ゴックン、その口で食べるの? /Osaka発ドラァグドライブ、掛け違いの旅

Ann Noraaile

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【 はじめに、自己紹介をかねて 】

01: はじめに 「日曜日よりの使者」と「七度狐」

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 以前、上方落語の「旅もの」に凝っていたことがあって、今は懐かしいアップルのiPodに演目を幾つも詰め込んで聞いていました。
 で止めは、ザ・ハイロウズの「日曜日よりの使者」。
 「旅もの」の中でも一番のお気に入りは、桂枝雀師匠の「七度狐」ですね。
 大阪の気の合う喜六・清八の二り連れが、お伊勢参りに向かう話の一つで、「七度狐」がその第一話にあたります。
 伊勢への旅の途中で、奈良の煮売屋に立ち寄り、酒を頼む所から話が始まります。
 そこに登場するお酒の銘柄が『村さめ・庭さめ・じきさめ』。

 二人が煮売屋の親父に、それはどのような酒かと尋ねると、村さめは村を出た辺りですぐ醒め、庭さめは店を出た途端に醒め、じきさめは飲んでもすぐに醒めると言われます。
 その後、この二人と親父との掛け合いが、暫く続いて、話は何故か七度狐の名前のもある恨み深い化け物狐と出会う所まで繋がっていきます。

 大阪の人間が二人寄ると漫才になるとは良く言いますが、上方落語の主人公の、この二人のボケとツッコミは筋金入りの天然、それに対応する煮売屋の年喰った親父もなかなかのもの。
 それを枝雀師匠が、どこかに狂気を秘めた愛嬌のある素っ頓狂な声色で演じ分けていきます。


 ところで今、落語ってイメージ的にどうなんでしょう?
 TVなんかでは「笑点」等が、落語のメジャーイメージを造り出している状況ですから、軽いたわいのない話って感じが今は広く一般的に広がっていると思うのですが、上方落語などを聞いていると、結構、人間の黒い部分が明け透けに登場します。
 まあそれを笑いで全部、包み込んでくちゃくちゃにして面白話に仕上げてるって感じですね。

 アンが桂枝雀師匠に惹かれるのは、そういう部分を一番ダイレクトに持っておられた噺家さんだからだと思います。
 ちなみに「うつ病」と闘っていた枝雀師匠が、「ずっと笑いの仮面をかぶり続ければ、いつかその仮面が自分の顔になる」と漏らされたという話は、ちょっとドキッとさせられますね。

 ここから展開していく予定の、旅のエッセイも、どちらかというと、枝雀師匠の「旅もの」に近いかも知れません。
 ただし、トンデモない大冒険や、大失敗があるわけでも、素晴らしい感動体験が待っているわけでもありません。
 考えてもみてください。
 この時代に普通に生きている人間が標準的な旅をして、そんな体験に、毎回出会うという事は、その旅をしてる当の本人がかなり常識から離れた行動や、周囲に配慮が出来ない人物だという事じゃないでしょうか?
 感動的な人との出会いを毎回成立させるTVの旅番組は、カメラが背後で回っているから出来るんですよ。
 それに、そんな旅人がいたら、周囲の人達は、きっとはた迷惑でしょうね。

 すいません、ちょっと毒を吐いちゃいましたね。
 アンのような人間は、旅行でもなんでも、普段はちゃんと常識をふまえた行動をしないと、色眼鏡の上にさらにフィルターかけられてしまいますもの。
 
 それでも旅は人生の最大の楽しみの一つです。
 旅に出て、疲れ切って我が家に戻る。
 それでも、自分の中の何かがリフレッシュされている。
 そういった側面を大切にしたいですね。
 それではOsaka発、ドラァグドライブ、掛け違いの旅の始まりです。
 日曜日は月曜日の別の顔、、なんちゃって。



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