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13.チート過ぎて逆にキモい
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絶望的な大爆発の後、わんちゃんは奇跡的に無事だった。アタシは、彼を救えた事が本当に嬉しくて、次から次へと涙が溢れた。
オカマって、涙脆くてやんなっちゃうわぁ。
もうダメかと思ったのよ、仕方ないでしょ?
気が抜けちゃって、訳もわからず泣き笑いをしていたアタシの頬を、人差し指で揶揄うようにアレスちゃんがつついた。
「サリー、好きや。」
目の前のわんこ系の騎士様は、白い犬歯を覗かせて嬉しそうに笑う。やだぁ、なんて可愛いの。ぺろぺろしちゃいたい。
アレスちゃんがアタシを抱きしめて、おっぱいに頬擦りして来る。アタシはアレスちゃんの癖のある赤毛をくしゃりと撫でてあげた。
命の危機だったものねぇ。
好きだなんて、吊り橋効果かしらぁ?
物凄く嬉しいケド・・・。
なんなら今すぐにでも押し倒して、アレスちゃんのおち●ぽを、パックンしちゃいたいケド?
でも、それどころじゃないわねぇ・・。
魔弾に暗殺者、アタシの命を狙う大元を叩き潰さなきゃ。ゆっくり、セ●クスも出来ないじゃない!!
根本的な所を何とかしないと・・・。
アタシのせいで、イイ男が死ぬなんて絶対にゆるせない!
爆風でアレスちゃんの騎士服はボロボロになっている。露わになった逞しい胸筋や腹筋を、チラッ。チラッとガン見する。
眼福ね。いえ、今は目に毒だわ。
オカマ心を鬼にして、下心をグッと堪える。
でも、ちょっとくらいなら。
一口だけなら、味見をしてもイイかしら?
ダメ、ダメよ。だめ、だめ・・・。
今までアタシのせいで、暗殺テロに巻き込まれた人達が沢山死んだわ。そして誰も、助ける事が出来なかった・・。
アタシを庇おうとした、善良な人は全員死んだの。今まで、ずーっとそうだった。
繰り返し、繰り返し。
みんなアタシを守ろうとして、死んでいく。
アタシはその負の連鎖を断ち切りたい。
『アタシを守ろうとしてはダメ。』
アレスちゃんが言う事を聞いてくれて、本当に良かった・・。もしまた、アタシを庇って死んでしまっていたら、今度こそ本当に立ち直れ無かったわ。
でも、次は??
絶対助けられるって保証はどこにも無いのよね。
今までの人達も、アタシが盾になっていれば死なずに済んだのかしら・・・。
考えても仕方の無い事をついつい、グルグルと考えてしまう。悔しいの、何より守られるだけだった。無力な自分に一番、悔しさを感じてしまう・・。
アタシ、怒ってるんだから。
オカマを怒らせたら怖いってコト知らしめてやるわぁ。絶対許せない、復讐してやるんだから。
その為に考える事は山積みだけどねぇ・・・。
「団長!!無事ですか?わわっ、夫人!?」
爆発で吹き飛んだ扉から騎士達が、救助にやってきたみたい。被害にあったこの病院のフロアはいま騒然となっている。
幸い魔弾は部屋の外までは焼かなかったけど、相当な衝撃波があった様だわ、怪我をした者もいるみたいね。死人が出なかったのが救いだわ・・・。
わんちゃんが、騎士団員達から借りた服を慌ててアタシに着せてくれる。気が付かなかったけど服が燃えて、真っ裸になっていたのね・・・。
事情聴取の為、アタシ達は騎士団に場所を移した。
人の良さそうな宮廷医師のセンセェは、暗殺者に捕まって閉じ込められていたみたい。殺されていなくてホントに良かったわぁ。
これ以上、アタシの側に親しい者は置いておけないわねぇ・・・。
アタシはおじいさまに頼んで、アレスちゃんの護衛やセンセェの治療の任を解いて貰う。
捨てられたわんこみたいに悲しい顔をするアレスちゃん。そんなに見つめないでぇ、我慢できなくなっちゃうわぁ、マジで犯すわよぉ?
