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第3章 永き命、短き命

32: パーマー捜査官のサジェスチョン

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 漆黒は、「鉄の女」であるパーマー捜査官が、彼らの前で愚痴を述べる姿を見たくなかった。
 確かに少し前なら、パーマー捜査官の鼻をあかしてやろうという気持ちはあった。
 しかしその彼女が、事件から外されたとあっては、今の彼女になんの恨みもない。
 むしろ漆黒は、パーマー捜査官の怜悧さを高く評価していたのだ。
 だがそんな漆黒の心配は、彼の杞憂に終わった。

 パーマー捜査官は、人造海岸のコンクリートの地面にへロウヒールを突き刺すように歩いた。
 背筋はいつものように伸びすぎるほど伸びている。
 彼女の背丈は、漆黒の頭一つ分低いのだが、歩調は漆黒と同じだった。

「ここが、一番、盗聴の危険性が低いのです。」
 ジッパーの人間が言っているのだ、間違いないだろうと漆黒は思った。
 そしてレオンの姿を目で探した。
 『お前には別の話があるそうだ。お呼びがかかるまで、俺は暫くこの周辺を散歩してるよ。』
 そう言ってレオンは別行動を取っていた。
 レオンは波打ち際のすぐ側の防波ラインにそって、彼らの少し後方を歩いている。
 パーマー捜査官の大方の話は、既に聞いているのかも知れなかった。
 彼が連絡を取ってきたのだから、その可能性はあった。

「シュミット刑事には、ある程度の事は既に話してあります。お二人に話をしなくてはならない時が来たら、この先で腰を下ろして時間を取りましょう。でも今はこのままで。」
 パーマー捜査官は、漆黒の視線の移動と雰囲気だけでそこまでを把握した。
 やはり頭のいい女性なのだ。
 こんな有能な捜査官が事件から外されるヘマをやらかすものだろうか?と漆黒は思った。

「ブゥードゥ教会ロアの教主の名前は、アレクサンダリオ・カトーです。」
 フランケンシュタイン・ジュニアは、昔の名前を捨てず、しかも母方のカトーの姓を名乗っている!
 なぜか漆黒は、パーマー捜査官のその言葉に軽い衝撃を受けた。

「彼は三週間前。つまり貴男が彼らを追跡した日、マッカンダル神父とチエコ・サリンジャーという助教授を伴ってヘブンに登りました。私が担当事件の転換を命ぜられたのは、それから四日目の事です。異例の出来事です。私は、仕事仲間が幾つかのミスを犯し、その結果しかるべき処置を受けた事例を沢山知っています。ですが、四日の内に事態が急変するような事はありませんでした。」

 『つい最近、センチュリアンズ計画を塗り替えた男がいる。』
 張果はそう言わなかったか?
 張果は、アレクサンダリオ・カトーと俺の撮影した画像で再対面してから、彼なりの調査を行っていたのだ。
 そしてその結果を俺に教えてくれた。
 つまり教主ことアレクサンダリオ・カトーが、ヘブンに昇った直後に、状況が大きく変化したのだ。

「貴女は、その配置転換をどう判断しておられるのですか?」
「私は、自分が今回の調査でミスを犯したと思ってはいません。ブゥードー教会の件では、貴男に先を越されましたが、それも私は私の権限の中で、貴男に警察の独自の捜査方法を認めていたのですから、問題はないはずです。」
「要するに猟犬の引き綱を解いたのは貴女で、我々がくわえてきた獲物は、貴女のものだと、、。」
「そういう事です。」
 パーマー捜査官はなんの躊躇いもなく、ぴしゃりと言った。

 海岸線の遠くに海流エネルギー転換センターのずんぐりした施設が見えるようになって来ていた。
 人造海岸の距離は思ったより短いのか、あるいは彼らの歩くスピードが異常に速いのかそのどちらかだった。

「俺が奴らを撮影した動画データを隠してしまったのがいけなかった?」
 漆黒は正直に言った。
 漆黒は、始めパーマー捜査官との会見は、罠の可能性もあると考えていた。
 要するに『事件から外された捜査官』には、口が軽くなるだろうという目論見だ。
 しかし、当の捜査官から、教主の名前があっさり出た時からその可能性はなくなっていた。

 漆黒が張果から聞かされたアレクサンダリオ・カトーの生い立ちは、ジッパーが長寿族と、どこかで繋がっているのなら、パーマー捜査官はそれを既に知っていたはずだ。
 知らないのなら、それはジッパーの権限の及ばない種類のものなのだろう。

