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第6章 魁けでの戦い
82: エピローグ
しおりを挟む戦いの後、混沌王は自ら言い出した曙号からの部分品調達案を取り下げたのだが、ネロ・サンダースは自分には船を返す義務があるといって、そのプランを実行した。
だが曙号の中には、既に人員はおらず、動力系のパーツは全て破壊されていた。
結局、混沌王機はホバーエンジン修理に長い時を要し、混沌王機がアクアゲヘナに戻ったのは百日後の事であった。
ただ同機の修理期間中に混沌王は、5人の部下とアレンを引き連れ、徒歩での近隣コロニー・タイガバンキへの探査を成功させていた。
その意味で、この混沌王第一回遠征は全くの失敗ではなかったと言える。
この行動が後の本格的なコロニー・タイガバンキ遠征に繋がり、ついにアクアゲヘナは、外界開拓以外の領土拡張に手を染め始めたのである。
・・・・・・・・
「問題は、やはり駐屯軍の物見の塔だな。あれはタイガバンキ内の動きを常に監視してるし、何よりアクアゲヘナからの宙船を呼び寄せる誘導灯と灯台の役目を果たしている。あれを潰すことが出来れば、こちらの戦局が有利になる以上に、アクアゲヘナからの援軍や武器補充の道が絶てる。」
安酒場の片隅で、農夫の格好をしたイワーノフが仲間の男にボソボソと言った。
それでも極端に周囲を警戒している様子はない。
タイガバンキにおけるレジスタンス活動は民衆に大きく支持されていたのだ。
「しかしどうするよ。あそこはアクアゲヘナの精鋭兵士が、五万と駐屯してるぜ。」
若い男が悔しそうに言った。
「そこの所だな、、こちらが何をするにも、人数が圧倒的に少ない。」
そんな彼らの会話に割り込むように、いつの間にか一人の男が彼らが座るテーブルの脇に立っていた。
「その話、何なら俺が一肌脱いでやってもいいぜ。」
若い東洋系の男だ。
気がつけば、その隣に少女が一人、男に寄り添うように立っている。
「お前誰だ?見かけねぇ顔だな、噂に聞くアクアゲヘナからの第一移民団の一人か?」
アクアゲヘナからの移民が来るという話は前からあって、タイガバンキ内の特別区域には移民迎え入れの為のテントが既に設営されていた。
「俺か?俺は葛星弾駆。穴から這い出てきた男だよ。」
「穴?」
「そうだ、そこからこいつと一緒に来た。」
そう言って葛星弾駆は嬉子の頭を撫でた。
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