「俺の言う事、何でも聞いてくれるって言うてたやん。俺を側に置いてくれや!」
アレスちゃんが手首を強く掴んで、戸惑うアタシを引き寄せる。必死な顔をするわんちゃんも可愛いわねぇ。
彼のがっしりと硬い胸に抱きしめられて、アタシは男らしいアレスの香りを嗅ぐ。くんくん、あん。イイ!!いやん。その大胸筋も、とっても素敵だわぁ。ぺろぺろさせてぇー。
はっ!?
ダメダメ、欲望に流されちゃ駄目よ・・。
「アレスぅ?貴方に死んで欲しく無いのよ。貴方まで死んじゃったらアタシ・・。」
自分が許せなくなりそうなのよ。
イイ男は、アタシが守りたいの。
コレはオカマの使命よね?
いつまでも手を離さないアレス、困ったわんちゃんねぇ。アタシは彼の耳をくすぐる様に唇を近づけて、ふぅーっと息を吹きかける。
「さ、さりぃ?」
ナイショ話をする様に近づいて、コートの中に指を滑り込ませる。
アレスのアレを外衣の内側でこっそりと撫でて、彼の耳甲をぺろぺろしながら、アタシは掠れた声で囁いた。
「本当はアレスが欲しいのよ?コレ素敵。ねぇ?」
服の下で硬くなったアレスちゃんの鈴口に、人差し指の爪をカリカリと差し込んで遊ぶ。うふ、ほんとステキなおち●ぽだわぁ。
彼の張ったテントはじっとりと湿気を帯び、ズボンの一部に粘り気のあるシミが出来始める。
「そ、それ。あかんて・・。」
「うふっ。アタシこのおっきぃアレスが好きよ?」
わんちゃんが、頬を染めて震えている。
「さ、さりぃ、あかん。はうっ!?」
彼のカリ首をきゅっ、きゅっと摘むと、先端からトプトプと何かが溢れて、するりと腕の拘束が解けた。
アタシは後ろ髪を引かれながらも、その場から飛び出したの。可愛いワンコ騎士様をぺろぺろ出来なかった恨みを、復讐に注ぎ込んでやるんだからぁ。
オカマの根性舐めんじゃないわよぉ!!
そうして、
アタシは夫のいる公爵邸に帰る事にした。
今だけはね。
でも計画を練ったら出ていくわ。
*****************
帰宅したアタシは、公爵邸の自室で羽ペンをクルクルと指で回しながら机に向かう。
それにしても・・・。
魔弾が大爆発を起こしたのに、アタシの身体は無傷だった。着ていた服は爆風で木っ端微塵だったのにね?
無いわねぇ。
チートすぎて逆にキモイわぁ・・。
よくある転生特典てやつぅ??
自分のあり得ない能力を目の当たりにして、アタシはカナリ引いていた。アタシ、大丈夫なのかしら?
超合金製のアンドロイドとかじゃ無いわよね?
前世で1ミリも徳を積んだりしていないのに。
このスキル、破格過ぎない??
命を狙われてさえ無ければ、順風満帆な人生を歩めていたんでしょうね。
この世界では、スキルが存在する。
優秀なスキルを持って生まれれば、その後の人生は有利になるのよ。
スキルは神から与えられた祝福だとか言う人もいるけど。本当の所はよく分かっていない。ランダムなのか、遺伝的要素を含むのかさえも解明されていない。
アタシ誰にも隠していたけど、実はスキルを2つも持っているの。
一つは公になっている、『絶対防御』。これは神話級に珍しいスキルみたい。攻撃とみなされたものは全て弾く事が出来る。不意打ちでも自動で発動するパッシブスキルよ。
もう一つは、『鑑定』。こっちは自身の意思で発動しないといけないアクティブスキルね。今まで、毒殺されないで済んでいたのは、コレのおかげ。
今まで暗殺に怯えていたから、切り札として鑑定は公表せずに隠していたのよ。貴族は、スキルを隠している人が多いからこれは普通よ。
いつも飲食の際には、注意深く鑑定してから食べていたのに、今回アタシは鑑定もしないでうっかりナッツを食べちゃったのよね。
これからは、気をつけないと。
こんな有能なスキルを持っているのに2回も死にかけるなんて、神様もびっくりしちゃうわねぇ。
でも、殺し屋ヴァクの攻撃を防げなかったのは、どうしてなのかしら?あの時、強く抱きしめられて。まるで激しい愛撫の様に感じちゃったから?
