1 / 13
プロローグ
01話 気になるおっさん
しおりを挟む「おい、おっさん。そんな事も出来ねぇのかよ。」
ーーーそんな風にいつも蔑まれているおっさんは、はっきり言ってチートだと思う。なんで誰も気づいて無いの??彼の能力の高さを。
おっさんは、Aランクパーティ『双剣の竜殺し』に所属している。彼はダンジョン攻略の荷運びを一手に引き受けていて、たぶん収納魔法が使えるんだと思う。
でもおっさんは、「沢山荷物を運べるのは、たまたまダンジョンで見つけたマジックバックのおかげだ。」って言ったらしい。それに嫉妬した人達は、「無能が道具に頼ってる。」って言い出したんだよね。
ココでは自分のスキルを隠しておくのは当たり前のこと。有能なスキル持ちは権力者に目をつけられて使い潰されてしまう事もあるし、秘密にするのは何もおかしい事じゃない。
物理的に力の弱い人達は、搾取されないように息を潜めて生きているのだ。私だってそうだよ。まぁ、自分を守る術を持っている強い人達には関係ない事なのかもしれないけどね?
おっさんの所属する『双剣の竜殺し』は今、飛ぶ鳥を落とす勢いのあるパーティだ。硬い魔物を豆腐のように切り裂く双剣使いのリーダー(ジョー)に、エクスポーションを作り出す事ができる魔法使いの(ゲルニカ)、大規模なシールドを展開する盾士の(カイ)に、最難関ダンジョンのロジックをいとも簡単に解く賢者(ミカエル)。
彼らはおっさんと同じ村の出身らしい。王都に出て来た同郷の彼らを、おっさんは甲斐甲斐しく世話してあげていた。だけど、彼らの能力が高く評価されてからは、おっさんが彼らに寄生していると言われているんだよね。
それが今のおっさんの世間の評判。
でも、おっさんは変わる事なく彼らをサポートしていた。食料の調達や調理、獲物の解体、荷運び、武器防具のメンテナンスまで。チラッと見かけただけでも結構な仕事量だ。
彼らが使う武器や防具は、質が良くて、手入れが行き届いているし、魔法の付与だって施されている。
それなのにパーティのメンバーからも、無能扱いされている。反論もしないでヘラヘラしているのは、たぶん彼らに何を言っても無駄だからだろうけど。
侮られまくっているのは、何も言い返さないからじゃ無いの??おっさんがいなくなったら絶対パーティだって立ち行かなくなる。そう思うのに。
ーーーでもそれは、私には関係のない事だ。
そもそも、私はあのおっさんの名前も知らない赤の他人。言葉を交わした事も無いからしょうがない。周りからは、ボンクラとか、でくのぼうとか呼ばれているのを聞いたことはあるけど。
癖のある黒髪は無造作に放置されてボサボサ。長い前髪のせいで、目元が隠れていて瞳の色はよくわからないけれど、目の下にくっきりとしたクマがあっていつも不健康そう。
おまけに無精髭も生えているからか、全体的に不潔な雰囲気を醸し出している。
そんなモサいおっさんなのに、私はとても気になっている。もちろん、一目惚れとかでは無い。
私には前世の記憶があるんだ。
だから、日本人とよく似た風貌のおじさんを目で追ってしまうのかも知れない。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
転生王子はダラけたい
朝比奈 和
ファンタジー
大学生の俺、一ノ瀬陽翔(いちのせ はると)が転生したのは、小さな王国グレスハートの末っ子王子、フィル・グレスハートだった。
束縛だらけだった前世、今世では好きなペットをモフモフしながら、ダラけて自由に生きるんだ!
と思ったのだが……召喚獣に精霊に鉱石に魔獣に、この世界のことを知れば知るほどトラブル発生で悪目立ち!
ぐーたら生活したいのに、全然出来ないんだけどっ!
ダラけたいのにダラけられない、フィルの物語は始まったばかり!
※2016年11月。第1巻
2017年 4月。第2巻
2017年 9月。第3巻
2017年12月。第4巻
2018年 3月。第5巻
2018年 8月。第6巻
2018年12月。第7巻
2019年 5月。第8巻
2019年10月。第9巻
2020年 6月。第10巻
2020年12月。第11巻 出版しました。
PNもエリン改め、朝比奈 和(あさひな なごむ)となります。
投稿継続中です。よろしくお願いします!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる