ゆったりおじさんの魔導具作り~召喚に巻き込んどいて王国を救え? 勇者に言えよ!~

ぬこまる

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勇者召喚編

13 火をもって火を制す 4

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「さて勇敢な諸君、山火事を消すのを手伝ってくれないか?」

 ここは貧民街の広場。
 有志を募るヤマザキの手には、フレイムスロワがある。
 
(火を消すのになんで火炎放射器を持ってんの?)

 と、ハニィも民衆も思っていた。
 食堂の店主ターキーは、「がははは」とバカみたいに笑う。

「消せるわけないだろ! 山火事なんてほっとけ、どうせ燃えるのは貴族街のほうなんだ。俺らの街は川があるから安全だもんね」

 たしかに、と農夫ゴインもうなずいた。

「対岸の火事ってことだな。このさい王国はなくした方がいいんじゃないか? 税金だって納めなくていいし」

 そうだ、そうだ、と叫ぶ者たちもいる。
 しかし、ヤマザキは首を振った。

「ダメだ、王国はあった方がいい。無くなれば他国から攻められやすくなる」

 ヤマザキさん、好き、とハニィは心の中で思う。ヤマザキが自国のことを守ってくれて感動しているのだ。
 ヤマザキの演説は続く。

「まぁ、税金対策はまた考えよう。今は山火事を消すんだ! モーレンジの森が丸焼になったら、カウカウもウママも絶滅しちまうぞ?」

 それはいかん! とターキーは叫ぶ。
 うむ、とゴインも同感だった。
 民衆の思いが、ひとつになろうとしている。
 両手を組んで祈りを捧げるプルトニー。 
 若い男たちは、「やるぞー!」と拳をあげている。
 タリスカーは、ニヤリと笑っていた。

(ヤマザキさん、いつのまにやら勇者みたいじゃな……)

 真剣な顔のヤマザキは、細かく民衆に指示を出していった。

「ターキーさんは、ありったけ油を持ってきてくれ」
「え? なんで? 火を消すんだろ?」
「いいから、いいから」
「わかった、油屋にも声をかけるぜ!」
「ありがとう。じゃあ、ハニィくんとデュワーズは、ひしゃくを持ってきてくれ」

 はい、とハニィ。
 推しが目の前に♡ とデュワーズ。
 二人はターキーと連携して動くことになった。
 続いて、ゴインと若い男たちに指令を出す。

「ゴインさんたちはくわを持ってきてくれ、穴を掘ってもらいたい」
「いいぜ!」

 若い男たちのリーダーは元気よく承諾した。
 彼の名前はラフロイグ。
 以前、街道で強盗をしていたところを、ヤマザキに説教されて以来、ともに畑仕事をしている頼もしい友達だ。

「でもヤマザキさん、いったいどこを掘るんすか?」
「現場に着いたら説明する。ラフロイグたちは鍬を持って、街の出口に集合してくれ」
「了解っす」

 貧民街のみんなの心が、ひとつになっていた。

「街のみなさんは家にいてください。必ず火は消しますから」

 ヤマザキの声は低く、不思議と安心感がある。
 民衆たちは、「ヤマザキさんが言うなら……」と帰っていく。
 その光景を見届けていると、ターキーが荷車を運んできた。積まれていたのは、大きな樽。

「これでいいか?」
「ターキーさんありがとう! よし、それじゃあいくぞ!」

 おおー! とハニィとデュワーズは掛け声をあげて、ヤマザキの後についていく。
 街の出口には、ゴインとラフロイグたちが待ち構えていた。手には、畑仕事に使う鍬を持っている。
 ゴインは、ニヤリと笑っていた。

「で、どこを掘るんだ? ヤマザキさん」
「山火事になる前の区域だ」
「ほう」
「みんなも聞いてくれ! まず俺たちは城壁に向かい、それから街道にそってモーレンジの森に入る。作業する区域になったら、また言うよ」

 こくり、とみな首を縦に振った。

「あ、それとラフロイグたちは油を積んだ荷車を運んでくれ」

 はい、と若い男たちは返事をする。
 彼らは必死に荷車を運ぶ。その姿を見たデュワーズは、うう……と涙ぐんでいた。

「君たち、本当に反省したんだね……偉い偉い」

 と、デュワーズがラフロイグに励ましの言葉をかける。

「ああ、ヤマザキさんのおかげだ」
「そうだね」

 当のヤマザキは先頭を歩いていた。
 隣にはハニィがいて、持っているひしゃくを見つめては、首を傾げていた。

「なぜ油をまくのですか? ヤマザキさん」
「火をもって火を制す!」

 え? とハニィは頬を赤らめて聞き返した。
 ヤマザキの言葉は、いつもハニィの心をドキドキさせる、刺激的なものなのだ。

「火は燃料を求めて動いている。つまり、俺たちが先に燃料を燃やしておけば、山火事は鎮火するのさ」
「すごいです! ヤマザキさん、すごく賢いんですね……」
「いやぁ、まぁ、前世の知識だよ。たまたま、山火事と戦う映画を観たことがあるんだ」
「エイガ? それは魔法ですか?」
「ん~……そうだね。気分転換できる魔法だよ」
「いいですね。私、ちょっと落ち込んでいるので、気分転換したいかも……」

 ハニィは、今にも泣きそうな顔で歩いている。
 無理もない。
 嫌だった兄とはいえ、家族を亡くしたのだ。とても胸が痛いことだろう。
 ヤマザキは、横目でハニィを見つめていた。
 
「じゃあ、山火事が鎮火して落ち着いたら、おじさんと遊ぼう。異世界のこと、いろいろ教えて欲しいし」
「はい」
「あ、やべっ……なんか誘ったみたいになったな……あははは」

 ハニィも、クスッと笑った。

「大丈夫です。セクハラの魔法は発動してませんから」
「あ、ありがとう」
 
 ちょっとだけ顔を赤くするヤマザキであったが、そのとき。

 ガサガサガサ!!!

