24 / 56
王位継承編
10 青春の味 2
しおりを挟む
「ん~今日はこれでいいや……」
ここは紫娼館の受付。
ずらりと整列する踊り子から一人、今宵遊ぶ美女を選ぶことができる。
だが、早まるな、ヤマザキ。
しばらく悩んだ結果、特に胸が大きな美女を選んだ。
所詮、男はみなおっぱいが大好きなのである。
「うっふん……選んでくれてありがとうございますぅ」
美女は色気たっぷりの踊りを披露し、ヤマザキを楽しませた。ぷるるん、と胸が揺れている。
「おおー! 綺麗だなぁ、挟まれたい……」
思えば、異世界に来てから女運が悪い。
今まで読んだラノベなら美女のハーレムパーティで、いぇーい! なんてことになるはずが。
ヤマザキが出会う女性は、男装するお姫様と子どもだけ。
あ、一人だけいた。
はらぺこ食堂のプルトニーだ。
しかし、ちょっと無理だった。
二十代で年齢的にも良い。顔もスタイルも良い。だが、どうやら店主ターキーが彼女のことを好きらしい。
なのでターキーの恋路を、陰ながら応援してるヤマザキなのである。
そんな思いもあるし、前世で彼女もいないせいもあってか、ヤマザキは美女に、どハマりそうになっていた。
「ささ、こちらの部屋で楽しみましょう」
「……う、うん」
腕を引かれるヤマザキの顔がまっ赤だ。
異世界で童貞卒業か。まぁ、それもいいかも。
なんて考えていると、布団が敷かれた部屋に入り、いよいよ美女とのお楽しみタイムとなった。
「座ってください」
「うん」
「うふふ、緊張してますね……大丈夫ですよ初めてなら、優しくしますから」
「うん」
「ほら、触ってください」
「うん」
美女は、ぷるんと胸を近づけてくる。
ヤマザキの手は、ガクブルに震えていた。
童貞あるあるである。
いざとなると、何も動けなくなる呪いの魔法だ。
すると、美女がヤマザキの手に触れた。
誘導するつもりだろう。
このまま流されようか、と思っていたが、ふと何かが頭に浮かんできた。
それは、羽兜の奥にあるエメラルドの瞳だった。
なぜハニィの顔が浮かぶのだろう。
理解できない。
だが、ハニィの赤くなった顔や笑顔が、なぜか頭から離れない。
気づけば、美女を押し倒していた。
「動くな、俺は自分で攻める方が好きなんでね……」
「あらぁ……それなら、お好きにどうぞ」
無防備に寝そべる美女。
ヤマザキは、さっと腹からシャツを取り出す。ジョニから借りた服だ。ビリビリと破く。
そして、美女の顔を巻いて覆った。
「あん、目隠しですか……最高です」
「もっと緊縛してほしいか?」
「はい」
おらっ、と美女を寝転がし、手と足をシャツの切れ端で縛った。
「あんっ! こんな縛り方はじめてっ!」
「そうか、じゃあ、ちょっと待ってろよ」
ヤマザキは、美女の耳元でささやく。
彼女は、ぞくぞくっと感じ、胸はドキドキと高鳴っている。
(やだ、お客さん相手なのに感じちゃった……これから私、どうなるんだろう……)
どうにもならなかった。
ヤマザキは美女を放置して、部屋から出ていく。
「やれやれ、やっぱり初めては好きな人とじゃないとな……」
ヤマザキは、そうつぶやく。
しかし、なぜハニィのことが頭に浮かんだのだろう。
ぶるるん、と首を横に振ったヤマザキは、本来の目的に集中した。
「さて、いっしょに召喚された女子高生を助けるか……」
何気なく、紫娼館の中を歩く。
部屋の扉はどれも閉められており、移動は楽だった。
たまに用心棒とすれ違うが、まったく怪しまれなかった。ヤマザキのことを太客だと思っているのだろう。
ジョニのジャケットは、おじさんを貴族に変える効果があった。
しばらく散策すると、ひときわ豪華な扉があった。
その扉には、龍と虎が戦っている絵が描かれている。
ちょっと開けて、中を覗いてみた。
「すーぴー、すーぴー」
誰かが寝ている。
