
けれど感応力の強い人は、そのような情報の発信源に行くと、それなりの反応はするようだ。
アンにはバリに着いてもそれがまったく無かった。
やっぱり鈍感なのだ。
むしろ「それってちょっと大げさキャッチフレーズじゃない」と思っていた商業ベースの「ヒーリング・バリ」の方に反応した。
もちろん如何にもせこい日本人らしい旅程の組み方しかしないアンの事だから、滞在先はリゾートホテルでも旅程はキツキツだ。
それでも不思議な事にアンはバリに癒された。
いや「空間に癒される」という事が、どういう事であるかを身をもって知ったと言うべきだろうか。
バリで何度も感じたのは、バリの光景に透けて見える、古い日本の風景と思えるデジャブだ。
そして人々の「日常としての祈り」の姿だった。
日本の私たちは、速く生き過ぎている。
・・・後書きの後書き・・・
以上の文章は、アンがまだ生意気盛りの頃に、初めて訪れたバリについて書いたものです。
年齢的には高校を卒業して少し経ったくらいです(笑)。
今読み返すとガキかよって思うところも、まま在りますが、その感想の大体が「人間ってそう変わらないなー」と、、、冷や汗ものです。
人間、精進が必要です。
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