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第3章 蠢動
22: 越境
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「家庭環境ですか、、、。恥ずかしいけど、それは私も同じだわ。私が岩田について知っている事は、前にあの子を受けもたれた先生の引き継ぎと、一回だけ成功した家庭訪問の内容分だけなの。後は他の生徒からの又聞きだけだもの。本人は、自分の家のこと、全然喋らないし。」
岩田の担任だった前任者は、退職したと聞いている。
仕事に疲れ切ってリタイアする人間が出たとしても、当たり前の仕事だった。
肉体的な疲労はもちろんだが、それ以上に問題児を抱えた学級担任は「お前は、何をしているんだ」という周囲の声に押しつぶされる。
いやむしろ辞めていく人間は、世間で言われるような精神的に弱い人物というより、普通の平均的な感性の持ち主の方が、そうなって行くのではないかと、神無月は思っていた。
中学校の現場では、世間では当たり前の事が、当たり前の事として通らないのだ。
「岩田んとこへ、家庭訪問ができたんですか、それはすごいな、、。」
神無月も岩田の父親が、ほとんど家にいないことを知っていた。
母親はいない、どういう経過で何故いないのかは判らなかった。
「彼の父親とね、会えたの。今から考えると、あの時はすごい偶然がいくつか重なったんだと思うわ。」
「岩田の父親ってどんなのでした?」
「息子によく似てて、ダンディって感じかな。変な感じはなかったわよ。大変だと思いますが、よろしくお願いしますって言われたわ。」
「、、、変な感じはないって、おかしいでしょ。父子家庭の生徒が、他にいないわけじゃない。でもみんなそれなりに育ってる。岩田は無茶苦茶だ。」
神無月は正直な所を言った。
「何がどうなるかなんて、誰にも分からないわ。うちの娘だって、なんで持ってるのか、時々わからなく時があるもの。」
「それは加賀美先生が、娘さんのこと、ちゃんと思ってるからですよ。」
「だから岩田の父親が息子のことを、ちゃんと思ってないって事なの?」
「、、、もうよしましょう、そこのところは。俺は先生と議論する気になれない。悪い意味じゃなくてね。岩田はずっと一人で生活してるわけですか?」
「近所のオバサンが見るに見かねて、世話を焼いてくれてるみたいだけど、基本的には一人でなんでもやってるみたい。お金の方も潤沢とは言えないけど、父親からの仕送りは今もあるみたいね。」
神無月は、なんだか何処かで聞いたような境遇だと思ったが、それはキョウの家庭環境によく似ていたのだ。
「岩田の家族は、他府県からこっちへ変わって来たんですかね?」
キョウがそうだったから、神無月はなんとなく聞いてみた。
それに岩田自身も、大阪の子どもたちとは、どこか違う空気感を持っていたのだ。
「それはないんじゃないかな。父親の方はコテコテの大阪弁だったしね。あっそうだ、そういえば岩田がうちの中学校に入るときに、これは校区違いの越境じゃないかって、話が持ち上がってたわね。」
「越境?」
「いえ、そんなに遠くからの越境ってことじゃなく。そうそう、こっちの校区の小学校の卒業なのよ。」
加賀美がいう「こっちの校区」とは、姿食堂のある地域をさしている。
つまり加賀美らが今勤めている中学校の隣接校区だ。
「うちの中学校って、距離だけで測ったら、こっちの小学校の方が近いじゃない。だから家の状況というか、そういうので、校区外入学が認められる事があるのよ。例えば、今は無理だけど数カ月後に、うちの校区内に転居して来るのが間違いないとか。でも結局、越境のままってことも結構あるけどね。」
・・・岩田の本当の家は、こっちの校区にある。それと、中国人の買い占め、、それが岩田と何か関係があるのか?
