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14.どうして勃たないんだ

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【公爵 side】

妻が治療や入院を切り上げて、家に帰ってきた。病院が爆破されたんだ、僕はそうなると思っていた。
今は自室に篭っているらしい。

「はははっ。やっぱりな。」

他の奴の命まで狙われて、いつも通り塞ぎ込んでいるに違いない。でもなぁ・・・。
あの騎士、死ななかったのか。

「チッ、しぶといやつだ。」

まさか、妻はあの騎士の盾になったんじゃないだろうな。でも、そうでもしなきゃ生き残れる筈がない。だってあの場所は、あんなに濃い死の匂いがしたんだから・・・。

あいつは絶対に助からない、そう思ったのに。

そう、僕はスキルに『危険回避』を持っている。誰にも秘密にしているが、このスキルのおかげで今まで生き残って来られたんだ。

僕の身に危険が迫ると、死の香りを嗅覚で感じ取る事が出来る。それは頭が痛くなるような、吐き気を催す酷い匂いなんだ。僕は毎回、その香りから必死に逃げ回っている。

周りの奴らが死んでいく中、僕だけが死を回避出来ている。だから僕は、この優秀なスキルを気に入っているんだ。

まぁ、妻のスキルには到底及ばない、天と地ほどの差はあるけどね・・・。

僕はいつも、彼女と比べられていたっけ。妻といると、僕は劣等感に苛まれるんだ。

血筋に地位、スキルに容姿、サンドラは地頭だって悪くない。僕は彼女に何一つ勝てた気がしないんだ。チェスや芸術、音楽みたいな遊びでさえも・・・。

男ってのはさ、競い合うのが好きなんだ。それなのに、初めから勝負にならない。そんな相手を好きになれる訳が無いじゃないか。

そうだな、僕が彼女に勝てている事と言ったら・・・。彼女が初めから僕に惚れてたって事くらいかな。

僕は美しい容姿をしていたから、きっとそのせいかもね。サラサラの金髪にサファイアの瞳。まるで童話に出てくる王子様みたいだって、女の子達からよく誉めらていたっけ。

恋愛ってのはさ、本気になった方が負けなんだ。だって恋は盲目ってよく言うだろ?彼女は確かに、僕の恋の奴隷だった。実際、何でもいう事を聞いてくれたしね。

彼女は僕の事を、時々熱っぽい瞳でじっと見てる。僕が眠るとさ、こっそりと側に来て僕の胸に手を置くんだ。僕は優しいから、いつも知らないフリをしてあげてた。

ああ、それに僕の着ていた上着を抱きしめながら、ダンスのレッスンをしていた事もあったっけ。無表情の癖に、その軽快なステップがとても楽しそうなんだ。

『タンタントン、タタン』って感じでさ。
僕のコートがヒラリヒラリとリードして、彼女のつま先はリズムを刻む。まるで生きているみたいに僕のコートは、僕より上手にワルツを踊っていたっけ。

何だかそれが妙にムカついて、僕は結局。卒業式で彼女とは踊ってあげなかったんだよね。恋人がいたんだ、僕はモテるからさ。

彼女は僕に恋をしているけど、僕はサンドラを好きじゃない。それが、僕の優越感を満たしてくれる只一つの、僕の誇れる事だった。

でもあの夜の事件から、その唯一の事が揺らぎ始めている。殺し屋から救われて、騎士の男に絆されでもしたのだろうか?

彼女は身を挺して騎士を守った。

妻はもう、あの騎士に心を傾けているのだろうか・・・。騎士に向かって妖艶にしなだれかかる妻を思い出し、腹の底からムカムカとしたモノが込み上げてくる。

まあいい、騎士の護衛も断って来たみたいだしな。
それに妻は未だに処女だ、だから大丈夫。

僕がいつも通り慰めてやれば、元通りになるはずさ。今回の事で身に染みて分かった筈だ。大人しく、ひっそりと僕の影にいる事こそが、他人に迷惑を掛けない唯一の方法だと。

僕は、準備しておいたを持って、妻の部屋へと向かった。

睡眠薬入りのワインと共に・・・。

本当は、こんなモノ使いたく無いんだ。でも僕は、自分のものを誰かに奪われるのが、1番嫌いだ。

だから仕方がないよね?