アタシが快楽を感じちゃうと、防御が発動しないとかなのかも?
それにあの時、アタシは押さえきれない感情の揺らぎがあった。絶望に打ちひしがれていたのよ。
あの夜・・。
アタシは夫の愛人に呼び出されていた。
愛人はアタシに夫と別れるように迫ったのよ。夫を愛していると言われて、アタシは動揺してしまったわ。
そしてそこを、ヴァクに狙われた。
全て計画された事だったのかしらね。
悔しいわ。
だって、夫の愛人も暗殺者だったのよ?
夫はこの事を知っているのかしらねぇ。
病院で目を覚ましたら、暗殺者の女がアタシに毒の入った注射を打とうとしていた。
よく見たら、忘れもしない。あの夜会った夫の愛人じゃない。それで、ムカついて思いっきり引っ掻いてやったけど。
ヴァクもあの女と仲間だったのね・・。
何だか裏切られたみたいで、哀しいわ。
初めから敵だって事は解ってるのよ。
でも、彼もアタシの心の隙間につけ込んだのね。
他の酷い奴らと何も変わらない。
それに今回は、魔弾まで準備して。
アレスちゃんも巻き込もうとしてた。
彼も所詮は、他の殺し屋達と何も変わらないのよ。
あの時ときめいてしまったのは、錯覚だったんだわ。次に会ったら許さないから。
アタシは鼻の下にペンを挟んで、頬杖をつく。
これからやるべき事は・・・。
「こんな感じぃ?」
------------------------------
サリーのメモ
□ 魔弾について構造を学ぶ
(作り方から解除の仕方までを知りたいわね)
□ 殺し屋ギルドについて調べる
(拠点や暗殺術を知って対策を立てましょう)
□ 暗殺の依頼者を突き止める
(アタシの親戚の誰かよ、探偵を雇ってもいいわ)
□ スキルやレベルシステムについて知る
(レベルアップがあるなら、強くなれるかしら)
□ 信用の出来るメイドが欲しい
(やっぱり軽口の言える相手が欲しいわよね)
□ 夫と別れる
(これは、話し合いが必要よね・・・)
------------------------------
魔弾については、おじいさまに相談してみましょう。それと、護衛はいらないって口を酸っぱくして言っとかないとね。
何故かやたらと、アレスを側に置かせたがるのよね、どうしちゃったのかしら??
1人で自由に行動したいけど、貴族としてそれは可能かしらねぇ?
殺しても死ななそうなスキル持ちなのにね。
そうだわ!いざとなれば、領地で療養中とかにしてもらっておいて、平民にでも扮装したらどうかしら?そしたら自由に動き回れそうよね。
「そうだわ!!ふん、ふん♪」
アタシはしょっ引かれて行ってしまった、ティファニーちゃんのメイド服を引っ張り出して着てみた。ちょっとブラウスの胸元がきついわねぇ。
今のブラが身体に合わなくて、下着も付けて無かったのよねぇ。注文しなおさないといけないわ。新しい服も欲しかったし、明日仕立て屋を呼びましょう。
「うふ。」
黒い髪をおさげにして、メガネをかけたら・・。
ドジっ子風になったり、地味子っぽくなるんじゃないかしら??
あららぁ、うーん。
おっぱいのせいかしら?