「貴方が持ち去った動画ですか?それも関係ありません。ジッパーは間抜けな集団ではありませんよ。やられぱなしという事はないのです。貴男はスピリットが画像記録の生体機能を持っている事を知らされていなかったのですか?」
 今度は漆黒が驚かされた。
 その驚きは、小さな怒りを伴っていた。
 漆黒はその場で立ち止まる。
 漆黒の小さな怒りは、どんどん膨れ上がっていく。
 鷲男はビデオカメラじゃない。
 俺の相棒だ。
 パーマー捜査官が、漆黒を振り返る形になった。

「貴方の受け持ったスピリットが、機能回復の為のリハビリを受けている間に、私達はスピリットから画像を吸い上げる事に成功しました。だから貴方がデータを私達から隠した事は、私の失点にはなりません。」
 パーマー捜査官は事もなげに言った。
 それが彼女の『普通』だからだ。
 そして彼女は、漆黒達のように精霊を擬人化したりはしない。

「、、、やるもんですね。そんな貴女がなぜ?」
 『クビになったんです?』の言葉は飲み込んで、漆黒はかろうじてそこまでを言った。

「私は、力関係が変わったのだと思います。政治の世界では、昨日まで敵だった者が今日は味方になり、またその逆が起こる。そういった事は珍しいことではありませんから。」
「殺人の容疑者が突然、警察官に入れ替わる?あなたはそんな風な事を言っている。」
 漆黒は苦笑いをしながら言った。

「ここから先は、シュミットさんともお話をしましょう。」
 パーマー捜査官が堤の階段に腰を下ろし掛けたので、漆黒は慌ててハンカチを彼女の下の地面に広げた。
 もう一人の漆黒がいたなら、何を気取ってやがると冷やかす所だろうが、漆黒は捜査官にはその値打ちがあると認めていた。
 レオンの方は、予め打ち合わせをしてあったように、二人の元に近づいて来て、彼らと同じように海を見る形で腰を下ろした。

「てっきり、鷲男の件で喧嘩をしてると思ったが、、お前、我慢強いな、、。」
 いかにも、そういう場面は見たくなかったから離れていたという風に、レオンは漆黒に告げ、後は沈黙を守った。

 三人の視線の先には、打ち寄せるどす黒い波と、何か得体の知れないものがその波に洗われてはゆっくり揺れ動いているのが見える。
 波打ち際に打ち上げられた死体。
 奇形の大きな魚なのだろうか?
 その胸鰭が見ようによっては、漆黒達三人においでおいでをしている様にも見えた。

「私は始め、ヘブンに多くいる長寿族は、スピリット計画から判るように、極めて現国家と親和性の高い存在だと思っていました。」
 漆黒は少し驚いた。
 この女性は既に、長寿族の事を知っており、さらには漆黒もその事を知っている事を、見通しているのだ。
 レオンは何も言わないで、ただ波打ち際の奇妙なものを見つめている。

「でも違ったのですね。国家と長寿族、そのそれぞれに力関係と派閥があるのです。政府内の内紛は昔から知っていましたが、長寿族は一枚岩だと思っていました。、、ヘブンの中で起こることは私達、ジッパーでも掴みがたいのです。、、少し前なら、ジッパーがアレクサンダリオ・カトーを追いつめる事が、国家にとっても長寿族にとっても、一致した利益だった。それが力のベクトルが変化して、今は逆に、、、、そういう事です。」
 パーマー捜査官は、珍しく言葉に詰まった。

「貴方は、今まで鉄の意志でそういった大きな力の変節を飲み込んでこられ、又、他人にもそれを強いてきたんだ。今更、貴方が愚痴をこぼすわけにはいきませんわな。」
 レオンが、ぼそりと言った。
 言ったが、非難している訳でもなかった。

「そう。仕事ですからね。」
 おそらくそれは、彼女が自らを諦めさせる為に、何度も呟いてきた言葉だろう。
 だが、今回は違う意味合いが込められていたようだ。

「私があなた達に話しておきたいのは、その『仕事』の延長上の事です。あなた方が任務を終了しない限り、あの指示を与えた私には、あなた方を援助する義務がありますから。」
「あなたが降板されたのに、私たちの捜査が今まで通り続行できるとでも?」
 漆黒が訝しげに聞いた。

「ええ。おそらく、あなた方のレベルなら、この件についての捜査妨害は出てこないでしょう。」
「俺達など、何時でも潰せる。つまり俺達は、まったく相手にされていないという事だよ。」とレオンが言った。
「それもありますが、先ほど国家と長寿族は同じではないと言ったでしょう?国家はこの件について、少しばかりの保険を掛けておきたいんじゃないかしら。失礼ながら、使い捨てのね。こういう私も、配置変えをされただけで、職権が剥奪されたのではないのですよ。」