神無月の頭の中で何かが、かみ合ったような気がした。
「それって確か、ある程度の事までは、学校で調べられましたよね?」
「ええ、彼らが卒業するまでは、小学校からの台帳が保存してあるわね。でもそれが何か?」
「まだはっきりした事は言えないけど、ちょっと考えてる事があるんですよ。それに明日も考査だから、そっち終わったら俺、時間休とって岩田が居そうな場所の心当たりを探して見ます。」
「心当たり?」
「あいりん地区ですよ。土日行ったって、無理ぽい感じがしてたんだけど、、明日は平日でしょ。それに岩田は学校が定期考査中だって知ってる訳ないから、ちょっとは動き回る可能性もある。」
「あっ!あいりん地区か、、成るほど、、。でも私は正直言って、ちょっと無理かな。絶対いるって判ってたら、度胸決めて行くんだけど。」
加賀美は複雑な表情を見せた。
これが、あいりん地区でなければ、彼女はすっ飛んで行くと言っただろう。
「はは、何も一緒に行こうって誘ってるわけじゃないですよ。でも今のを聞いて、少し安心しましたよ。加賀美先生も普通の女の人なんだって。」
「、、ごめんなさい・」
加賀美が体を小さくして言った。
「なんだ、女連れて行くんなら、もうちょっとマシな所に行けよ。」
急に背後から声がした。
キチだった。
神無月に、キチらと鉢合わせする予感がなかったわけではないが、姿食堂には早く来ている。
彼らがやって来そうな時間には、自分たちはもう食堂を引き上げていると勝手に思いこんでいたのだ。
隣に座っている加賀美の体が硬くなったのが判った。
神無月がスツールから腰を外して、加賀美を守るように立ち上がった。
キチの顔に獰猛な笑みが広がる。
こいつ、ようやく俺の挑発にのりやがった、そんな感じだった。
「おい!キチ!注文は!」
そんなキチの背後から強い口調の声が浴びせ掛けられた。
「キチ、お前まさか、まずは腹ごしらえだって事で、ここに入ったのを忘れてんじゃないだろうな?」
いつもの壁際の席に陣取っていたキチの兄貴分がこちらを見ていた。
オールバックの細面の顔、左目の眉毛当たりの上に縦の傷跡があった。
いわゆる『向こう傷』というものだった。
神無月達ともその男の視線が交差し、男は少し頷いたように見えた。
もしかしたらそれは神無月ではなく、隣の加賀美に対して心配するなという合図を送ったのかも知れない。
それでもキチの目はしばらく神無月から外れなかったが、やがて諦めたように、カウンター奥の親父に向いた。
「オムライスなら今すぐ出来るんだろ?俺はただの焼きめしで良い、大盛りでな。直ぐに作ってくれ、ただしオムライスは手を抜くなよ。兄貴が気に入ってるんだ。それを忘れるな。」
『馬鹿が。オムライスの注文にまで、脅し入れてんのか。』
再び席に着いた神無月はそう思ったが、さすがにそれを声にはしなかった。
キチの兄貴分が、何を考えたのか、二人の対立へ仲裁に入ったのは明らかだったからだ。
それに神無月の方も、瞬間的に加賀美を庇おうとしただけで、売られた喧嘩を買うつもりで席をたったわけではないのだ。
「あいよ!」
その場の雰囲気を和らげるかのように、親父の明るい声が聞こえた。
神無月は、そっと自分のスマホを他から見えないようにカウンターの上にさりげなく置いた。
しばらくして、加賀美のスマホに着信が入る。
神無月が自分のスマホを又、いじる。
「あっ、それ娘さんじゃないですか?ヤバイな、それ。」
神無月が、慌てたような声を上げる。
加賀美が口元に人差し指を立てて、口を閉じろという合図を神無月に送ってから、小声でなにやらスマホに受け答えをする。
最後に「ゴメン、直ぐ帰るから」という声を残して加賀美はスマホを切った。
「残念だけど先生、今日はここでね。」