僕は使用人達を下がらせた、そして妻の部屋に誰も近づかない様に言い含める。

『コン、コン、コン。』

「僕だ、ちょっといいかい。」

返事が無い、部屋にいないのか?

僕は緊張して濡れた手汗を、ハンカチで拭ってからドアノブを回した。

『ガチャリ。』

ドアを開くと妻はべットで眠っていた。

そういえば絶対防御のスキルを発動させた後、彼女はいつも泥の様に深く眠るんだ。起こしてもなかなか起きない。

たぶん魔力不足に陥って、身体機能が低下しているんだろう。それで、起きていられなくなったか・・・。

「なんだ、睡眠薬ワインは必要無かったな。」

妻はしばらくは、何をしても起きないだろう。

ベットの下には、メイド服や下着が乱雑に脱ぎ捨てられていて、サイドボードにはフェイクのメガネが置かれている。

僕は床に落ちた衣類を拾って綺麗に畳み、ソファの上に置いた。

やはり、最近の妻の行動はよくわからないな。今までとは明らかに違う。予想が付かないし、言動も理解不能だ。

『パサリ』

うっ、なんて事だ・・・。
男の使用人だっているのに妻はいったい、何を考えているんだ。

ベットカバーを捲ると、妻は服を着ていなかった。

「ごくっ。ま、まぁ、いいさ。手間が省けた。」

僕は妻の首に付いた紫色の痣をなぞる。僕が触れているのに、妻はまるで本当に死んだみたいに、ピクリとも反応しない。

妻は、美しい。
悔しいけど僕のどの愛人よりも。

地味に、野暮ったく隠してみても、服を脱がせたらわかってしまう。その豊満な肉体を。

殺し屋は首を絞めながら、妻に欲情した。そして、この淫猥な乳房にむしゃぶりついたのだろう。散らばったキスの跡が、それを物語っていた。

僕はそれを、真似する様に妻の肌をねろりと、舌でなぞって行く。凍えそうな雪山で、誰かの付けた足跡を辿る様に。

それから・・・。

妻の髪の毛先にキスをしながら、その香りを嗅ぐ。あの騎士の様に。

『彼女に欲情しない奴はいない。』

騎士はタヌキにそんな感じの事を言ったんだ。その言葉が、ぐるぐると僕の頭を悩ませる。

まるで、そんな奴は男じゃ無いみたいな言い方だった・・・。それから、タヌキが僕にインポだって言ったんだ。

「ぐすっ。」

僕はガチャガチャとベルトを外し、ズボンと下着を脱いだ。それを丁寧に畳んで、ソファに置く。

ギシリとベットに乗り上げ、僕は妻の股を開脚した。自身を強く扱きながら、彼女の陰部にボクを強く押し当てる。

「くそっ、なんでだよ。」

妻の右足を抱え上げ、ピンク色の乳首に吸い付く。右手で僕の根本を、上下に刺激し続ける。

それなのに、僕のアソコはふにゃふにゃだった。

「ぐずっ。僕は、インポじゃない・・。」

どうして・・・。
妻の身体を僕は、魅力的だと思っているのに。
それなのに、ダメなんだ。

勃たない。

「うっ、ひっく。」

あらゆるエッチな妄想を、頭の中で繰り広げてみてもムリなんだ。僕は、本当に不能なのか。

だったら、だったら仕方ない。

だって、僕は誰かのお下がりなんて絶対にイヤなんだ。殺し屋や、騎士の後なんて絶対に許せない。

だから、こうするしか無いんだ。
僕は持ってきたペニスバンドを、腰に装着した。

僕と同じサイズのディルドに、ローションを塗して再び妻の足首を持ち上げた。

「ぐずっ、ひっく。サリー、いくよ。僕が貰う。」

そして僕は、狙いを定めて一気に突き上げた。

『ガキン』

その瞬間、妻の防御壁が展開される。

「くそっ、嘘だろ!?」

『ガン、ガン、ガコッ』

「うっ、クソ、入れ!!ぐすっ。」

僕は泣きながら腰を振って、ペニバンで妻のアソコをノックし続けた。













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