踊り子の衣装よりも、さらに華やかな衣装を着た美女が寝ていた。
(あれが、マッカランか……ん?」
部屋の中に、植物が栽培されている。
稲、それにピーマン、ナス、キャベツなどなど、和食に欠かせないものばかり。
「いいなぁ……」
食材が欲しかったが、今はヒビキを救う方が優先だ。
ヤマザキは探索に戻った。
しばらく回廊を歩いていると、
「おや?」
違和感のある部屋を発見した。
足が凍った用心棒がいたのだ。
門番なのだろう。
扉の前で、ガクブルに震えている。
「この部屋、あやしいな……」
ヤマザキは門番から離れ、鞄から杖を取り出す。
木材粘土の杖だ。
その杖に触れた木材は、ぐにゃりと粘土化してしまう。
「よし……」
木で作られていた部屋の壁は、ヤマザキによって穴を開けられた。
とても綺麗にくり抜いたので、あまり目立っていない。
出入り口だと思う、客もいるくらいだった。
部屋に侵入してみると、あっけなく目的の人物を発見した。
「おじさん……なんで?」
ヤマザキを見て、びっくりするヒビキ。
逆にヤマザキの方も、びっくりしていた。
なぜなら、氷像があったからだ。
「やあ、助けにきたぞ~」
「……う、うわーん!」
とても心細かったのだろう。
泣きながらヒビキは、ヤマザキの胸に飛び込んだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「おいおい、どした?」
「わたし、おじさんを無視してしまった……リクがひどいこと言ってるのに注意もできなくて……うわぁぁぁ!!」
「ああ、泣かないでぇ」
「でも、でも……」
「大きな声だしちゃダメだ……人が来ちゃうだろ」
ヤマザキの手で、「んぐっ」と口を塞がれたヒビキ。
なんとか泣き止んだ。
身体は立派なヒビキだが、心は十七歳の少女。
異世界に来て、こんなところに閉じ込めれたら、泣き出しても無理はない。
ヤマザキは、ぽんぽんとヒビキの頭を撫でた。
「よく頑張ったな! さあ、ここから逃げよう」
「はい……でもその前に、ちょっと試したいことがあって」
「なに?」
「この氷を溶かそうと思います」
「えっと、これなに?」
「私のせいで氷漬けにされた男性です」
「ふーん、でもどうやって?」
「たぶん、治れー! って祈ればいいと思います」
治れー! とヒビキは氷像に手を触れた。
すると、眩しい光が放出される。
状態異常を回復させる魔法だ。
みるみるうちに氷は溶け、ぬるっと男が出てきた。
しかし、起き上がらない。
どうやら酔っ払って、「ぐがが」と寝ているようだ。
「よかった」
「幸せなやつだな……それにしても、君、魔法が使えるんだね」
「はい! 回復魔法だけですけど」
「ふーん、でも偉いよ、この人の命を救ったんだから。あのまま氷漬けって、死んでるといっしょだもん」
「そうですよね……女将さんひどい……」
マッカランのこと? とヤマザキは質問した。
はい、とヒビキを答えた瞬間、はっと気づいた。
「いけない! 魔法を使うと女将さんに魔力探知されちゃいます!」
「急いで逃げよう!」
「はい」
「それじゃあ、タマ、触って!」
え? とヒビキは固まった。
ヤマザキは鞄を開けて、「さあ」とヒビキに近づく。
ヒビキは顔を赤くさせ、もじもじと困りまくっていた。
「た、タマって……ここで触るんですか?」
「そうだ! 早く触れ!」
「わ、わたし、触ったことなくて……いやん」
「いいから触ってくれ!」
「でもなんで急にそんなことを……男の人って何考えてるか分かりません。逃げるんじゃなかったんですか?」
「身体を変えて逃げるんだよ! ほら、触って!」
(どんな身体に!?)
ヤマザキはヒビキの手を握って、自分の方へ誘導させる。
「きゃぁぁああ!!」
さらにヒビキの顔が赤くなる。
華奢な手が、ヤマザキの鞄の中に突っ込まれた。
「え?」
次の瞬間、ぽわわん!
