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第2章
羞恥と戸惑い 7
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心の中で、わー!わー!と叫びながら全身をくまなく洗い、浴槽に体を沈めてから早10分は経った。
何度も何度も、今日白石さんと合流してからのことを思い返す。
やはり、おかしい。おかしいことになった。とんでもなくおかしいことになっている。
白石さんの目の前で自ら脱衣し!触って欲しいなどと世迷いごとを言い!扱かれ!イくことを懇願し!手の中だけでなく服にまで射精!
なお、その白石さんはただの友人の模様!
おかしい。おかしすぎる。
今まで付き合ってきた彼女の前で射精はおろか、勃起すらしたことがないというのに、
更には言葉責めなんてされたことはおろかしたことすらないのに、
友人の、しかも同性の、しかも知り合って1ヶ月とちょっとの白石さんの目の前で、初体験の扉をどんどんと開いてしまっている。
妙なことになってしまった。いや、してしまったのか。
俺は、ホモになってしまったのか?いや、違う、なぜならキ…
キ…
キスされても、ときめかなかったし…。
とにかく驚きで時が止まったし、いや、まさかされるとも思っていなかったから。白石さんは、どういうつもりで、キ…
キ…
キスを、したのだろうか。
湯船に浸かりながら悶々と考えているうちに、最も初歩的な疑問にたどり着いた。
なんで俺、悠長に白石さんの家の湯船に浸かってるんだ!?
頭の中はまとまらないままだが、とりあえず立ち上がり風呂場の扉をそっと開ける。
どうやら白石さんがタオルと、脱ぎ捨てたままだった服を(しかも綺麗に畳んだ状態で)用意しておいてくれたらしく、風呂場の外に重なって置いてあった。
ダメだ、何をどう考えても、どうしてこんなことになったのか分からない。
ばさばさと頭をタオルで拭いて、全身もささっと水気を取ると、急いで畳んでもらった服に着替える。
そして、風呂場を後にしてリビングに向かい、雑誌を読んでいる白石さんを発見し、
「ああ、黒原さん、湯加減は…」
「ありがとうございました、とても良いお湯加減でした!タオルと着替えまで用意して頂き、大変お手数お掛け致しました!また、白石さんの服を汚してしまって申し訳ございません!大変失礼ながら、洗濯代を洗面所に置かせて頂きました!本日は多大なご迷惑をおかけし、また大変お世話になりまして、ありがとうございました!私、これにてお暇させて頂こうかと思っている次第で御座います!また、白石さんのご都合の良い日がありましたら是非、日を改めてお食事に行きましょう!本日はありがとうございました!」
びしっと礼をキメて、風呂場で考えたセリフを一言一句間違わないよう白石さんに投げかける。
「わぁ…」
白石さんはきょとんとした顔で、けど少し面白そうにこちらを見ている。
「…ああ、お気になさらないで良かったのに。終電は大丈夫ですか?」
「お心遣い、大変ありがたく思います!終電に間に合わなかったとしても、家までそう離れた距離でも御座いませんので、タクシーを拾って帰ろうかと思っている次第で御座います!」
「タクシーですか、僕が払いますよ、引き止めてしまったのは僕なので」
「いえ!お構いなく!ではこれにて!大変失礼致しました!また宜しくお願い致します!」
「あら、ええ、そうですか、気を付けてお帰り下さいね」
ビシッ!と最後にしっかり礼をキメて、白石さんの家を後にする。
玄関から共用スペースに出て、早歩きになり、小走りになり、エレベーターを待つ時間も惜しく、階段を駆け下りる。
絶っっっっ対に、おかしい奴だと思われた!!
あの、新しいおもちゃを見つけたかのような楽しそうな顔!
絶対今頃、部屋で笑ってる…!
何階か数えていないが…はぁはぁと息が切れるぐらいまで階段を駆け下りて、笑う足をおさえて大人しくエレベーターを呼び、息を整えながら待つ。
ああ…。
もう次、会える気が全くしねぇよ…。
ちょうどエレベーターが到着したと同時ぐらいに、ブブ、とスマホが震えた。
画面を確認すると、白石さんからのメッセージ。
ー土曜日の夜、なるべく空けておきます。v(^_^)v
気を付けて帰ってくださいね。
くれぐれも、寝落ちされませんように。
もう酔いは覚めているが、たとえ酔いが残っていたとしても、絶対に寝過ごさない自信がある。
あんなことがあった後で、寝ていられるわけがない…。
土曜日の夜…。
次会うとき、本当、どんな顔をして会えば良いっていうんだよ…。
何度も何度も、今日白石さんと合流してからのことを思い返す。
やはり、おかしい。おかしいことになった。とんでもなくおかしいことになっている。
白石さんの目の前で自ら脱衣し!触って欲しいなどと世迷いごとを言い!扱かれ!イくことを懇願し!手の中だけでなく服にまで射精!
