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第2章 出会い
06: キョウ
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神無月が副担任をしている数学教師の加賀美が、自分の娘の都合で有給休暇になり、彼は一日、加賀美学級の面倒をみる事になった。
近くに親もおらず、バツイチの彼女は、自分の一人娘に何かがあると、どうしても休まざるを得ないのだ。
生徒達は最初こそ「今日はカムイがカガミンの代わりに来たぞ」と大人しめにしていたが、一日が終わる頃には神無月はへとへとになっていた。
7限ある授業コマでそれぞれの教科担当から、加賀美学級への文句がでなかったのは体育の時間だけで、後は総て、授業中、アイツが邪魔をした、あの子が暴言を吐いたのオンパレードだった。
該当学年の保護者の中には、この加賀美学級の荒れた状態を聞き及んで、だから女教師は舐められるんだとか、女だから厄介者生徒を押しつけられたんだとか、見当外れな事を言うものがいるようだったが、実際はまったく違った。
この問題児の集まった、いや集められた学級は、この一見大人しく線の細そうな女教師だから辛うじて持っていて、毎年難渋する新年度のクラス編成会議で、そんな彼らをまとめて引き受けると自ら言い放って「立った」のが加賀美なのだ。
そう加賀美は、今時、珍しいほどの古風な熱血教師だった。
そんな加賀美が、テレビドラマみたいに生徒から慕われたり、保護者から信頼を寄せられるヒロインになれないのは、彼女が徹底して厳しいからであり、その上なまじっか線の細い美貌を持っている為に、冷たそうな印象があるからだった。
だがその本当の所は、同じ教師仲間なら直ぐに判る。
そして生徒の方も、反抗し悪態をつきながらも、最後の最後にはこの加賀美の言うことを聞いた。
それは神無月には、到底到達できないレベルだった。
なのに神無月は、世間的には、この「生徒に舐められる頼りない女教師」を補佐するために転任してきた強面の若手教師をいう役柄になっていたのだ。
強面の教師など、もとより神無月の柄ではなかったが、自分が教師をやっている事に疑問を感じ始めていた時期でもあり、神無月はこの新しい赴任先で、意識的に破天荒をやっているような部分が確かにあった。
前任校では決してやらなかった生徒への暴言、威圧も、問題にならない程度に意識して使ってみる事にしていた。
ただそれはあくまでも神無月が演技しているだけの話で、長い学校業務が終わる頃には、彼はもうへとへとになっていたのだ。
学校からの帰り、神無月の足は、自然と姿食堂に向かっていた。
今夜はあのキョウと名乗った少年が居るだろうかと、妙に気になった。
高校生と言えば、自分が毎日相手をしている生徒達とそう年齢が離れている訳ではない。
それでもあの少年を見ていると心が和む。
中学校にも真面目な生徒は大勢いるが、彼らが教師に対して向けている視線には、どこかに構えがあった。
荒れている学校だからという面もあったが、何か他にもあるような気がしていた。
みんな、つまり教師も生徒も、学校というシステム、あるいはそれが求める集団の形自体に、疲れているのだ。
そして荒れてくると、学校はなおさら管理を強めなくてはいけなくなり、今度の「荒れ」は、それを上回ろうと益々酷く陰湿になっていく。
そんな中、生徒に理解の手を差し伸べて、という教師から倒れていくのが不思議だった。
姿食堂で会うキョウには、そういった殺伐さがない。
当たり前と言えば当たり前だったが、神無月にはそれが有り難かった。
自分の関わっている生徒達だって、きっと別の何処かでは、別の可愛らしい貌を見せている筈だと思えるからだ。
「おっ、今夜もお疲れだね。」
店に入ってカウンター席に座った途端、親父がそう言った。
そう言ってくれるだけで、有り難かった。
職場の人間は全員疲れていて、「お疲れ」が常態モードで、だれもそんな事を口にしない。