二頭身になった可愛いヒビキが現れた。
パニックになり、やっぱり踊っている。人間って混乱すると、みなこうなるようだ。
「は? は? 何ですかこれはー!?」
「落ち着けヒビキちゃん。君はミニモフになったんだよ。時間が経てば元に戻れるから安心しろ」
「は、はい……異世界ってやばっ……」
「わかったら、ここに入れ」
ヤマザキに抱っこされるヒビキ。
まるで、もふもふした人形のようだ。
ヒビキを腹の中に入れて、服で覆った。これで容姿は、また太った貴族に見える。
しかし、おじさんに抱っこされ、密着状態になってしまったヒビキ。
不思議なことに、なぜか恍惚としている。
「うっ……これがおじさんの匂い……」
「我慢しろ」
「あ、いや、むしろ甘い香りで……めっちゃいいです」
は? と目を丸くするヤマザキ。
気づけば、腹の中で、「くんか、くんか」と荒くなった呼吸音が聞こえる。
「ヒビキちゃん、大丈夫か?」
「はい、全然おっけーです……くんくん、はぁ……」
「!?」
何かよくわからないが、ヒビキを抱えたヤマザキは、紫娼館を出ようと玄関まで急ぐのだった。
◉
「だから、お客様、ここで筋トレはおやめください!」
ここは紫娼館の前。
女将マッカランの注意する声が、夕焼け空に響く。
ふんっ、ふんっ、と腕立てをするジョニ。
彼は上半身裸だった。
いい汗をかいて、美しい腹筋が割れているのが見える。
そこは、まぁ、マッカランとしては目の保養になるからいいとして、問題なのは悪目立ちしていることだ。
「他のお客様の迷惑になります! おやめください!」
「ああー! 気持ちいいー! ハッスル! マッスル!」
(ああ、もういいや、めんどくさい……こいつ凍らせよう)
マッカランは、自慢の氷魔法を手元で作った。
しかしそのとき!
「え?」
魔力探知に反応がある。
紫娼館の中だ。
(何だこの魔力は……心が温まるような、優しい魔力……これはヒビキなのか!?」
急いで紫娼館に戻るマッカラン。
ジョニは、ただひたすら筋トレだけしていた。しかし、ちょっと泣きそうだ。
「ふんっ、ふんっ……本当にこんなんでいいのかなぁ……ヤマザキさーん」
一方、マッカランは玄関に飛び込んだ。
そしてすぐに魔力探知をする。
(ヒビキの魔力が小さい。どこだ? 部屋にいない……クソッ、移動しているねぇ……)
マッカランは、自分の魔法に絶対の自信を持っている。
魔力に目覚めて二十年、ずっと鍛錬を重ねてきたのだ。
故郷に帰り、母親に会って父親の最後の言葉を告げるため、ずっと……ずっと……。
「あやしいねぇ……」
マッカランは、一人の男に目をつけた。
太った貴族の男だ。
(この男の魔力は雑魚だけど、なぜか分からんが、微かにヒビキの魔力を感じるねぇ……)
思い切って、男に声をかけた。
「お客様、ちょっとよろしいでしょうか?」
「なに?」
「本日の踊り子はいかがでしたか?」
「ああ、いいよ、またくるね~」
急いで帰ろうとする、デブな貴族。
絶対にあやしい! と思うマッカランは、ぷっくりと太った貴族のお腹に触れた。
もふん、もふん……
肌触りが、気持ちいい。
マッカランは、目をうっとりさせていた。
「お客様、太客ですねぇ」
「ああ、ありがとう」
「ちょっと、お腹、見せてもらえませんか?」
「断る」
「いいじゃあないですかぁー!」
「嫌だって」
「減るもんじゃないしー!」
「嫌だってばっ!」
「見せてくださいよー!
びりッ!