これは、あれよね。
ご奉仕メイドにしか見えないわねぇ・・。
でも、いいわよねぇメイド服。
ご主人様プレイがしてみたいわぁ。
オカマって、涙脆くてやんなっちゃうわぁ。
もうダメかと思ったのよ、仕方ないでしょ?
気が抜けちゃって、訳もわからず泣き笑いをしていたアタシの頬を、人差し指で揶揄うようにアレスちゃんがつついた。
「サリー、好きや。」
目の前のわんこ系の騎士様は、白い犬歯を覗かせて嬉しそうに笑う。やだぁ、なんて可愛いの。ぺろぺろしちゃいたい。
アレスちゃんがアタシを抱きしめて、おっぱいに頬擦りして来る。アタシはアレスちゃんの癖のある赤毛をくしゃりと撫でてあげた。
命の危機だったものねぇ。
好きだなんて、吊り橋効果かしらぁ?
物凄く嬉しいケド・・・。
なんなら今すぐにでも押し倒して、アレスちゃんのおち●ぽを、パックンしちゃいたいケド?
でも、それどころじゃないわねぇ・・。
魔弾に暗殺者、アタシの命を狙う大元を叩き潰さなきゃ。ゆっくり、セ●クスも出来ないじゃない!!
根本的な所を何とかしないと・・・。
アタシのせいで、イイ男が死ぬなんて絶対にゆるせない!
爆風でアレスちゃんの騎士服はボロボロになっている。露わになった逞しい胸筋や腹筋を、チラッ。チラッとガン見する。
眼福ね。いえ、今は目に毒だわ。
オカマ心を鬼にして、下心をグッと堪える。
でも、ちょっとくらいなら。
一口だけなら、味見をしてもイイかしら?
ダメ、ダメよ。だめ、だめ・・・。
今までアタシのせいで、暗殺テロに巻き込まれた人達が沢山死んだわ。そして誰も、助ける事が出来なかった・・。
アタシを庇おうとした、善良な人は全員死んだの。今まで、ずーっとそうだった。
繰り返し、繰り返し。
みんなアタシを守ろうとして、死んでいく。
アタシはその負の連鎖を断ち切りたい。
『アタシを守ろうとしてはダメ。』
アレスちゃんが言う事を聞いてくれて、本当に良かった・・。もしまた、アタシを庇って死んでしまっていたら、今度こそ本当に立ち直れ無かったわ。
でも、次は??
絶対助けられるって保証はどこにも無いのよね。
今までの人達も、アタシが盾になっていれば死なずに済んだのかしら・・・。
考えても仕方の無い事をついつい、グルグルと考えてしまう。悔しいの、何より守られるだけだった。無力な自分に一番、悔しさを感じてしまう・・。
アタシ、怒ってるんだから。
オカマを怒らせたら怖いってコト知らしめてやるわぁ。絶対許せない、復讐してやるんだから。
その為に考える事は山積みだけどねぇ・・・。
「団長!!無事ですか?わわっ、夫人!?」
爆発で吹き飛んだ扉から騎士達が、救助にやってきたみたい。被害にあったこの病院のフロアはいま騒然となっている。
幸い魔弾は部屋の外までは焼かなかったけど、相当な衝撃波があった様だわ、怪我をした者もいるみたいね。死人が出なかったのが救いだわ・・・。
わんちゃんが、騎士団員達から借りた服を慌ててアタシに着せてくれる。気が付かなかったけど服が燃えて、真っ裸になっていたのね・・・。
事情聴取の為、アタシ達は騎士団に場所を移した。
人の良さそうな宮廷医師のセンセェは、暗殺者に捕まって閉じ込められていたみたい。殺されていなくてホントに良かったわぁ。
これ以上、アタシの側に親しい者は置いておけないわねぇ・・・。
アタシはおじいさまに頼んで、アレスちゃんの護衛やセンセェの治療の任を解いて貰う。
捨てられたわんこみたいに悲しい顔をするアレスちゃん。そんなに見つめないでぇ、我慢できなくなっちゃうわぁ、マジで犯すわよぉ?
