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しおりを挟むある日の昼休み。俺は教室の隅で、一人お弁当を広げていた。決して友達がいないわけじゃない。高校生になってから、新しい友達も何人か出来た。ただ、今日はたまたま一人なだけ。
そんな、孤独のランチを楽しんでいると、聞き覚えのある声が廊下から聞こえてきた。
「おーーい!正義!!一緒に弁当くおー」
「あれ?海夏じゃん!久しぶりだね」
彼は、竹葉 海夏。俺の小学生からの親友。身長は俺より少し高く、一言で表すなら『チャラい』もちろん良いやつだけど。
ここ最近、新しいクラスに馴染むのに精一杯で、海夏と話していなかった。
「なんか、最近お互い時間なくて会えて無かったろ。だから一緒に弁当くおかなって」
「おお!いいじゃん。俺も海夏と話したいこと沢山あったし」
そして、ここで聞き覚えがある声がもう一つ。
「セイギくん!一緒にお昼ごはん食べよー!」
昼休みの廊下を走りながら、だいぶ遠くから声をかけてくる茜さん。そして、少し遅れて後ろから葵さんが走ってくる。
そして茜さんは俺と海夏の前でストップ。少し遅れて葵さんもストップ。
「セイギ君!あのー良かったら、私達と一緒にご飯食べ………ってあれ?隣りにいるのは?」
「あー、こいつは俺の小学生の時からの同級生」
「あーそうなんだ! よろしくおねがいします!私二瓜茜です!」
「あっ、私は二瓜葵です」
「おい正義、こっち来い」
俺は訳も分からず、海夏に服を掴まれ引き寄せられた。そして、俺に聞こえるぐらいの小さな声で話し始めた。
「おいお前、どうやってあんな美人と仲良くなった!あと『セイギくん』って、お前………。くそっ!羨ましいーー。俺もあんな美人にあだ名で呼ばれてーー!しかも名字が一緒で、顔が瓜二つってことは、あの二人双子だろ。最高じゃねぇかーー!!!!!美人双子姉妹って、漫画とかラノベとかでしか見ないぞ!あーなんかテンション上がってきたーーー!」
海夏は、カワイイ女の子について話し始めると止まらなくなる。その、証拠をもう少しご覧いただこう。
「俺の席の両隣、二瓜さんだぜ」
「はっ?えっ。はっ?お前っ、えっ、えっ?正気?」
「うん、めっちゃ正気」
「こいつ殺してやるーーー!何だお前、漫画の主人公かな?あん?主人公ですか!!くそっ!!」
やべっ、少しやりすぎたかも。海夏が意味の分からないキレ方してる。
「まぁ、落ち着け。ほら、二瓜さんたちの方戻るぞ」
「クソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソクソ………」
ダメだ、完全に壊れた。
「ごめん、おまたせ二瓜さんたち。ほら、海夏まだ自己紹介してないだろ」
「あっ!そうだったね!こんにちは、俺の名前は竹葉 海夏。高校生1年生さ。好きな食べ物は、スイカ。これからヨロシクな!」
ダメだ、今度は違う壊れ方をした。漫画の第一話の主人公みたいになってる。こんなんじゃ、二瓜さんたちに、どう思われるか………。
「へー、海夏くん面白いー!」
「海夏さんは、面白い人なんですねー」
なんか、二瓜さんたちの第一印象は良かったのかな?良かったね竹葉。
「俺、双子生で初めて見た!握手していい?握手!」
「えっ、別にいいよ! ね、茜?」
「はい、私たちなんかで良ければ………」
そして、俺の前で謎の握手が交わされた。別にここまでは問題じゃない。この後の海夏の言動がよろしくなかった。
「やったー!双子美人姉妹に握手してもらったーー!俺これから一生、手洗わない!!!!」
「セイギさん、私この人嫌です」
「セイギくん、私もちょっと苦手かも………」
「まぁまぁ、そんな事言わないで。根は良いやつだから」
俺がこうして海夏の火消しをしている間にも、海夏は自分の手を神様のように拝んでいた。最後にもう一度だけ言わせてくれ、海夏は良いやつだ。
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