服が破れる音が響く。
すると隠れていた二頭身ヒビキが、ぴょこっと顔を出した。
マッカランの目はめろめろだ。
「可愛いぃねぇ♡」
「ちっバレたか! 走るから捕まれヒビキちゃん!」
はい! と答えるヒビキ。
マッカランは二頭身ヒビキを見て、さらに決意を固くした。絶対にヒビキを手放したくない。
「逃がさないよっ!」
氷柱がヤマザキの顔面に飛んでくる。
完全に殺すつもりだろう。
禍々しい魔力が宿った、尖る氷柱。それがヤマザキの顔面で、ピタッと停止する。
特級魔導具・バリアバングルが発動!
おじさんの装備する腕輪が、きらりと光り輝く。
「ぐぐぐっ! なぜだ!? なぜやつを貫けんっ!」
マッカランは、魔力を全開にした。
しかしヤマザキの目の前で、ガタガタと氷柱が震えているだけで、びくともしない。
いや、逆に氷柱の先端の向きが変わっていく。
「バカな! あたしの魔力を、跳ね返してるねぇっ! あんた、いったい何者だい!?」
「ただの異世界から来た、おじさんだ」
平気な顔でヤマザキは言う。
対照的に、「ぐぬぬぬ!」と氷柱を貫こうとするマッカラン。
だが、次の瞬間!
ぐるん!
氷柱は、その進路をマッカランに定め、超高速になって飛んでいく。
「うそっ……!?」
マッカランの腹に、ぐさりと氷柱が突き刺さった。
自分の魔法が凶器となって返ってくる。
こんな摩訶不思議なことは、魔力に目覚めて以来、初めての経験だ。
しかも自分を倒す相手が、あのような魔力の貧弱なおじさん、だなんて。
(ああ、ごめんよ、おとうさん……おかあさんに謝れなくて……)
悲しくて、涙が溢れる。
ここで死ぬのか。
どくどく、と腹から出血している。内臓をやられた。
目を閉じる。もう、疲れた。もう、いいや、おとうさんのところへ行こう……。
あたたかい……。
気持ちがいい……。
癒される……。
こんな優しい気持ちは初めてだ。
「ああ、幸せ……」
ん? と目が覚めるマッカラン。
起き上がると、そこにはヒビキの笑顔があった。
「あ、うまくいきましたよ、おじさん」
「ほんとだ……死んだと思ったわ」
がばっと飛び起きるマッカラン。
きょろきょろ、とあたりを見渡して、ここがどこだか確認をする。
よかった。ここは自分が作った建物・紫娼館だ。
だが、なぜ生きている?
傷ついた腹は綺麗だ。出血した衣装だけが、赤く染まっている。
「あたしは……いったい?」
ヤマザキは、静かに答えた。
「ヒビキちゃんに感謝するんだな」
「え?」
「回復魔法を使ったんだよ」
そうかぇ……とマッカランは肩の力を抜く。
そしてヒビキを見つめ、「ありがとう」と言った。
その言葉が嬉しくて、ヒビキは笑顔になった。
「女将さん……わたし、ここを出ます」
「ああ、好きにおし」
「あのぉ、でも、たまに来てもいいですか?」
「あ? なんだいそれ? 紫娼館から出た踊り子が帰ってくるなんて、前代未聞だよぉ」
「魔法を教えてほしいんです。あと、踊りも……」
ははははっ! とマッカランは豪快に笑った。
「気に入ったよぉ! ヒビキはもう踊り子じゃあない。あんたはあたしの命の恩人だよぉ」
すりすり、とマッカランはヒビキに抱きつく。
ちょっと困ったようにヒビキは、ヤマザキを見た。
「どうしましょう、おじさん、懐かれちゃいました……」
「まぁ、いいじゃん。ちょっとお茶でも飲ませてもらおうぜ、いいだろマッカラン?」
あんた……とヤマザキを見つめるマッカラン。
何を言うかと思ったら、ニコッと笑った。
「よく見るとかっこいいねぇ、よし、あんたも気に入った! なんせ、あたしを倒した男だもんねぇ」
「ん?」
マッカランはヤマザキの腕に抱きついた。
むにゅ、と胸があたり、ニヤニヤするヤマザキは、ヒビキの方を見た。
「懐かれちゃった……どうしよう? ヒビキちゃ~ん」
「知りませんよ」
ぷいっとヒビキは、顔を横にする。