「俺の言う事、何でも聞いてくれるって言うてたやん。俺を側に置いてくれや!」
アレスちゃんが手首を強く掴んで、戸惑うアタシを引き寄せる。必死な顔をするわんちゃんも可愛いわねぇ。
彼のがっしりと硬い胸に抱きしめられて、アタシは男らしいアレスの香りを嗅ぐ。くんくん、あん。イイ!!いやん。その大胸筋も、とっても素敵だわぁ。ぺろぺろさせてぇー。
はっ!?
ダメダメ、欲望に流されちゃ駄目よ・・。
「アレスぅ?貴方に死んで欲しく無いのよ。貴方まで死んじゃったらアタシ・・。」
自分が許せなくなりそうなのよ。
イイ男は、アタシが守りたいの。
コレはオカマの使命よね?
いつまでも手を離さないアレス、困ったわんちゃんねぇ。アタシは彼の耳をくすぐる様に唇を近づけて、ふぅーっと息を吹きかける。
「さ、さりぃ?」
ナイショ話をする様に近づいて、コートの中に指を滑り込ませる。
アレスのアレを外衣の内側でこっそりと撫でて、彼の耳甲をぺろぺろしながら、アタシは掠れた声で囁いた。
「本当はアレスが欲しいのよ?コレ素敵。ねぇ?」
服の下で硬くなったアレスちゃんの鈴口に、人差し指の爪をカリカリと差し込んで遊ぶ。うふ、ほんとステキなおち●ぽだわぁ。
彼の張ったテントはじっとりと湿気を帯び、ズボンの一部に粘り気のあるシミが出来始める。
「そ、それ。あかんて・・。」
「うふっ。アタシこのおっきぃアレスが好きよ?」
わんちゃんが、頬を染めて震えている。
「さ、さりぃ、あかん。はうっ!?」
彼のカリ首をきゅっ、きゅっと摘むと、先端からトプトプと何かが溢れて、するりと腕の拘束が解けた。
アタシは後ろ髪を引かれながらも、その場から飛び出したの。可愛いワンコ騎士様をぺろぺろ出来なかった恨みを、復讐に注ぎ込んでやるんだからぁ。
オカマの根性舐めんじゃないわよぉ!!
そうして、
アタシは夫のいる公爵邸に帰る事にした。
今だけはね。
でも計画を練ったら出ていくわ。
*****************
帰宅したアタシは、公爵邸の自室で羽ペンをクルクルと指で回しながら机に向かう。
それにしても・・・。
魔弾が大爆発を起こしたのに、アタシの身体は無傷だった。着ていた服は爆風で木っ端微塵だったのにね?
無いわねぇ。
チートすぎて逆にキモイわぁ・・。
よくある転生特典てやつぅ??
自分のあり得ない能力を目の当たりにして、アタシはカナリ引いていた。アタシ、大丈夫なのかしら?
超合金製のアンドロイドとかじゃ無いわよね?
前世で1ミリも徳を積んだりしていないのに。
このスキル、破格過ぎない??
命を狙われてさえ無ければ、順風満帆な人生を歩めていたんでしょうね。
この世界では、スキルが存在する。
優秀なスキルを持って生まれれば、その後の人生は有利になるのよ。
スキルは神から与えられた祝福だとか言う人もいるけど。本当の所はよく分かっていない。ランダムなのか、遺伝的要素を含むのかさえも解明されていない。
アタシ誰にも隠していたけど、実はスキルを2つも持っているの。
一つは公になっている、『絶対防御』。これは神話級に珍しいスキルみたい。攻撃とみなされたものは全て弾く事が出来る。不意打ちでも自動で発動するパッシブスキルよ。
もう一つは、『鑑定』。こっちは自身の意思で発動しないといけないアクティブスキルね。今まで、毒殺されないで済んでいたのは、コレのおかげ。
今まで暗殺に怯えていたから、切り札として鑑定は公表せずに隠していたのよ。貴族は、スキルを隠している人が多いからこれは普通よ。
いつも飲食の際には、注意深く鑑定してから食べていたのに、今回アタシは鑑定もしないでうっかりナッツを食べちゃったのよね。
これからは、気をつけないと。
こんな有能なスキルを持っているのに2回も死にかけるなんて、神様もびっくりしちゃうわねぇ。
でも、殺し屋ヴァクの攻撃を防げなかったのは、どうしてなのかしら?あの時、強く抱きしめられて。まるで激しい愛撫の様に感じちゃったから?