相手を労ったら、自分の苦労の値打ちが下がるみたいな追い詰められた関係だった。
それにこの親父は、そういうことを営業ではなく、本気で自然に口に出来る。
苦労人なのだ。
神無月は、ちらりとタコ焼き台の方に視線をやるが、そこには誰もいなかった。
キョウはこの店の従業員ではないから、居なくても当たり前なんだと、神無月は自分を納得させた。
「何か、お勧めある?」
「今日は、朝から関東だきを仕込んだんだ。いいぐわいに味がしゅんでる、食べてみるかい?それと、ごんぼとかしわの炊いたの。もちろん炊飯器には、白いメシもあるけどな。」
関東だきとはおでんの事だし、しゅむというのは染みこんでいるの意味だが、この親父は決してそういう平均的な言い方をしない。
「いいね、それ。二つとももらうよ。で、おでんには何があるの?」
「そこんとこの壁の上に書いてあるよ。毎晩、書いてるんだけど、気がつかない?」
そう言った親父の視線の先を神無月が辿ると、確かに店の壁の上部に、年季の入った小黒板が掛けてあって、白墨によるクセのある字で「今日のお勧め」と書いてあった。
これでは「おまえら、何聞いてんだ!ここに書いてあるだろうが!」と、生徒には責められないなと、神無月は恥じ入った。
「あっと、ならとりあえず大根とごぼてん、こんにゃくに厚揚げね。それとからしはタップリ、アルコールは銚子で熱燗一本。お願い。」
「あいよ」
親父がそういって調理場の奥に移動した時に、店の入り口近くで、カブのエンジン音が聞こえ、やがてそれが止まった。
続けて店の引き戸が開くと、ハーフヘルメットを阿弥陀に被ったキョウが勢い良く入ってきた。
片手の先には、結構重そうなビニール袋がぶら下がっている。
うしろを振り返った神無月と、キョウの目があった。
「あっ、いらっしゃい!」
「ああ、キョウ君、今日は休みかと思ってたよ。」
「急な大口の注文が入っちゃって、このままだと、途中で粉が足りなくなる感じなんで、仕入れにいって来たんす。」
「へぇー、流行ってんだ。確かにキョウ君のタコ焼き美味いもんね」
「味の方は自信ないすけど、こんな夜中に、タコ焼いてるのはこのヘンじゃウチくらいですからね。」
キョウはぶら下げていたビニール袋を胸元に引き上げて、それを大事そうにポンポンと叩いた。
どうやら近くのコンビニで小麦粉の小袋を調達したのではなく、遠征してきたらしい。
「でも俺、粉だけは拘ってるんすよ。料理の腕なんか端からないし、せめてそういうのに拘らないとね。」
そういうと、もう良いだろうという感じで言葉を残し、キョウはタコ焼き台の側にある調理場への入り口にすっとんでいった。
「近所のオカマバーから、今夜急にパーティーをやることになったから、タコ焼きを都合してくれって電話がかかってきたんだよ。こっちは関東だきがあるから、それじゃだめかって聞いたら、タコパみたいなのがしたいんだとか、レンジで温め直して、アレンジはこっちでするとか、聞いてもいないこと言って挙げ句の果ては、俺っちの料理の味は、古くさいとか言いくさって、あのお釜ども。」
そう言いながら、湯気が上がっているおでんを皿に盛った物を、カウンターテーブルに置いた親父だったが、口調はそれほど憎々しげではなかった。
そのオカマバーとは、普段からある程度の親交があるのだろう。
「そんなバーってあったっけ?」
「本通りの方だよ。ちょっと奥まったところにある。他にも怪しい場所が、いくつかあるけど、お客さんが知らないのは無理ないさ。でもあんたみたいな、お客さんが面白がって行くようなところじゃないよ。」
今度は本気の口調で釘を刺された。
よこはめ たてはめ ホテルの小部屋
くちづけ お股の なすびの先に
ブロウす 縦笛 随喜の涙
あの人は イッテ イッテ しまった
あの人は イッテ イッテ しまった
もうおしまいね~
タコ焼き台の方からキョウの鼻歌が聞こえてきた。
どうやら出前の準備が整ったらしい。
「彼、なんだか、ご機嫌だね。」
