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さぁ柵の外へ!!

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「お兄ちゃんおはよー」

「痛い!痛い!エルちゃん降りて」


    僕は二日連続エルちゃんに体の上ではねられながら朝、目が覚めた。今日も、もう起きているのに現在進行形で俺の上を飛び跳ねている。


「エル、もうやめてあげなさい。ラルくんもう起きてるわよ」

「はーい」

「朝ごはんできたから、食べちゃって」

「あれ?お父さんはまだ寝てるの?エルが起こしてこようかー?」

「あれ言ってなかったけ?今日はお父さん、家の外に出る日よって」

「サキルさん、その家の外に出る日ってなんですか?」


    エルちゃんから昨日『食べ物を貰いに行ってる』と聞いたが、なんとなくサキルさんの反応が気になったので聞いてみた。


「お父さんが、食べ物を外に貰いに行く日よ」


    一瞬だが、サキルさんの目が泳いだように見えた。食べ物を買いに行くではなく、貰いに行くというのも少し引っかかる。


「じゃあ、今食べてるこの食べ物も家の外で貰ってきたものですか?」

「そうね、全部がってわけじゃないけどほとんどそうね」

「エル、お父さんが外に行く日嫌い。だって、お父さん怪我して帰ってくる」

「今日はきっと大丈夫よ。冷める前に朝ごはん食べましょ、食べましょ」


    家の庭にある柵、僕の右腕にある十字架の模様、外に出たことがないエルちゃん、食料を貰いに行くと怪我をして帰ってくるライールさん。不可解なことが沢山ある。この不可解なことの一つ一つがこの世界の謎に関わっているのだろうか。


「ごちそうさまー、お兄ちゃん早く外で遊ぼー」

「分かったよ。サキルさんごちそうさまでした。エルちゃんと家の庭で遊んできます」

「エルのことよろしくね」


    家の庭に出て改めて考える。今、外の世界にエルちゃんを連れて行こうと。


「ラルお兄ちゃん、今日はなにして遊ぶ?」

「エルちゃん、一つ大事な話をしたいんだけど・・・」

「なにー?」


    そのままエルちゃんを庭にある木の下に連れていき、外の世界に一緒に行くことを提案することにした。


「それで、大事な話ってなーに?」

「一つ質門なんだけど、お父さんはなんで家の外に行く時、怪我をして帰ってくると思う?」

「エルは、多分柵の外にこーんな大きい悪魔がいて、お父さんはそいつを倒してるの。私達が柵の外で暮らせるように。」

「そこでエルちゃんに提案なんだけど、僕と二人でその悪魔倒しに行かない?」

「もちろん行きたいけど・・・」

「お母さんにだめって言われるから?お父さんのためだよ。お父さんのためならお母さんも許してくれるよ」

「うーん分かった、お父さんのためだもんね。エル頑張る!でもお母さんは置いていくの?」

「危険かもしれないから待っといてもらおう。そして悪魔を倒した後に迎えに来ることにしよう。」

「分かった!ラルお兄ちゃん、それでいつ行くの?」

「今から」

「えっ、いまから?」

「うん、この間にもお父さんは悪魔と戦って、怪我をしてるかもしれないでしょ。だから一秒でも早いほうがいいかなって」

「うん!お父さんを悪魔から守るためにも早く出発しなくちゃ‼」


    そして僕とエルちゃんは家の庭で大きな声で叫んだ。


「しゅっぱつしんこうーーー!!!」


 この言葉で僕達の冒険が始まった。しかし外の世界は僕達が想像してるものとは違った。



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