「この件について、あなたの言う『国家』の何処かの誰かは、いざとなれば、全てをもう一度仕切直すつもりがあると?」
「ええ。彼らにとっては、それが使い捨ての保険であっても、私たちにとっては反撃の為のチャンスです。」
 レオンはパーマー捜査官の『私たち』という言葉に、あえて突っかからなかった。

「チエコ・サリンジャーを調べて見る事です。彼女は今、大学に戻っている筈です。そこから突破口が開けます。」
 漆黒は、あの夜、教主達の乗り込んだ車の同乗者の一人がアジア系であった事を思い出した。

「それと漆黒刑事、あなたがブルーノ・ベンソンの記憶から引き出した写真の男の正体ですが、彼の名前は、鴻巣時宗。あの失踪した科学者の鴻巣徹宗の双子の弟です。これとは別件ですが、彼はジッパーが、、いえ私が、追い詰めきれなかった人物でもあります。ですが貴方なら彼に手が届くかも知れない。」
 漆黒は、パーマー捜査官が鴻巣神父の詳しい正体を既に突き止めていた事に、大きな驚きを感じなかった。
 この女性なら、それくらいの事はやってのけるだろうと思っていたからだ。
 だがそれよりも漆黒は、パーマー捜査官が鴻巣の名前を口にした時の奇妙な目の色が頭から離れなかった。
 それに『あなたなら追い詰められる』とは、一体、どういう意味なのか。それが不思議でならなかった。 




「すげえぇ、女だな、、。」
 『送ります』との申し出を断り、立ち去ったパーマー捜査官の後ろ姿を見つめながら漆黒は言った。
「それ程でも、ねえょ。」
 漆黒の言葉に、なぜか拗ねたように返すレオンは、悪友に自分の母親を褒められて対応に困った悪ガキのようにも見えた。

「ところでお前。お前が回収し損ねたビデオを取りに行った羊男の事だがな。その羊男を殺した奴の正体を知っているか?」
 『回収し損ねたつもりはない、』と言いかけて、漆黒は止めた。
 漆黒が正規のメモリをちゃんと取り出すのを忘れなければ、それを回収に向かった羊男が殺される事はなかったのだ。
 どちらかと言うと、「回収し損ねた」事より、「忘れた」事の方が罪としては大きい。

「正体ってなんだよ?どの道、ブゥードー教会が差し向けた奴だろうが。」
「そっちの正体じゃない。身体の中身の方だ。」
「身体の中身?又、亜人類だなんだとか、言いたいのか?」

「そうじゃなさそうだから、困ってる。」
「、、その正体、お前が調べたのか?」
「今の状態を思い出してみろよ、さすがの俺でも無理だ。パーマー捜査官から聞いたんだよ。」
「、、、。」

 漆黒は、自分がのけ者にされた様な気分になっていた。
 不思議な感情だった。
 それに、このレオンに対する気持ちも、まるで兄弟に感じる気持ちに近かったのかも知れない。
 忙しくて子どもの面倒を余り見られない母親の愛情を兄弟二人が奪い合っている。
 この男と、始めて港の倉庫街で出会った時の頃に感じた感情と比べると、隔世の感があった。

「聞き出したんだ。別に彼女がお前と俺とで差を付けてるわけじゃない。と言うか、彼女にしてみりゃ、俺達は二人とも等しくクズだ。」
「、、まあ、いい。それで、羊男をやった奴の正体ってのは何だ?」
「ジッパーじゃ、犯人は人間とナノマシンのハイブリットじゃないかとあたりを付けてるらしい。」
「ナノマシンとのハイブリッド、、。そんなモノが出来るのか?」
 漆黒が心底驚いたように言った。

「羊男をやった奴は、まだ不完全でその証拠を羊男の体内にタップリ残していったらしい。が、そいつはそれなりにちゃんと動き回って殺しの能力を発揮してるんだ。って事は、完成したのが他にも存在してる可能性が、あるんだろうな、、。」
 漆黒は『その完成体が、あのカミソリ男なのか?』と一瞬思ったが、こればかりは調べてみないと判らない。
 カミソリ男はラバードール殺し事件の第一容疑者だ。
 そして奇妙な殺しの手口を見せている、、だが、下手な思いこみは避けなければならない。
 それが刑事の仕事だった。

 しかし別の推理は出来た。

『そいつが、もしかして張果の言ってた天敵ってやつなのか、、、。』
 細胞の無限増殖機能を備えるナノマシンで出来た「人間」。
 新しい種類の亜・亜人類、、。
 知的生命体とやらは、どんどん進化増殖していく。
 漆黒はその後、深くため息をついた。



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