「そりゃ、自分の作ったものが沢山売れるんだ。、、、それにアイツは、ああいう世界に興味があるのさ。」
親父は後の台詞を言いにくそうに言った。
近くに親もおらず、バツイチの彼女は、自分の一人娘に何かがあると、どうしても休まざるを得ないのだ。
生徒達は最初こそ「今日はカムイがカガミンの代わりに来たぞ」と大人しめにしていたが、一日が終わる頃には神無月はへとへとになっていた。
7限ある授業コマでそれぞれの教科担当から、加賀美学級への文句がでなかったのは体育の時間だけで、後は総て、授業中、アイツが邪魔をした、あの子が暴言を吐いたのオンパレードだった。
該当学年の保護者の中には、この加賀美学級の荒れた状態を聞き及んで、だから女教師は舐められるんだとか、女だから厄介者生徒を押しつけられたんだとか、見当外れな事を言うものがいるようだったが、実際はまったく違った。
この問題児の集まった、いや集められた学級は、この一見大人しく線の細そうな女教師だから辛うじて持っていて、毎年難渋する新年度のクラス編成会議で、そんな彼らをまとめて引き受けると自ら言い放って「立った」のが加賀美なのだ。
そう加賀美は、今時、珍しいほどの古風な熱血教師だった。
そんな加賀美が、テレビドラマみたいに生徒から慕われたり、保護者から信頼を寄せられるヒロインになれないのは、彼女が徹底して厳しいからであり、その上なまじっか線の細い美貌を持っている為に、冷たそうな印象があるからだった。
だがその本当の所は、同じ教師仲間なら直ぐに判る。
そして生徒の方も、反抗し悪態をつきながらも、最後の最後にはこの加賀美の言うことを聞いた。
それは神無月には、到底到達できないレベルだった。
なのに神無月は、世間的には、この「生徒に舐められる頼りない女教師」を補佐するために転任してきた強面の若手教師をいう役柄になっていたのだ。
強面の教師など、もとより神無月の柄ではなかったが、自分が教師をやっている事に疑問を感じ始めていた時期でもあり、神無月はこの新しい赴任先で、意識的に破天荒をやっているような部分が確かにあった。
前任校では決してやらなかった生徒への暴言、威圧も、問題にならない程度に意識して使ってみる事にしていた。
ただそれはあくまでも神無月が演技しているだけの話で、長い学校業務が終わる頃には、彼はもうへとへとになっていたのだ。
学校からの帰り、神無月の足は、自然と姿食堂に向かっていた。
今夜はあのキョウと名乗った少年が居るだろうかと、妙に気になった。
高校生と言えば、自分が毎日相手をしている生徒達とそう年齢が離れている訳ではない。
それでもあの少年を見ていると心が和む。
中学校にも真面目な生徒は大勢いるが、彼らが教師に対して向けている視線には、どこかに構えがあった。
荒れている学校だからという面もあったが、何か他にもあるような気がしていた。
みんな、つまり教師も生徒も、学校というシステム、あるいはそれが求める集団の形自体に、疲れているのだ。
そして荒れてくると、学校はなおさら管理を強めなくてはいけなくなり、今度の「荒れ」は、それを上回ろうと益々酷く陰湿になっていく。
そんな中、生徒に理解の手を差し伸べて、という教師から倒れていくのが不思議だった。
姿食堂で会うキョウには、そういった殺伐さがない。
当たり前と言えば当たり前だったが、神無月にはそれが有り難かった。
自分の関わっている生徒達だって、きっと別の何処かでは、別の可愛らしい貌を見せている筈だと思えるからだ。
「おっ、今夜もお疲れだね。」
店に入ってカウンター席に座った途端、親父がそう言った。
そう言ってくれるだけで、有り難かった。
職場の人間は全員疲れていて、「お疲れ」が常態モードで、だれもそんな事を口にしない。
相手を労ったら、自分の苦労の値打ちが下がるみたいな追い詰められた関係だった。
それにこの親父は、そういうことを営業ではなく、本気で自然に口に出来る。
苦労人なのだ。