なお、その白石さんはただの友人の模様!
おかしい。おかしすぎる。
今まで付き合ってきた彼女の前で射精はおろか、勃起すらしたことがないというのに、
更には言葉責めなんてされたことはおろかしたことすらないのに、
友人の、しかも同性の、しかも知り合って1ヶ月とちょっとの白石さんの目の前で、初体験の扉をどんどんと開いてしまっている。
妙なことになってしまった。いや、してしまったのか。
俺は、ホモになってしまったのか?いや、違う、なぜならキ…
キ…
キスされても、ときめかなかったし…。
とにかく驚きで時が止まったし、いや、まさかされるとも思っていなかったから。白石さんは、どういうつもりで、キ…
キ…
キスを、したのだろうか。
湯船に浸かりながら悶々と考えているうちに、最も初歩的な疑問にたどり着いた。
なんで俺、悠長に白石さんの家の湯船に浸かってるんだ!?
頭の中はまとまらないままだが、とりあえず立ち上がり風呂場の扉をそっと開ける。
どうやら白石さんがタオルと、脱ぎ捨てたままだった服を(しかも綺麗に畳んだ状態で)用意しておいてくれたらしく、風呂場の外に重なって置いてあった。
ダメだ、何をどう考えても、どうしてこんなことになったのか分からない。
ばさばさと頭をタオルで拭いて、全身もささっと水気を取ると、急いで畳んでもらった服に着替える。
そして、風呂場を後にしてリビングに向かい、雑誌を読んでいる白石さんを発見し、
「ああ、黒原さん、湯加減は…」
「ありがとうございました、とても良いお湯加減でした!タオルと着替えまで用意して頂き、大変お手数お掛け致しました!また、白石さんの服を汚してしまって申し訳ございません!大変失礼ながら、洗濯代を洗面所に置かせて頂きました!本日は多大なご迷惑をおかけし、また大変お世話になりまして、ありがとうございました!私、これにてお暇させて頂こうかと思っている次第で御座います!また、白石さんのご都合の良い日がありましたら是非、日を改めてお食事に行きましょう!本日はありがとうございました!」
びしっと礼をキメて、風呂場で考えたセリフを一言一句間違わないよう白石さんに投げかける。
「わぁ…」
白石さんはきょとんとした顔で、けど少し面白そうにこちらを見ている。
「…ああ、お気になさらないで良かったのに。終電は大丈夫ですか?」
「お心遣い、大変ありがたく思います!終電に間に合わなかったとしても、家までそう離れた距離でも御座いませんので、タクシーを拾って帰ろうかと思っている次第で御座います!」
「タクシーですか、僕が払いますよ、引き止めてしまったのは僕なので」
「いえ!お構いなく!ではこれにて!大変失礼致しました!また宜しくお願い致します!」
「あら、ええ、そうですか、気を付けてお帰り下さいね」
ビシッ!と最後にしっかり礼をキメて、白石さんの家を後にする。
玄関から共用スペースに出て、早歩きになり、小走りになり、エレベーターを待つ時間も惜しく、階段を駆け下りる。
絶っっっっ対に、おかしい奴だと思われた!!
あの、新しいおもちゃを見つけたかのような楽しそうな顔!
絶対今頃、部屋で笑ってる…!
何階か数えていないが…はぁはぁと息が切れるぐらいまで階段を駆け下りて、笑う足をおさえて大人しくエレベーターを呼び、息を整えながら待つ。
ああ…。
もう次、会える気が全くしねぇよ…。
ちょうどエレベーターが到着したと同時ぐらいに、ブブ、とスマホが震えた。
画面を確認すると、白石さんからのメッセージ。
ー土曜日の夜、なるべく空けておきます。v(^_^)v
気を付けて帰ってくださいね。
くれぐれも、寝落ちされませんように。
もう酔いは覚めているが、たとえ酔いが残っていたとしても、絶対に寝過ごさない自信がある。
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土曜日の夜…。
次会うとき、本当、どんな顔をして会えば良いっていうんだよ…。
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