マッカランは、「さあ、こっちさ」と紫娼館の中へと、二人を案内するのだった。
ここは紫娼館の受付。
ずらりと整列する踊り子から一人、今宵遊ぶ美女を選ぶことができる。
だが、早まるな、ヤマザキ。
しばらく悩んだ結果、特に胸が大きな美女を選んだ。
所詮、男はみなおっぱいが大好きなのである。
「うっふん……選んでくれてありがとうございますぅ」
美女は色気たっぷりの踊りを披露し、ヤマザキを楽しませた。ぷるるん、と胸が揺れている。
「おおー! 綺麗だなぁ、挟まれたい……」
思えば、異世界に来てから女運が悪い。
今まで読んだラノベなら美女のハーレムパーティで、いぇーい! なんてことになるはずが。
ヤマザキが出会う女性は、男装するお姫様と子どもだけ。
あ、一人だけいた。
はらぺこ食堂のプルトニーだ。
しかし、ちょっと無理だった。
二十代で年齢的にも良い。顔もスタイルも良い。だが、どうやら店主ターキーが彼女のことを好きらしい。
なのでターキーの恋路を、陰ながら応援してるヤマザキなのである。
そんな思いもあるし、前世で彼女もいないせいもあってか、ヤマザキは美女に、どハマりそうになっていた。
「ささ、こちらの部屋で楽しみましょう」
「……う、うん」
腕を引かれるヤマザキの顔がまっ赤だ。
異世界で童貞卒業か。まぁ、それもいいかも。
なんて考えていると、布団が敷かれた部屋に入り、いよいよ美女とのお楽しみタイムとなった。
「座ってください」
「うん」
「うふふ、緊張してますね……大丈夫ですよ初めてなら、優しくしますから」
「うん」
「ほら、触ってください」
「うん」
美女は、ぷるんと胸を近づけてくる。
ヤマザキの手は、ガクブルに震えていた。
童貞あるあるである。
いざとなると、何も動けなくなる呪いの魔法だ。
すると、美女がヤマザキの手に触れた。
誘導するつもりだろう。
このまま流されようか、と思っていたが、ふと何かが頭に浮かんできた。
それは、羽兜の奥にあるエメラルドの瞳だった。
なぜハニィの顔が浮かぶのだろう。
理解できない。
だが、ハニィの赤くなった顔や笑顔が、なぜか頭から離れない。
気づけば、美女を押し倒していた。
「動くな、俺は自分で攻める方が好きなんでね……」
「あらぁ……それなら、お好きにどうぞ」
無防備に寝そべる美女。
ヤマザキは、さっと腹からシャツを取り出す。ジョニから借りた服だ。ビリビリと破く。
そして、美女の顔を巻いて覆った。
「あん、目隠しですか……最高です」
「もっと緊縛してほしいか?」
「はい」
おらっ、と美女を寝転がし、手と足をシャツの切れ端で縛った。
「あんっ! こんな縛り方はじめてっ!」
「そうか、じゃあ、ちょっと待ってろよ」
ヤマザキは、美女の耳元でささやく。
彼女は、ぞくぞくっと感じ、胸はドキドキと高鳴っている。
(やだ、お客さん相手なのに感じちゃった……これから私、どうなるんだろう……)
どうにもならなかった。
ヤマザキは美女を放置して、部屋から出ていく。
「やれやれ、やっぱり初めては好きな人とじゃないとな……」
ヤマザキは、そうつぶやく。
しかし、なぜハニィのことが頭に浮かんだのだろう。
ぶるるん、と首を横に振ったヤマザキは、本来の目的に集中した。
「さて、いっしょに召喚された女子高生を助けるか……」
何気なく、紫娼館の中を歩く。
部屋の扉はどれも閉められており、移動は楽だった。
たまに用心棒とすれ違うが、まったく怪しまれなかった。ヤマザキのことを太客だと思っているのだろう。
ジョニのジャケットは、おじさんを貴族に変える効果があった。
しばらく散策すると、ひときわ豪華な扉があった。
その扉には、龍と虎が戦っている絵が描かれている。
ちょっと開けて、中を覗いてみた。
「すーぴー、すーぴー」
誰かが寝ている。
