事故から始まる物語

maruta

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ユニホーム

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 入学して2ヶ月が経ったもうすぐ大会があるためユニホームが配られる事になった。基本3.2年生がベンチ入りをして試合に出れそうな1年生がユニホームを貰えるらしいが去年はスタメン入りをしていた照先輩だけだったと聞いた。うちの高校はスカウトなどをしている訳でも部員数が多い訳でもないが全国に出場する程には強かった。
 そんな中で1年の頃からスタメンを張っている照先輩は本当に上手いんだと実感していて、私もせめてユニホームを貰い出場機会があれば出たいと思っていた。しかし、1年生は誰もユニホームを貰うことが出来なかった。しかし、試合に出るだけが全てではないためしっかり先輩たちを応援しとうと思った。
 部活も試合に向けての練習が多くなり基本スタメンの人がコートにいる時間が増えていて、私たち1年はサポートをメインでやっていたが空いている時間はそれぞれシュート練習や動きの練習をしていた。そんな中紗夜が声を掛けてきた。

「優希!ディフェンスの練習したいから付き合って!」

「うん、いいよ!私もドリブルの練習する!」

「うん!」

 そう言って紗夜はディフェンスの練習、私はドリブルのフェイントをメインで練習していたが、紗夜は私よりも体が小さいためシュートを打とうと思えば打てれそうな感じだった。

「1on1だとやっぱり上から打たれるな~」

「身長差はしょうがないよ」

 バスケに置いて身長差はやはりしょうがない部分が大きかったが小さい選手でも活躍している人はいるし、実際に先輩でも琴葉先輩は紗夜より小さいかもしれないくらいの身長だったがスタメンとして試合に出ていたりするので言ってみた。

「琴葉先輩にアドバイスもらったりすればいいんじゃない?」

「私もそう思って聞きに行ったんだけど琴葉先輩って感覚派で何言ってるか分からなかった。」

「そうなんだ・・・」

 感覚で動いているのも凄いなと思ったが私には琴葉先輩の感覚が分かるわけではないので何も言えなかった。そこに照先輩がやって来た。

 照「何してんの?」

 紗夜「あ、照先輩。動きとか琴葉先輩の真似をしようと思って琴葉先輩に聞きに行ったんですけど、琴葉先輩の言っていることが分からなくて・・・」

 照「あー、なるほどね~。琴葉は野生の勘で動いとる時あるからなぁ」

 優希「野生の勘ですか?」

 照「そう、多分なんとなく相手の動きを見てこっちに行きそうみたいな感覚で動いとりそうなんよなぁ」

 紗夜「そうなんですか?」

 照「試合中とか相手の位置と味方の位置をよく確認しとるんやけど、琴葉だけ時々相手より先に居ることあるからなぁ私にも意味分からんわ~」

 照先輩はそう言いながらケラケラと笑っていた。照先輩でも読めない動きをするらしいので私や紗夜が真似をしても出来そうにないなと思った。

 照「紗夜はSF向きっぽいし、サイドからの攻撃を練習して行くしかないやろな~」

 紗夜「そうですよね」

 照「それともPGやる?」

 紗夜「考えること多そうで試合中パンクします」

 照「あはは、そんな事ないけどなぁ」

 紗夜「アドバイスありがとうございます!」

 照「どういたしまして~」

 そんな話をして照先輩は自分の練習へと戻って行った。私は中学の時もPGをしていたので1年生の時からスタメンとして試合に出ている照先輩を目標に練習していこうと思った。

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