「いいえ、こっちこそすいませんでした。」
神無月がいかにも残念そうに言うと、加賀美はアタフタと姿食堂から出て行った。
国語の教師が書くべきではない、程度の低い猿芝居の台本だったが、加賀美の演技力が素晴らしかった。
もしかして本当に、あのタイミングで娘から本物の通話があったのかと錯覚する程だった。
もちろんそんなワケはなかった。
こんな風に男の不倫はばれて、女の不倫はばれないのだろうなと、神無月は妙な事を思った。
岩田の担任だった前任者は、退職したと聞いている。
仕事に疲れ切ってリタイアする人間が出たとしても、当たり前の仕事だった。
肉体的な疲労はもちろんだが、それ以上に問題児を抱えた学級担任は「お前は、何をしているんだ」という周囲の声に押しつぶされる。
いやむしろ辞めていく人間は、世間で言われるような精神的に弱い人物というより、普通の平均的な感性の持ち主の方が、そうなって行くのではないかと、神無月は思っていた。
中学校の現場では、世間では当たり前の事が、当たり前の事として通らないのだ。
「岩田んとこへ、家庭訪問ができたんですか、それはすごいな、、。」
神無月も岩田の父親が、ほとんど家にいないことを知っていた。
母親はいない、どういう経過で何故いないのかは判らなかった。
「彼の父親とね、会えたの。今から考えると、あの時はすごい偶然がいくつか重なったんだと思うわ。」
「岩田の父親ってどんなのでした?」
「息子によく似てて、ダンディって感じかな。変な感じはなかったわよ。大変だと思いますが、よろしくお願いしますって言われたわ。」
「、、、変な感じはないって、おかしいでしょ。父子家庭の生徒が、他にいないわけじゃない。でもみんなそれなりに育ってる。岩田は無茶苦茶だ。」
神無月は正直な所を言った。
「何がどうなるかなんて、誰にも分からないわ。うちの娘だって、なんで持ってるのか、時々わからなく時があるもの。」
「それは加賀美先生が、娘さんのこと、ちゃんと思ってるからですよ。」
「だから岩田の父親が息子のことを、ちゃんと思ってないって事なの?」
「、、、もうよしましょう、そこのところは。俺は先生と議論する気になれない。悪い意味じゃなくてね。岩田はずっと一人で生活してるわけですか?」
「近所のオバサンが見るに見かねて、世話を焼いてくれてるみたいだけど、基本的には一人でなんでもやってるみたい。お金の方も潤沢とは言えないけど、父親からの仕送りは今もあるみたいね。」
神無月は、なんだか何処かで聞いたような境遇だと思ったが、それはキョウの家庭環境によく似ていたのだ。
「岩田の家族は、他府県からこっちへ変わって来たんですかね?」
キョウがそうだったから、神無月はなんとなく聞いてみた。
それに岩田自身も、大阪の子どもたちとは、どこか違う空気感を持っていたのだ。
「それはないんじゃないかな。父親の方はコテコテの大阪弁だったしね。あっそうだ、そういえば岩田がうちの中学校に入るときに、これは校区違いの越境じゃないかって、話が持ち上がってたわね。」
「越境?」
「いえ、そんなに遠くからの越境ってことじゃなく。そうそう、こっちの校区の小学校の卒業なのよ。」
加賀美がいう「こっちの校区」とは、姿食堂のある地域をさしている。
つまり加賀美らが今勤めている中学校の隣接校区だ。
「うちの中学校って、距離だけで測ったら、こっちの小学校の方が近いじゃない。だから家の状況というか、そういうので、校区外入学が認められる事があるのよ。例えば、今は無理だけど数カ月後に、うちの校区内に転居して来るのが間違いないとか。でも結局、越境のままってことも結構あるけどね。」
・・・岩田の本当の家は、こっちの校区にある。それと、中国人の買い占め、、それが岩田と何か関係があるのか?
