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【 旅とこなもん 】
06: コナモン一族の野望 ③千日前道具屋筋とたこ焼きあれこれ
しおりを挟む久しぶりにミナミに出かける用事があり、相方となんばグランド花月前で待ち合わせをして一緒に昼食をとる事にしました。
(ちなみにアンのテリトリーはキタです。だからという訳ではありませんが、大阪で気を抜いてポヨヨーンと遊びたいときはやっぱりミナミですね。)
この日のお目当ては難波にある讃岐うどんの「釜たけ」さんです。
これは、最近、四国に渡っていないのと、数日前に食べたとんでもない似非讃岐うどんのせいで、「讃岐うどんが食べたい病」が再発していたためです。
「釜たけ」さんの開店時刻には少し時間があったので、「釜たけ」さんの裏筋にあたる道具屋筋を二人で冷やかしに行きました。
もちろん道具屋筋自体は何度も通った事があるんですど、今回の「冷やかし」っていうのは、それぞれの店舗の中に入ってみることでした。
千日前の道具屋筋は、すぐ側にグランド花月があったり「歓楽街・千日前」があったりで、結構観光コース化してて、各店舗の店前に山のように陳列してある厨房道具やら食器やら看板の類は嫌でも目に入るんだけど、その店舗の中に入るとなると、素人さんには結構度胸がいるものです。
あっ、在阪以外でこのエッセイを読んで下さってる人の為に書いておくと、千日前道具屋筋というのはグランド花月の南手から南に抜けた「なんさん通り」までの150m間に続くアーケード街のことを言います。
ここにはプロ用の調理器具や厨房設備、業務用の椅子やテーブル、看板などを扱う専門店が約50店舗ほど立ち並んでて、大阪ならではのたこ焼やお好み焼きの道具類のほか、ロウで作った食品サンプルなんかも揃ってしまう街なんです。
例えば、大阪名物たこ焼きなんかを例に取ると、業務用のたこ焼き器の品揃えはあたり前のこと、粉やソースを販売するだけでなく、その調理法まで、これから自営を目指す人の為にレクチャーをしてくれたりします。
もちろんそれは単に親切って話じゃなく、成功した「たこ焼き屋さん」が増えるって事は、自分の店が販売してるたこ焼き関連の商品の顧客確保に繋がるって事でね、、やっぱり大阪ですね。
で何軒かのお店に入ったんですけど、だいたい共通してるのがお店の人がしつこく付きまとって来ないことですね。
多くのお客さんは、アンたちみたいな遊び半分じゃなくて自営業の人が目的意識をちゃんと持って入店するので、促販の為に声をかける必要がないんでしょうね。
しかし「食」に関する器具って沢山あるんですね~。
フライヤーだとか業務用製氷器だとか、コンロだとか、それだけ見てるとまるで工場に迷い込んだみたい。
でも一軒だけ、なんだか回りのお店とは雰囲気が違っていて、明らかに観光客と思しき人達が沢山入っているお店がありましたよ。
それが「グッディーズ・千田」さん。Goodiesは「良い物・素敵な物・素晴らしい物」という意味らしいんですが、とにかく垢抜けてますね、このお店。
お店の説明によると、昔の厨房は、お客様から目の届かない所で調理し、盛り付けたものを出すという形で設置されていましたが、最近ではオープンキッチンになったり、調理している過程まで演出効果として使われていて道具にも気を使う料理人さんが増えてきているんだそうです。
で、厨房はエンターテイメントとしてファッション性ある道具で構成、絵になるような厨房づくりがトレンド、、、って話です。
確かに、このお店には女の子が喜ぶようなグッズや外国産のカッケー台所用品がたっぷり、、でも「高い」、、、。
それに、道具屋筋の他のお店で見た「安さ」と「実用性」を重視した品揃えを見慣れた目で見ると、なぜか「料理するぜっ!オーラ」が脆弱に感じられるんです。
でもぶっちゃけ、お客(でも観光客だけど)が、一番入っているのがこのお店なんですよねぇ。
