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引越しの挨拶

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 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 仕事帰り…さきっちょと 向かった
 のところ…


 それは…


 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



「ジジイ!
 さきっちょ 連れてきてやったぞ(´∀`*)」

「あれま~たのか、さちっちょ!」

「爺ちゃん、こんばんは!」


「てかよぉ~何度も言ってるべや…
 さちっちょの前ぐらい、
 可愛めんこく "じぃじ♡"って
 言えねぇのか、お前めぇは…うぇぁ?」

「小さい頃から
 "ジジイ"って呼んでるから
 今更、直せません(´∀`*)ヶラヶラ」

「将棋仲間のぜんつぁんところの
 孫ちゃんは、おめぇ
 "じぃじ♡"って呼ぶんだとよ…」

善吉ぜんきちさんのところの孫ちゃんは、
 小学生でしょ!
 アラサーの私と一緒にしないでよ(´∀`*)」

「ダメだ、こりゃ…(*´ω`*)ボハハハ…」



 *・゚・*:.。.*.。.:



 私が住んでるマンション、
【STRING CHIMNEY】の管理人…
 母方の祖父、地村チムラ ゲン

 "STRING"は 名前の"弦"の英訳
 "CHIMNEY"は ジジイのあだ名…

 …あだ名をマンション名に
 入れちゃうところが ぶっ飛んでいる


 専門学校への入学を機に
 このマンションの一室を借りて
 ジジイと婆ちゃんの様子を見ながら
 暮らしていた

 数年前に婆ちゃんが亡くなってからは
 ジジイは 管理人室で 一人暮らし


 さきっちょは、たまにここに来ては
 祖父の話し相手をしてくれる



 。゜⋆。゜⋆




「爺ちゃん、今日は 何で勝負する?」

「んだば、麻雀は どうだ?」

「ひとり 足りないじゃん!」

「じゃあ、麻雀は無理か…っ…」

 と、言いかけたところに


「ジジイ!元気?
 あ、咲さん!いらっしゃい(*´꒳`*)」

さとしくん、キタ━(゚∀゚)━♡♡」


 さきっちょが
 喜んでいるのも無理はない

 ひと回り年下の可愛い私の弟は
 彼女の"推し"だから(´∀`*)ヶラヶラ


「サト!来てくれたの!
 あれ?バイトは?」

「今日は 休み!
 姉ちゃんのご飯、食べに来た(*´꒳`*)」



 。゜⋆。゜⋆



 異父姉弟ってやつです…


 あのは "母性"より"女性"

 未だに 母親になりきれない…



さとすてくれてありがとな」

「今日もジジイが
 元気なのを確認しに来たよ!(*´꒳`*)」



 。゜⋆。゜⋆




 あのは 夜の仕事をしているから
 幼少の頃 夕方になると
 弟と一緒に ジジイのところに
 預けられ
 翌朝早く 酔っ払ったあの人が
 迎えに来て家に帰る毎日だった

 今 思えば
 あのころはまだ
 "良心"があったのだろう
 家に放置されることなく
 ここに預けられたのだから…


 いつも笑わせてくれるジジイと
 いつも心配してくれる婆ちゃんが
 大好きだった


 複雑な家庭環境…

 私が専門学校を卒業して就職したら
 サトと暮らすつもりでいたのに…

 母親らしいことも
 何一つしてないのに…

 あの人は、弟に執着して

 "智は 連れていかないで!"
 と、泣いた

 時々、泊まりに来るサトは
 "姉ちゃんと早く一緒に住みたい"と
 言葉を漏らす

 こっちは いつ来てもいいように
 準備は整っている



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



「リーチ…」

「え~!サト、もうリーチ?!」

「智くんに、今日も負けるのか…
 いや、負けてもいいわ♡
 もう好きにして♡(*´°`*)ハゥ」

「咲さん わかりませんよ…
 ジジイも さっきからニヤニヤしてるから」

「ワシは元々、ニヤニヤしてんだ…」


 ・・・・・・


「キタ━(゚∀゚)━!!ツモ!」

「あ!姉ちゃんっ!!!(*゚ロ゚)」

「ふふ…じゃーん!七対子チイトイツ( *¯ ꒳¯*)」

「役が地味だな、おぇ!ボハハハ…」

「地味でも勝ちは勝ちよ!
 一度でいいから
 国士無双こくしむそうで勝ってみたいわ(*´﹃`*)」

「姉ちゃん、ヨダレ!( ゚∀ ゚)ハッ!」


 一局目、私の勝ち(∩´∀`)∩ワーイ♡


「アミっぺ!おつまみ無くなった~
 私の好きな厚揚げ炙ってきて~♡
 あ、ポン酢も忘れないでよぉ~」

「姉ちゃん、次は おにぎり食べたい!」

「じゃあ、部屋に行って作ってくるわ!」



 管理人室を出て、
 自分の部屋へ


 エレベーターに乗り 8階の最上階へ

 各フロアに3世帯ずつ
 801号室は空室…
 私の部屋は一番端…803号室

 南西向きのファミリータイプ…
 最高でしょ?
 親族割引+ジジイの介護込み
 半額以下で住まわせてもらってる
 ジジイの様子も毎日見られるから
 私としては 都合がいい



