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私の婚約者は洗脳されている
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「おはようミズラ」
「あら、もう起きたの?」
「あぁ、なんか目が覚めちゃって。ミズラ水を一杯貰えないかい?」
「はい、テト」
私はキッチンの蛇口をひねりコップに水を入れ、テトに渡した。
「ミズラ、僕は普通の水は飲まないって、いつも言ってるじゃないか」
「あぁそうだったわね。ごめんごめん。はい、いつもの水」
テトは3ヶ月前辺りから、普通の水を飲まなくなった。そして代わりに、どこで買ってきたのか分からない大きい瓶に入った水を飲むようになった。理由を聞くと、「あのお方にそう言われたんだ」の一点張りだ。
私は『きっとテトはなにか悪い人に騙されている』と思い、どうしたらテトを助けられるか考えたり、人に相談したりした。しかしこれと言った解決策は見つからず、月日は流れた。
そしてある日の朝、テトは私にこう告げた。
「ミズラ、僕たちもう終わりにしよう」
「えっ、どうして?」
「あのお方に言われたんだ。『このまま二人で暮らしていくと、あなた方は破滅の道へ進むでしょう』って」
「だからって終わりにするの?」
「あぁ、すまない」
「・・・」
そうしてテトは家を出ていった。
でも私は大丈夫。だってあのお方が言うには私の人生は薔薇色なのだから。
「あら、もう起きたの?」
「あぁ、なんか目が覚めちゃって。ミズラ水を一杯貰えないかい?」
「はい、テト」
私はキッチンの蛇口をひねりコップに水を入れ、テトに渡した。
「ミズラ、僕は普通の水は飲まないって、いつも言ってるじゃないか」
「あぁそうだったわね。ごめんごめん。はい、いつもの水」
テトは3ヶ月前辺りから、普通の水を飲まなくなった。そして代わりに、どこで買ってきたのか分からない大きい瓶に入った水を飲むようになった。理由を聞くと、「あのお方にそう言われたんだ」の一点張りだ。
私は『きっとテトはなにか悪い人に騙されている』と思い、どうしたらテトを助けられるか考えたり、人に相談したりした。しかしこれと言った解決策は見つからず、月日は流れた。
そしてある日の朝、テトは私にこう告げた。
「ミズラ、僕たちもう終わりにしよう」
「えっ、どうして?」
「あのお方に言われたんだ。『このまま二人で暮らしていくと、あなた方は破滅の道へ進むでしょう』って」
「だからって終わりにするの?」
「あぁ、すまない」
「・・・」
そうしてテトは家を出ていった。
でも私は大丈夫。だってあのお方が言うには私の人生は薔薇色なのだから。
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