神無月の頭の中で何かが、かみ合ったような気がした。
「それって確か、ある程度の事までは、学校で調べられましたよね?」
「ええ、彼らが卒業するまでは、小学校からの台帳が保存してあるわね。でもそれが何か?」
「まだはっきりした事は言えないけど、ちょっと考えてる事があるんですよ。それに明日も考査だから、そっち終わったら俺、時間休とって岩田が居そうな場所の心当たりを探して見ます。」
「心当たり?」
「あいりん地区ですよ。土日行ったって、無理ぽい感じがしてたんだけど、、明日は平日でしょ。それに岩田は学校が定期考査中だって知ってる訳ないから、ちょっとは動き回る可能性もある。」
「あっ!あいりん地区か、、成るほど、、。でも私は正直言って、ちょっと無理かな。絶対いるって判ってたら、度胸決めて行くんだけど。」
加賀美は複雑な表情を見せた。
これが、あいりん地区でなければ、彼女はすっ飛んで行くと言っただろう。
「はは、何も一緒に行こうって誘ってるわけじゃないですよ。でも今のを聞いて、少し安心しましたよ。加賀美先生も普通の女の人なんだって。」
「、、ごめんなさい・」
加賀美が体を小さくして言った。
「なんだ、女連れて行くんなら、もうちょっとマシな所に行けよ。」
急に背後から声がした。
キチだった。
神無月に、キチらと鉢合わせする予感がなかったわけではないが、姿食堂には早く来ている。
彼らがやって来そうな時間には、自分たちはもう食堂を引き上げていると勝手に思いこんでいたのだ。
隣に座っている加賀美の体が硬くなったのが判った。
神無月がスツールから腰を外して、加賀美を守るように立ち上がった。
キチの顔に獰猛な笑みが広がる。
こいつ、ようやく俺の挑発にのりやがった、そんな感じだった。
「おい!キチ!注文は!」
そんなキチの背後から強い口調の声が浴びせ掛けられた。
「キチ、お前まさか、まずは腹ごしらえだって事で、ここに入ったのを忘れてんじゃないだろうな?」
いつもの壁際の席に陣取っていたキチの兄貴分がこちらを見ていた。
オールバックの細面の顔、左目の眉毛当たりの上に縦の傷跡があった。
いわゆる『向こう傷』というものだった。
神無月達ともその男の視線が交差し、男は少し頷いたように見えた。
もしかしたらそれは神無月ではなく、隣の加賀美に対して心配するなという合図を送ったのかも知れない。
それでもキチの目はしばらく神無月から外れなかったが、やがて諦めたように、カウンター奥の親父に向いた。
「オムライスなら今すぐ出来るんだろ?俺はただの焼きめしで良い、大盛りでな。直ぐに作ってくれ、ただしオムライスは手を抜くなよ。兄貴が気に入ってるんだ。それを忘れるな。」
『馬鹿が。オムライスの注文にまで、脅し入れてんのか。』
再び席に着いた神無月はそう思ったが、さすがにそれを声にはしなかった。
キチの兄貴分が、何を考えたのか、二人の対立へ仲裁に入ったのは明らかだったからだ。
それに神無月の方も、瞬間的に加賀美を庇おうとしただけで、売られた喧嘩を買うつもりで席をたったわけではないのだ。
「あいよ!」
その場の雰囲気を和らげるかのように、親父の明るい声が聞こえた。
神無月は、そっと自分のスマホを他から見えないようにカウンターの上にさりげなく置いた。
しばらくして、加賀美のスマホに着信が入る。
神無月が自分のスマホを又、いじる。
「あっ、それ娘さんじゃないですか?ヤバイな、それ。」
神無月が、慌てたような声を上げる。
加賀美が口元に人差し指を立てて、口を閉じろという合図を神無月に送ってから、小声でなにやらスマホに受け答えをする。
最後に「ゴメン、直ぐ帰るから」という声を残して加賀美はスマホを切った。
「残念だけど先生、今日はここでね。」
「いいえ、こっちこそすいませんでした。」
神無月がいかにも残念そうに言うと、加賀美はアタフタと姿食堂から出て行った。
国語の教師が書くべきではない、程度の低い猿芝居の台本だったが、加賀美の演技力が素晴らしかった。
もしかして本当に、あのタイミングで娘から本物の通話があったのかと錯覚する程だった。
もちろんそんなワケはなかった。
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