アタシが快楽を感じちゃうと、防御が発動しないとかなのかも?
それにあの時、アタシは押さえきれない感情の揺らぎがあった。絶望に打ちひしがれていたのよ。
あの夜・・。
アタシは夫の愛人に呼び出されていた。
愛人はアタシに夫と別れるように迫ったのよ。夫を愛していると言われて、アタシは動揺してしまったわ。
そしてそこを、ヴァクに狙われた。
全て計画された事だったのかしらね。
悔しいわ。
だって、夫の愛人も暗殺者だったのよ?
夫はこの事を知っているのかしらねぇ。
病院で目を覚ましたら、暗殺者の女がアタシに毒の入った注射を打とうとしていた。
よく見たら、忘れもしない。あの夜会った夫の愛人じゃない。それで、ムカついて思いっきり引っ掻いてやったけど。
ヴァクもあの女と仲間だったのね・・。
何だか裏切られたみたいで、哀しいわ。
初めから敵だって事は解ってるのよ。
でも、彼もアタシの心の隙間につけ込んだのね。
他の酷い奴らと何も変わらない。
それに今回は、魔弾まで準備して。
アレスちゃんも巻き込もうとしてた。
彼も所詮は、他の殺し屋達と何も変わらないのよ。
あの時ときめいてしまったのは、錯覚だったんだわ。次に会ったら許さないから。
アタシは鼻の下にペンを挟んで、頬杖をつく。
これからやるべき事は・・・。
「こんな感じぃ?」
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サリーのメモ
□ 魔弾について構造を学ぶ
(作り方から解除の仕方までを知りたいわね)
□ 殺し屋ギルドについて調べる
(拠点や暗殺術を知って対策を立てましょう)
□ 暗殺の依頼者を突き止める
(アタシの親戚の誰かよ、探偵を雇ってもいいわ)
□ スキルやレベルシステムについて知る
(レベルアップがあるなら、強くなれるかしら)
□ 信用の出来るメイドが欲しい
(やっぱり軽口の言える相手が欲しいわよね)
□ 夫と別れる
(これは、話し合いが必要よね・・・)
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魔弾については、おじいさまに相談してみましょう。それと、護衛はいらないって口を酸っぱくして言っとかないとね。
何故かやたらと、アレスを側に置かせたがるのよね、どうしちゃったのかしら??
1人で自由に行動したいけど、貴族としてそれは可能かしらねぇ?
殺しても死ななそうなスキル持ちなのにね。
そうだわ!いざとなれば、領地で療養中とかにしてもらっておいて、平民にでも扮装したらどうかしら?そしたら自由に動き回れそうよね。
「そうだわ!!ふん、ふん♪」
アタシはしょっ引かれて行ってしまった、ティファニーちゃんのメイド服を引っ張り出して着てみた。ちょっとブラウスの胸元がきついわねぇ。
今のブラが身体に合わなくて、下着も付けて無かったのよねぇ。注文しなおさないといけないわ。新しい服も欲しかったし、明日仕立て屋を呼びましょう。
「うふ。」
黒い髪をおさげにして、メガネをかけたら・・。
ドジっ子風になったり、地味子っぽくなるんじゃないかしら??
あららぁ、うーん。
おっぱいのせいかしら?
これは、あれよね。
ご奉仕メイドにしか見えないわねぇ・・。
でも、いいわよねぇメイド服。
ご主人様プレイがしてみたいわぁ。
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