踊り子の衣装よりも、さらに華やかな衣装を着た美女が寝ていた。
(あれが、マッカランか……ん?」
部屋の中に、植物が栽培されている。
稲、それにピーマン、ナス、キャベツなどなど、和食に欠かせないものばかり。
「いいなぁ……」
食材が欲しかったが、今はヒビキを救う方が優先だ。
ヤマザキは探索に戻った。
しばらく回廊を歩いていると、
「おや?」
違和感のある部屋を発見した。
足が凍った用心棒がいたのだ。
門番なのだろう。
扉の前で、ガクブルに震えている。
「この部屋、あやしいな……」
ヤマザキは門番から離れ、鞄から杖を取り出す。
木材粘土の杖だ。
その杖に触れた木材は、ぐにゃりと粘土化してしまう。
「よし……」
木で作られていた部屋の壁は、ヤマザキによって穴を開けられた。
とても綺麗にくり抜いたので、あまり目立っていない。
出入り口だと思う、客もいるくらいだった。
部屋に侵入してみると、あっけなく目的の人物を発見した。
「おじさん……なんで?」
ヤマザキを見て、びっくりするヒビキ。
逆にヤマザキの方も、びっくりしていた。
なぜなら、氷像があったからだ。
「やあ、助けにきたぞ~」
「……う、うわーん!」
とても心細かったのだろう。
泣きながらヒビキは、ヤマザキの胸に飛び込んだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
「おいおい、どした?」
「わたし、おじさんを無視してしまった……リクがひどいこと言ってるのに注意もできなくて……うわぁぁぁ!!」
「ああ、泣かないでぇ」
「でも、でも……」
「大きな声だしちゃダメだ……人が来ちゃうだろ」
ヤマザキの手で、「んぐっ」と口を塞がれたヒビキ。
なんとか泣き止んだ。
身体は立派なヒビキだが、心は十七歳の少女。
異世界に来て、こんなところに閉じ込めれたら、泣き出しても無理はない。
ヤマザキは、ぽんぽんとヒビキの頭を撫でた。
「よく頑張ったな! さあ、ここから逃げよう」
「はい……でもその前に、ちょっと試したいことがあって」
「なに?」
「この氷を溶かそうと思います」
「えっと、これなに?」
「私のせいで氷漬けにされた男性です」
「ふーん、でもどうやって?」
「たぶん、治れー! って祈ればいいと思います」
治れー! とヒビキは氷像に手を触れた。
すると、眩しい光が放出される。
状態異常を回復させる魔法だ。
みるみるうちに氷は溶け、ぬるっと男が出てきた。
しかし、起き上がらない。
どうやら酔っ払って、「ぐがが」と寝ているようだ。
「よかった」
「幸せなやつだな……それにしても、君、魔法が使えるんだね」
「はい! 回復魔法だけですけど」
「ふーん、でも偉いよ、この人の命を救ったんだから。あのまま氷漬けって、死んでるといっしょだもん」
「そうですよね……女将さんひどい……」
マッカランのこと? とヤマザキは質問した。
はい、とヒビキを答えた瞬間、はっと気づいた。
「いけない! 魔法を使うと女将さんに魔力探知されちゃいます!」
「急いで逃げよう!」
「はい」
「それじゃあ、タマ、触って!」
え? とヒビキは固まった。
ヤマザキは鞄を開けて、「さあ」とヒビキに近づく。
ヒビキは顔を赤くさせ、もじもじと困りまくっていた。
「た、タマって……ここで触るんですか?」
「そうだ! 早く触れ!」
「わ、わたし、触ったことなくて……いやん」
「いいから触ってくれ!」
「でもなんで急にそんなことを……男の人って何考えてるか分かりません。逃げるんじゃなかったんですか?」
「身体を変えて逃げるんだよ! ほら、触って!」
(どんな身体に!?)
ヤマザキはヒビキの手を握って、自分の方へ誘導させる。
「きゃぁぁああ!!」
さらにヒビキの顔が赤くなる。
華奢な手が、ヤマザキの鞄の中に突っ込まれた。
「え?」
次の瞬間、ぽわわん!