神無月は、ちらりとタコ焼き台の方に視線をやるが、そこには誰もいなかった。
キョウはこの店の従業員ではないから、居なくても当たり前なんだと、神無月は自分を納得させた。
「何か、お勧めある?」
「今日は、朝から関東だきを仕込んだんだ。いいぐわいに味がしゅんでる、食べてみるかい?それと、ごんぼとかしわの炊いたの。もちろん炊飯器には、白いメシもあるけどな。」
関東だきとはおでんの事だし、しゅむというのは染みこんでいるの意味だが、この親父は決してそういう平均的な言い方をしない。
「いいね、それ。二つとももらうよ。で、おでんには何があるの?」
「そこんとこの壁の上に書いてあるよ。毎晩、書いてるんだけど、気がつかない?」
そう言った親父の視線の先を神無月が辿ると、確かに店の壁の上部に、年季の入った小黒板が掛けてあって、白墨によるクセのある字で「今日のお勧め」と書いてあった。
これでは「おまえら、何聞いてんだ!ここに書いてあるだろうが!」と、生徒には責められないなと、神無月は恥じ入った。
「あっと、ならとりあえず大根とごぼてん、こんにゃくに厚揚げね。それとからしはタップリ、アルコールは銚子で熱燗一本。お願い。」
「あいよ」
親父がそういって調理場の奥に移動した時に、店の入り口近くで、カブのエンジン音が聞こえ、やがてそれが止まった。
続けて店の引き戸が開くと、ハーフヘルメットを阿弥陀に被ったキョウが勢い良く入ってきた。
片手の先には、結構重そうなビニール袋がぶら下がっている。
うしろを振り返った神無月と、キョウの目があった。
「あっ、いらっしゃい!」
「ああ、キョウ君、今日は休みかと思ってたよ。」
「急な大口の注文が入っちゃって、このままだと、途中で粉が足りなくなる感じなんで、仕入れにいって来たんす。」
「へぇー、流行ってんだ。確かにキョウ君のタコ焼き美味いもんね」
「味の方は自信ないすけど、こんな夜中に、タコ焼いてるのはこのヘンじゃウチくらいですからね。」
キョウはぶら下げていたビニール袋を胸元に引き上げて、それを大事そうにポンポンと叩いた。
どうやら近くのコンビニで小麦粉の小袋を調達したのではなく、遠征してきたらしい。
「でも俺、粉だけは拘ってるんすよ。料理の腕なんか端からないし、せめてそういうのに拘らないとね。」
そういうと、もう良いだろうという感じで言葉を残し、キョウはタコ焼き台の側にある調理場への入り口にすっとんでいった。
「近所のオカマバーから、今夜急にパーティーをやることになったから、タコ焼きを都合してくれって電話がかかってきたんだよ。こっちは関東だきがあるから、それじゃだめかって聞いたら、タコパみたいなのがしたいんだとか、レンジで温め直して、アレンジはこっちでするとか、聞いてもいないこと言って挙げ句の果ては、俺っちの料理の味は、古くさいとか言いくさって、あのお釜ども。」
そう言いながら、湯気が上がっているおでんを皿に盛った物を、カウンターテーブルに置いた親父だったが、口調はそれほど憎々しげではなかった。
そのオカマバーとは、普段からある程度の親交があるのだろう。
「そんなバーってあったっけ?」
「本通りの方だよ。ちょっと奥まったところにある。他にも怪しい場所が、いくつかあるけど、お客さんが知らないのは無理ないさ。でもあんたみたいな、お客さんが面白がって行くようなところじゃないよ。」
今度は本気の口調で釘を刺された。
よこはめ たてはめ ホテルの小部屋
くちづけ お股の なすびの先に
ブロウす 縦笛 随喜の涙
あの人は イッテ イッテ しまった
あの人は イッテ イッテ しまった
もうおしまいね~
タコ焼き台の方からキョウの鼻歌が聞こえてきた。
どうやら出前の準備が整ったらしい。
「彼、なんだか、ご機嫌だね。」
「そりゃ、自分の作ったものが沢山売れるんだ。、、、それにアイツは、ああいう世界に興味があるのさ。」
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