事故から始まる物語

maruta

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夏休み

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 学校が夏休みに入ると部活の時間が増える。とくに試合や合宿などの予定はないと言っていたのでいつも通りの休日練習と変わらないなぁと思っていた。今日は照先輩は病院に行ってから部活に来るらしく朝は来ていなかった。練習を始めて休憩していたら照先輩がやって来た。

 照「完全復活!」

 琴葉「照!治ったの?」

 照「治った!バスケ出来る!」

 琴葉「やったね!1on1やろ!」

 照「やらんよ」

 琴葉「なんでよ!!」

 照「嘘やって、やろ!」

 琴葉「やったー!」

 そう言って照先輩は琴葉先輩と1on1をやっていた。何回かやって照先輩はずっと固定されていて違和感があるのか手を握ったり開いたりしていたのでどうしたのか聞いてみた。

「照先輩、手どうかしたんですか?」

「ん?いや、なんか違和感があるから」

「違和感ですか?」

「そう、なんか指が短くなった?みたいな感じ」

「固定されてたからですかね?」

「かもね~まぁやってたら慣れるかぁ」

 そんな話をして照先輩はコートに戻って行った。久しぶりのはずなのに上手くて誰も照先輩を止めれなかった。今日は早めに部活を終わるということで16時前には終わりみんな帰宅して行った。私と詩音も帰ろうと体育館の外に出ると照先輩と飛鳥先輩が話している声が聞こえてきた。

 照「今日飛鳥のお母さん遅いんよね?なんか買って帰る?」

 飛鳥「そうだね、夜何が食べたい?」

 照「んー、なんでもいいけど汁物系は食べたいかな」

 飛鳥「汁物?」

 照「豚汁とか」

 飛鳥「なるほどね、豚汁にする?」

 照「そうしよ!」

 飛鳥「メインは何にしようかなぁ冷蔵庫の中見て来れば良かった~」

 照「豆腐と納豆が入ってたのは見たよ」

 飛鳥「なんでそんなのだけ見てるの・・・」

 照「朝、納豆食べたから」

 そんな話が聞こえてきて私と詩音は聞いてしまい、先輩たちは一緒に住んでいるみたいな話をしていたので聞いてみようと追いかけて声を掛けた。

 優希「照先輩!飛鳥先輩!」

 飛鳥「あれ?優希ちゃんと詩音ちゃん、まだ中に居たんだね」

 優希「あ、はい。あの、今先輩たちの話聞いてしまったんですけど」

 飛鳥「うん?」

 優希「あの、照先輩と飛鳥先輩って一緒に住んでいるんですか?」

 飛鳥「あー、そうだね。うん、一緒に住んでるよ」

 声を掛けたタイミングで照先輩は電話をしていたが聞いたら飛鳥先輩が答えてくれて一緒に住んでいるらしく驚いた。詩音がなんでなのか聞いていた。

 詩音「なんで一緒に住んでいるんですか?」

 飛鳥「照の両親が海外にいるんだけどね、その間照はお祖母さんと暮らしていたのでも、4月頃に転けて骨折をして入院したの」

 優希「それで入院している間は一緒に住んでいるですか?」

 飛鳥「ううん、もう退院はしてるよ。ただ介護が必要だからお医者さんに介護施設を勧められたらしくてね、それでお祖母さんがいなくなると照が一人暮らしになる事になるんだけど、照のご両親が一人暮らしは反対したから私の家で一緒に住んでるんだよ」

 詩音「そうだったんですね」

 飛鳥「うん、あ、そうだ!2人も来る?夜ご飯一緒に食べようよ!」

 飛鳥先輩が事情を説明してくれそうなんだと思っていたら何故か夜ご飯を一緒に食べようと招待されてしまった。

 優希「え!?いや、悪いですよ!?」

 飛鳥「全然大丈夫だよ!詩音ちゃんは逆方向だけどどう?」

 詩音「え!?い、いいんですか?」

 飛鳥「うん!照と話して豚汁は確定してるけどあとはまだ決まっていない状況だけどね!おいでおいで!」

 照「飛鳥の料理は美味いぞ~」

 詩音「て、照先輩まで!?」

 電話を終えて戻ってきた照先輩もノリ気で私と詩音はお邪魔しようと話してついて行った。途中で夜ご飯の材料を買って飛鳥先輩の家に着いて、飛鳥先輩がドアを開けてくれた。

 飛鳥「どうぞ~」

 優希・詩音「お邪魔します!」

 照「いらっしゃいませー?」

 飛鳥「・・・何言ってるの?」

 入るなり照先輩が変なことを言っていて飛鳥先輩に冷たい目で見られていた。飛鳥先輩はリビングに入り材料を冷蔵庫に入れたあと、トイレの場所などを教えてくれた。

 飛鳥「廊下の右側の扉を開けると洗面所になっていて入って左がトイレで右がお風呂場になってるから手はそっちで洗ってね!」

 優希・詩音「分かりました!」

 飛鳥「私と照は着替えてくるからリビングのソファに座って待っててね!」

 そう言って飛鳥先輩は2階へと上がって行った。照先輩は先に行ったのか既に1階には居なくて詩音と手洗いとうがいをしてリビングに入るとすぐに着替えた照先輩が入ってきた。

 照「手とか洗った?」

 優希「はい!洗いました!」

 照「おっけ~」

 詩音「本当に黒い服着てるんですね」

 照「汚れ目立たないし?」

 詩音が言った通り照先輩は黒い半袖パーカーと何か模様の入った黒い半ズボンを着ていた。そんな話をしていたら飛鳥先輩が入ってきた。

 飛鳥「あー!やっぱりそれ着てる!」

 照「なんで?ダメなの?」

 飛鳥「洗濯のフリして隠しとけばよかった・・・」

 照「えぇ?なんで?」

 詩音「ダサいからですよ!」

 照「えぇ?そうかなぁ?」

 照先輩は本当に服に興味が無いようで飛鳥先輩と詩音に言われてもよく分かっていない感じで面白かった。
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