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 部屋に入って
 おつまみと おにぎりの準備を始めると


 ピンポーン♬.*゚

 インターホンが鳴った


 ディスプレイには
 知らない男の人が映っていた



 "誰だろ…"


 とりあえず通話


「…はい」

 ──「今日、802に越してきた者です!
 ご挨拶に伺いました!」


 そういえば、朝
 ガタガタやってたなぁ…



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 玄関ドアを開けると
 背がスラッと高く 黒縁メガネをかけた
 顔の小さいイケメンが立っていた


「あ、お忙しいところすみません!
 隣に越してきた 住人の代理だいりの者です!」


「…代理?」

 高級そうな菓子折と共に
 渡された名刺に視線を落とすと
 そこには

 YJプロダクション
 代表 木村きむら  じん

 と、書かれていた


 "プロダクション…って芸能事務所?"
( ̄-  ̄ ) ンー
 色々考えてると


「あ、あの…」


「( ゚∀ ゚)ハッ!…ごめんなさい!
 プロダクションの文字に
 フリーズしました(( ̄▽ ̄;;)ア、ハハハハ…」


「いえ、そんなに
 有名では無いので(´▽`*)アハハ」

 木村さんは
 大きな口を開けて笑ったあと

「会社名義で借りてますが
 僕の相方が入居します!
 なるべく うるさくしないように
 言っておきますので!
 なにか 気になることがあったら
 遠慮なく連絡下さい!
 よろしくお願いしますm(*_ _)m」


 なんとも代表らしい お辞儀の仕方…


「大丈夫ですよ!
 あまり気になさらずに…(*´꒳`*)
 あ、私は羽玖井はくいと言います」

羽玖井はくいさんですね!
 心の広い方で良かったです(´∀`*)
 では、失礼します(*_ _))*゜」


 木村さんは、隣の部屋へ入っていった


「あ、おつまみとおにぎり…」
 急いで用意して 管理人室へと戻った



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 ~隣人side~



 バタンっ…


「挨拶してきたよ!」

「ありがとう!」

「リモート終わった?」

「うん、終わった…
 少し手直ししないとダメみたいだ」

「そうか…
 まぁ粗方…形になってるから
 修正もすぐ出来るんじゃない?」

「ん~、今 打ち合わせしてたら
 色々注文つけられて
 めんどくせぇわ(´∀`*)ヶラヶラ」

「修正終わったら連絡ちょうだい…
 俺からも話しておくから」

「ありがとう、助かるよ」

「隣の人…」

「ん?」

「綺麗な お姉さんだぞ」

「お姉さんって言い方!エロいな!」

羽玖井はくいさんっていうらしいよ!
 まぁ、言い寄られる事は
 ないと思うけど 気をつけろよ」

「お前もな…(ノ∀≦。)」

「俺は良いんだよ!
 撮られてナンボだ( *¯ ꒳¯*)フフフッ…」

「この前みたいに
 いつ撮られるか わかんないぞ!
 モテる男は、大変だな!」

「。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャ
 まさか、アレを撮られるとはな!
 メイクの子だよ?
 何も無いのわかってるだろ?
 モテるのは お互い様だろ…
 じゃあ、俺 帰るわ!
 オールしないで寝ろよ!」

「おう!」



 *.゜。:+*.゜。:+*.゜。:+*.゜



 ~管理人室~


「ごめん、遅くなった!」

「ジジイ、眠くなったって言って
 寝ちゃったよ!」

「え?そうなの?」

「智くん、爺ちゃんのお茶に
 "ヤク"でも盛ったんじゃない?(´∀`*)」

「そんな事しないし~!(*¯ч¯*)'' モグモグ…
 ジジイの寝る時間、すぎてるからだよ!
 ひどいなぁ、咲さん(´^`*)ムー」

「うそうそ!
 じゃ、爺ちゃんも寝ちゃったから
 おつまみ食べたら私も帰るわ!」


「さきっちょ、ありがとうね!」


 さきっちょは
 介護の経験者で 大変さをわかってる
 私の複雑な家庭環境も
 全部話してあるから
 "手伝うよ!"って…
 私には 強い味方がいる!



「サトは、泊まっていく?」

「いや…最近 あの人 機嫌悪いから
 今日は帰るよ」

「そういえば、あの男とは どうなったの?」

「あ~なんか、振られたっぽい…」

「そう…」

「姉ちゃんの卵焼きが食べたいって
 言ってたから また持って来てよ」

「わかった!」

しめのおにぎり、ご馳走さま(*´꒳`*)」

「今度は来る前に連絡ちょうだいよ(´∀`*)
 たくさん作って待ってるから!」

「うん!」


 お互いの気持ちを汲み取りながら
 私たちは生活している


 毒親を持つと 大変だ…

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