ちょっと考えさせられました。
で考え過ぎちゃってお腹が減った頃に、最初の予定通り「釜たけ」さんへ。
相方と二人して、定番のちく玉天ぶっかけうどん(冷)をごちそうになりました。
(麺はもちろんなんですが、讃岐うどんセルフ系で提供される、ちくわの天ぷらって、なんであんなに美味しいんだろう?不思議です。)
嬉しいことに味が全然落ちてない。
でも壁に貼りまくりの芸能人のサイン色紙は、、どんどん増殖してました(笑)。
そうそう、業務用たこ焼き器の話題で思い出しましたが、元祖「自分でたこ焼を焼いて食べるお店」の「梅田・蛸之徹」は、1979年の創業ですからもう半世紀近いって事になるんですね、、でも意外にセルフたこ焼き店って広がりを見せなかったようです。
初めて「蛸之徹」さんに行った時には、「この業態来るかも?」って思ったんですけど。
一時、天ぷらだとか、何でもかんでも自分で作るセルフの店が流行った事がありますが、たこ焼きセルフは昔から珍しい方だったんですよね。
たこ焼きの親戚「お好み焼き」の場合は、フラットな鉄板を利用するので、他の料理に転用できたり、保温プレートとしても使えるし、セルフの店はチェーン店展開は言わずもがなの状況で結構定着してますね。
中身を見ると、お好みに限らず何でもありだから、本当は「鉄板焼き屋」と呼んだ方が良いかも知れませんが。
それに対して、たこ焼きの場合は潰しの効かないあの鉄板の形状が、セルフ形態のたこ焼き店を展開させる障害になってるんでしょうね。
「蛸之徹」さんの場合は、それをたこ焼きのバリエーションでクリアしてた見たいです。
後にも先にも一店舗で、あれだけのたこ焼きのバラエティを揃えたのは「蛸之徹」さんだけでしょう。
食のアミューズメントならぬ、たこ焼きアミューズメント(笑)。
「たこ焼きって、セルフでは焼くのも難しいから」って?それはないと思いますね。
だって大阪人で、たこ焼きが焼けない人間は存在しない筈だから、、「大阪人は一週間に一度は家庭でたこ焼きを食べてる。」ってのは、誇張が過ぎるにしても、一家に一台たこ焼きプレートがあるのは間違いないと思いますよ。
たこ焼きを綺麗に焼き上げるのは、火加減とか、ひっくり返すタイミングとかそれなりに技は必要ですが、たこ焼きってそれに失敗しても最後はなんとか焼き上がるものなんですよ。
第一、アンのような人でもプレートを持ってますもん。
そんな大阪人なら、外でたこ焼きを買う必要がないわけなんですけど、不思議な事にやっぱり美味くても不味くても(高くても)外でたこ焼きを買うんですよね。
祭りだ、たこ焼きワッショイ!って感じ。
そうそう、富良野にスキーに行った時、そこで若い頃、大阪に出てたタクシーの運転手さんと「たこ焼き」の話題で盛り上がった事があるんですよ。
「そりゃ、北海道にだってたこ焼きはありますよ。でもここのたこ焼きは、大阪のを知ってる人間には食べられないね。ありゃ、たこ焼きじゃない。」
大阪人まるわかりのアンとしちゃ、「でしょ、でしょ。」って感じの相槌してたんですけど、内心じゃ、「そっかな~、材料が変わんなきゃそんなに味が変わらないのが、たこ焼きなんだけど」と思ってみなくもなく。
それでも「それなら富良野で、一番おいしいたこ焼き食べに行く?」って誘われたら、やっぱり断りますけどね(笑)。
結局、たこ焼きって、讃岐うどんと同じで、地域に根ざした食文化みたいな所があるんですよね。
だから、みんな道頓堀の奥まった所で行列作って「元祖」を食べると「たこ焼き」食べた気になるんだよね。
アンなんかは、あんなにくどいソースや蛸なんて、中年女の下手くそな厚化粧みたいで好きじゃないんだけど、大阪に来たお客さんを案内する時には、「元祖」は外せませんしね。
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