二頭身になった可愛いヒビキが現れた。
パニックになり、やっぱり踊っている。人間って混乱すると、みなこうなるようだ。
「は? は? 何ですかこれはー!?」
「落ち着けヒビキちゃん。君はミニモフになったんだよ。時間が経てば元に戻れるから安心しろ」
「は、はい……異世界ってやばっ……」
「わかったら、ここに入れ」
ヤマザキに抱っこされるヒビキ。
まるで、もふもふした人形のようだ。
ヒビキを腹の中に入れて、服で覆った。これで容姿は、また太った貴族に見える。
しかし、おじさんに抱っこされ、密着状態になってしまったヒビキ。
不思議なことに、なぜか恍惚としている。
「うっ……これがおじさんの匂い……」
「我慢しろ」
「あ、いや、むしろ甘い香りで……めっちゃいいです」
は? と目を丸くするヤマザキ。
気づけば、腹の中で、「くんか、くんか」と荒くなった呼吸音が聞こえる。
「ヒビキちゃん、大丈夫か?」
「はい、全然おっけーです……くんくん、はぁ……」
「!?」
何かよくわからないが、ヒビキを抱えたヤマザキは、紫娼館を出ようと玄関まで急ぐのだった。
◉
「だから、お客様、ここで筋トレはおやめください!」
ここは紫娼館の前。
女将マッカランの注意する声が、夕焼け空に響く。
ふんっ、ふんっ、と腕立てをするジョニ。
彼は上半身裸だった。
いい汗をかいて、美しい腹筋が割れているのが見える。
そこは、まぁ、マッカランとしては目の保養になるからいいとして、問題なのは悪目立ちしていることだ。
「他のお客様の迷惑になります! おやめください!」
「ああー! 気持ちいいー! ハッスル! マッスル!」
(ああ、もういいや、めんどくさい……こいつ凍らせよう)
マッカランは、自慢の氷魔法を手元で作った。
しかしそのとき!
「え?」
魔力探知に反応がある。
紫娼館の中だ。
(何だこの魔力は……心が温まるような、優しい魔力……これはヒビキなのか!?」
急いで紫娼館に戻るマッカラン。
ジョニは、ただひたすら筋トレだけしていた。しかし、ちょっと泣きそうだ。
「ふんっ、ふんっ……本当にこんなんでいいのかなぁ……ヤマザキさーん」
一方、マッカランは玄関に飛び込んだ。
そしてすぐに魔力探知をする。
(ヒビキの魔力が小さい。どこだ? 部屋にいない……クソッ、移動しているねぇ……)
マッカランは、自分の魔法に絶対の自信を持っている。
魔力に目覚めて二十年、ずっと鍛錬を重ねてきたのだ。
故郷に帰り、母親に会って父親の最後の言葉を告げるため、ずっと……ずっと……。
「あやしいねぇ……」
マッカランは、一人の男に目をつけた。
太った貴族の男だ。
(この男の魔力は雑魚だけど、なぜか分からんが、微かにヒビキの魔力を感じるねぇ……)
思い切って、男に声をかけた。
「お客様、ちょっとよろしいでしょうか?」
「なに?」
「本日の踊り子はいかがでしたか?」
「ああ、いいよ、またくるね~」
急いで帰ろうとする、デブな貴族。
絶対にあやしい! と思うマッカランは、ぷっくりと太った貴族のお腹に触れた。
もふん、もふん……
肌触りが、気持ちいい。
マッカランは、目をうっとりさせていた。
「お客様、太客ですねぇ」
「ああ、ありがとう」
「ちょっと、お腹、見せてもらえませんか?」
「断る」
「いいじゃあないですかぁー!」
「嫌だって」
「減るもんじゃないしー!」
「嫌だってばっ!」
「見せてくださいよー!
びりッ!
服が破れる音が響く。
すると隠れていた二頭身ヒビキが、ぴょこっと顔を出した。
マッカランの目はめろめろだ。
「可愛いぃねぇ♡」
「ちっバレたか! 走るから捕まれヒビキちゃん!」
はい! と答えるヒビキ。
マッカランは二頭身ヒビキを見て、さらに決意を固くした。絶対にヒビキを手放したくない。
「逃がさないよっ!」
氷柱がヤマザキの顔面に飛んでくる。
完全に殺すつもりだろう。
禍々しい魔力が宿った、尖る氷柱。それがヤマザキの顔面で、ピタッと停止する。
特級魔導具・バリアバングルが発動!
