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プロローグ
01話 気になるおっさん
しおりを挟む「おい、おっさん。そんな事も出来ねぇのかよ。」
ーーーそんな風にいつも蔑まれているおっさんは、はっきり言ってチートだと思う。なんで誰も気づいて無いの??彼の能力の高さを。
おっさんは、Aランクパーティ『双剣の竜殺し』に所属している。彼はダンジョン攻略の荷運びを一手に引き受けていて、たぶん収納魔法が使えるんだと思う。
でもおっさんは、「沢山荷物を運べるのは、たまたまダンジョンで見つけたマジックバックのおかげだ。」って言ったらしい。それに嫉妬した人達は、「無能が道具に頼ってる。」って言い出したんだよね。
ココでは自分のスキルを隠しておくのは当たり前のこと。有能なスキル持ちは権力者に目をつけられて使い潰されてしまう事もあるし、秘密にするのは何もおかしい事じゃない。
物理的に力の弱い人達は、搾取されないように息を潜めて生きているのだ。私だってそうだよ。まぁ、自分を守る術を持っている強い人達には関係ない事なのかもしれないけどね?
おっさんの所属する『双剣の竜殺し』は今、飛ぶ鳥を落とす勢いのあるパーティだ。硬い魔物を豆腐のように切り裂く双剣使いのリーダー(ジョー)に、エクスポーションを作り出す事ができる魔法使いの(ゲルニカ)、大規模なシールドを展開する盾士の(カイ)に、最難関ダンジョンのロジックをいとも簡単に解く賢者(ミカエル)。
彼らはおっさんと同じ村の出身らしい。王都に出て来た同郷の彼らを、おっさんは甲斐甲斐しく世話してあげていた。だけど、彼らの能力が高く評価されてからは、おっさんが彼らに寄生していると言われているんだよね。
それが今のおっさんの世間の評判。
でも、おっさんは変わる事なく彼らをサポートしていた。食料の調達や調理、獲物の解体、荷運び、武器防具のメンテナンスまで。チラッと見かけただけでも結構な仕事量だ。
彼らが使う武器や防具は、質が良くて、手入れが行き届いているし、魔法の付与だって施されている。
それなのにパーティのメンバーからも、無能扱いされている。反論もしないでヘラヘラしているのは、たぶん彼らに何を言っても無駄だからだろうけど。
侮られまくっているのは、何も言い返さないからじゃ無いの??おっさんがいなくなったら絶対パーティだって立ち行かなくなる。そう思うのに。
ーーーでもそれは、私には関係のない事だ。
そもそも、私はあのおっさんの名前も知らない赤の他人。言葉を交わした事も無いからしょうがない。周りからは、ボンクラとか、でくのぼうとか呼ばれているのを聞いたことはあるけど。
癖のある黒髪は無造作に放置されてボサボサ。長い前髪のせいで、目元が隠れていて瞳の色はよくわからないけれど、目の下にくっきりとしたクマがあっていつも不健康そう。
おまけに無精髭も生えているからか、全体的に不潔な雰囲気を醸し出している。
そんなモサいおっさんなのに、私はとても気になっている。もちろん、一目惚れとかでは無い。
私には前世の記憶があるんだ。
だから、日本人とよく似た風貌のおじさんを目で追ってしまうのかも知れない。
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