 鳥の大群が飛んでいく。
 ここは異世界の森だ。鹿や熊などに似たような動物たちが、山火事に巻き込まれないよう逃げ出している。
 
「はやく火事を消さないと、動物たちが燃えちゃうよ~!」
「だな」

 デュワーズとラフロイグの会話だ。
 若い男たちは、ガタガタと荷車を運び、白煙で視界の悪くなる森の道を進んでいく。
 そしていよいよ、燃え盛る山火事に近づいていた。
  
 メラメラ、メキメキ……

 燃える木々、森に充満する白煙、火事の勢力は衰えることなく、じわじわと王国の方に動いている。
 ヤマザキは、後ろを振り返った。

「よし、この辺りから作業を始めるぞ! ゴインさんとラフロイグたちは、ここから東に向かって穴を掘り進めてくれ、深さは膝下ぐらいでいい」

 わかった、とゴイン。
 はい! とラフロイグたち。
 続いてヤマザキはターキーたちに指示を出す。

「俺が木を粘土に変えていくから、そこに油をまいて欲しいんだ」

 よし、やるぞ! とターキー。
 はい! とハニィ。
 がんばる! とデュワーズ。
 ヤマザキは装備を確認した。
 背中側にフレイムスロワ、手に木材粘土の杖を持ち替える。
 そして街道から森に入り、ぐにゃり、ぐにゃりと木々を粘土に変えていく。
 魔導具・木材粘土の杖は、どんなに巨大な木だろうと、一瞬で粘土化させていた。
 そこへ、ハニィたちが油をまいていく。
 どんどん森が拓かれていった。
 そして、ゴインたち農作業チームの出番だ。
 
「やるぞー!」
 
 ラフロイグの掛け声で、みんな一斉に穴を掘っていく。
 日頃の畑仕事でやっているとおり。東の方角へ一直線に穴を掘って、掘って、掘りまくる。

 メラメラ、メキメキ……

 燃え上がる木、黒こげて焼け落ちる木、轟音とともに山火事が迫ってくる恐怖はあるが、みんなモーレンジの森を守ることに必死だった。

「よーし! これでいいだろう! 火をつけるから離れろー!」

 大きな声で指示を出すヤマザキ。
 武器をフレイムスロワに持ち替え、ボワッと火炎を放射した。
 火は勢いよく木材粘土に引火していく。
 ハニィたちがまいた油も燃料となり、みるみるうちに燃え盛る。
 そのような灼熱の光景を見たみんなは、

(もっと火事になったよ……大丈夫か?)

 と不安になった。
 ヤマザキは街道の方に戻りながら、

「おーい、離れろ! 飛び火に気をつけろ!」

 と叫んでいる。
 荷車は、油をまいたおかげで軽くなっていた。
 デュワーズとハニィはその荷車に乗り、たくましいラフロイグたちに運ばれていく。
 ターキーとゴインはヤマザキに近づいた。

「余計に燃やして大丈夫なのか?」
「ヤマザキさん、店の油代、王国に請求していいよな?」

 ああ、とヤマザキは答えた。
 
「安心しろ、俺たちはやれることはやった。あとは様子を見よう……そうだな、あそこの丘に登ろうか」

 みんな丘を目指して走った。
 たどり着くと、ちょうど山火事とヤマザキたちが燃やした火事が激突しそうだった。

「来るぞ!」

 ヤマザキが叫ぶ。
 火と火が、ごうごうと爆音をあげてぶつかりあう。
 すると不思議なことに、黒煙になって山火事は鎮火していく。
 燃えるものがなくなり、火の魔物は弱まって消えたのだ。

 やったー!

 みんな大喜びだ。
 ハニィとデュワーズは抱き合い、ゴインとターキーは拳を合わせる。
 ラフロイグたちはヤマザキとハイタッチしていた。

(私にとって召喚された勇者は……ヤマザキさんだ!)

 と、ハニィは心から思うのだった。


 ◉


 ヤマザキたちと別れ、ハニィが城に戻ると、ダニエル王は上機嫌だった。
 衛兵や魔術師たちは拍手して讃え、執事ジョニは泣きながら主を迎える。

「ハニィ様、やりましたね! 見事、王国を救いました」
「いや、私だけじゃない。もっと賛辞すべき者が……」

 ハニィが言い切る前にダニエル王が、

「みなの者!」

 と大きな声をあげた。
 王の目線はハニィに注がれている。逃げられない権力の濫用が、彼女を縛りつけていた。

「ジャック亡き今……本日をもってハニィを王位継承者として任命する!」

 おおー!
 と、衛兵や魔術師たちは拍手する。
 きょとん、とするハニィ。 
 目を閉じるジョニは、さっと後ろにさがっていた。
 城中に歓声が湧き上がる。
 だが、一人だけ邪悪なオーラを放つ者がいた。ギッと爪を噛む厚化粧の女性。ボウモア王妃だ。

(王になるのはバランタインですわ……)

 手を繋ぐ男の子は、「ハニィさま~!」と喜んでいる。
 山火事から難を逃れたハイランド王国だが、争いの火種はまだ鎮火することなく、じわじわと燃えあがろうとしているのだった。


 一方そのころ……。


「出してよぉ……」

 ここは城の牢獄。
 夜な夜な、少女の鳴き声が響く。
 完全に忘れ去られた聖女ヒビキが、鉄格子を握って、えんえんと泣いているのだった。

「ふぇーん! 出してよぉぉ!」
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