おじさんの装備する腕輪が、きらりと光り輝く。
「ぐぐぐっ! なぜだ!? なぜやつを貫けんっ!」
マッカランは、魔力を全開にした。
しかしヤマザキの目の前で、ガタガタと氷柱が震えているだけで、びくともしない。
いや、逆に氷柱の先端の向きが変わっていく。
「バカな! あたしの魔力を、跳ね返してるねぇっ! あんた、いったい何者だい!?」
「ただの異世界から来た、おじさんだ」
平気な顔でヤマザキは言う。
対照的に、「ぐぬぬぬ!」と氷柱を貫こうとするマッカラン。
だが、次の瞬間!
ぐるん!
氷柱は、その進路をマッカランに定め、超高速になって飛んでいく。
「うそっ……!?」
マッカランの腹に、ぐさりと氷柱が突き刺さった。
自分の魔法が凶器となって返ってくる。
こんな摩訶不思議なことは、魔力に目覚めて以来、初めての経験だ。
しかも自分を倒す相手が、あのような魔力の貧弱なおじさん、だなんて。
(ああ、ごめんよ、おとうさん……おかあさんに謝れなくて……)
悲しくて、涙が溢れる。
ここで死ぬのか。
どくどく、と腹から出血している。内臓をやられた。
目を閉じる。もう、疲れた。もう、いいや、おとうさんのところへ行こう……。
あたたかい……。
気持ちがいい……。
癒される……。
こんな優しい気持ちは初めてだ。
「ああ、幸せ……」
ん? と目が覚めるマッカラン。
起き上がると、そこにはヒビキの笑顔があった。
「あ、うまくいきましたよ、おじさん」
「ほんとだ……死んだと思ったわ」
がばっと飛び起きるマッカラン。
きょろきょろ、とあたりを見渡して、ここがどこだか確認をする。
よかった。ここは自分が作った建物・紫娼館だ。
だが、なぜ生きている?
傷ついた腹は綺麗だ。出血した衣装だけが、赤く染まっている。
「あたしは……いったい?」
ヤマザキは、静かに答えた。
「ヒビキちゃんに感謝するんだな」
「え?」
「回復魔法を使ったんだよ」
そうかぇ……とマッカランは肩の力を抜く。
そしてヒビキを見つめ、「ありがとう」と言った。
その言葉が嬉しくて、ヒビキは笑顔になった。
「女将さん……わたし、ここを出ます」
「ああ、好きにおし」
「あのぉ、でも、たまに来てもいいですか?」
「あ? なんだいそれ? 紫娼館から出た踊り子が帰ってくるなんて、前代未聞だよぉ」
「魔法を教えてほしいんです。あと、踊りも……」
ははははっ! とマッカランは豪快に笑った。
「気に入ったよぉ! ヒビキはもう踊り子じゃあない。あんたはあたしの命の恩人だよぉ」
すりすり、とマッカランはヒビキに抱きつく。
ちょっと困ったようにヒビキは、ヤマザキを見た。
「どうしましょう、おじさん、懐かれちゃいました……」
「まぁ、いいじゃん。ちょっとお茶でも飲ませてもらおうぜ、いいだろマッカラン?」
あんた……とヤマザキを見つめるマッカラン。
何を言うかと思ったら、ニコッと笑った。
「よく見るとかっこいいねぇ、よし、あんたも気に入った! なんせ、あたしを倒した男だもんねぇ」
「ん?」
マッカランはヤマザキの腕に抱きついた。
むにゅ、と胸があたり、ニヤニヤするヤマザキは、ヒビキの方を見た。
「懐かれちゃった……どうしよう? ヒビキちゃ~ん」
「知りませんよ」
ぷいっとヒビキは、顔を横にする。
マッカランは、「さあ、こっちさ」と紫娼館の中へと、二人を案内するのだった。
166
お気に入りに追加
990
あなたにおすすめの小説

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる