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『番外編』チョロ王太子

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 キャンドルの光が揺らめいて、壁に浮かび上がる彼のシルエットが、さざめく波のように、ゆらり、ゆらりと船をこぐ。

 『じゅぷっ、じゅぽっ。』

 静かな寝室に響き渡る、卑猥な水音。そこに時折、クリス様の熱っぽい吐息が降って来る。彼は私の頭を掴んで、くしゃ、くしゃと髪をかきまぜながら仰け反った。

 「はぁ、ううっ。くっ、ローズっっ。」

 オレンジの柔らかな灯りが、クリス様の悩ましげな表情を照らす。キリリと美しい彼の眉は、迫り上がってくる吐精の波を堪えるように、ハノ字に歪んだ。

 「はぁ、はぁ、はぁ。もう、出したい。」

 荒い息遣いに、熱に浮かされたどろりとした瞳が私を見つめる。私はずっしりと重みのある太い竿から、ちゅぽっと、唇を外した。糸を引いた先端が、びたんと、彼の形のいい臍にぶつかる。

 「まだ、だめですよっ。」

 極限まで膨らんだ彼のソレは今にも弾けてしまいそうな程、膨らんで反り返っている。きっと、痛みを感じるほどに。でも、簡単にはイかせてあげない。

 ゆっくりと、炙るような快楽を彼に与えていく。

 「あっ、ロゥ。そんなっ。」

 舌先を尖らせて、彼の錫口にぬちぬちと差し込み、その小さな尿路を何度も往復させる。グリグリと入り口を広げ、狭い奥を強引に押し広げていく。

 てらてらと紅黒く光る亀頭の裂け目を割り開く。内側の赤い果肉は、微かに柘榴の味がした。

 「あぁ、たのむ。イかせて。」

 ひくひくと腰を揺らし、彼は熱病に浮かされたように私の名を呼ぶ。それはまるで、主人に赦しを乞う哀れな下僕みたいで、潤んだ瞳はただひたすらに懇願している。

 「ローズぅ、ローズっ。」

 クリス様は浮気をして、真実の愛のお相手を選んだ癖に。実際はキスも初めてと言う、ウブな男だった。でも、そのお相手には逃げられちゃったみたいだけど?

 それで、自暴自棄を起こしてしまったのよね。結局は、私と結婚する事にしたみたい。本当に迷惑極まりない話だ。

 そのせいで、今世の私は初夜でファーストキスより、ファーストフェラを先に済ませてしまう羽目になったのだから。彼は冤罪の仕返しがしたかったらしい。でも元はと言えば、彼が先に虐めの濡れ衣を私に着せたのだ。

 彼の行動は全く理解出来ないし、初夜はロマンもムードもへったくれもなかった。

 だから私は、仕返しをするみたいに、彼に甘い拷問を強いている。彼のペニスは、何度も寸止めをされて、緩んだ鈴口がはしたなくダラダラと透明な粘液を垂れ流している。でも、口では絶対にイかせてあげない。

 クリス様は自分からペニスを突っ込んで口淫をさせた癖に、勝手に骨抜きになってしまったの。そしてあの日の初夜以降、彼はこうして毎晩私にフェラチオを強請るようになってしまった。

 「それ、イイ。それ、もっと。あぁ、好きっ。好きだっ。ろぉず。」

 正直こんな事で、溺愛とかされても私は全然嬉しくない。

 あの夜私は仕方なくフェラをしただけなのに。彼は私の適当な口淫にメロメロになってしまった。そして今彼は私の言いなりだ。王太子がチョロすぎて心配になる。大丈夫なのかこの国は?

 それに、周囲も異様なほど優しくしてくれる。まるで、私を逃さないようにしているみたい。だって、今までライバルだった令嬢達や、追い落とそうとして来た主要な高位貴族、高官達も軒並み私を大切にしてくれる。昔はちょっとミスをするだけで、厳しい目で見られていたのに。

 今までさせられていた、無駄な仕事も回されなくなって、のんびりと好きな事をする時間まで貰えている。

 いいのか?王妃がこんなに楽で。
 まぁ、毎晩フェラはさせられているが。。。

 やっぱり私には王妃は務まらないって言うと、みんな必死になって留めようとして来る。それにクリス様まで、必死に縋り付いてくる。

 「ローズ、お願いだ。捨てないで、これからは大切にするから。」

 そんな風に言われてしまうと、もともと責任感の強い私は、彼と別れられなくなってしまう。私もまた、ちょろい女なのだ。

 私は舌の上で、彼のアレと渋いえんみを転がした。




 





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