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しおりを挟む限界を迎えた光の視界には、ただ雪だけが映っていて。
誰もいないクリスマス、雪の舞うホワイト・クリスマス。
恋人が手を繋ぎ、頬を近づけ愛を語り、そして愛を確認しあう……特別な日。
「何やってるんだろうな、本当に」
口から出た言葉は雪と一緒に消えていく。
儚く寂しく溶けていく。
あぁ、と口が震えるのがわかる。
感情の激動が、抑え続けていた悲嘆の津波が、もはや光の小さな体を、余すことなく呑み込んでいく……。
「麗」
想いは
「麗……!」
一旦、吐露してしまえば
「麗ぃ……! あぁ……!!」
もう、止められない。
涙とともに溢れ出る何か。一度解放してしまった以上、光の体一つではどうしようもないものだった。
満月が夜空に浮かぶ。星々が空を彩る。
そんな月や星を、雲が遮るように横切っていく。
少しでも光の涙を、人目から隠すように……。
嗚咽に似た女の声は、夜空にひっそりと消えていく。
誰もいない無人の公園で、冷たく小さく響くだけ。
終わりのないこの苦しみを、光は受け入れるしかない。泣いて叫んで、また泣いて。涙は枯れ果てようもなく、どこまでも頬を流れていく。
そう、終わりなのだ。
遠距離恋愛など続かない。
そんなこと誰でもわかるもの。
気持ちだけで走る若者に、たやすく乗り越えられる世界ではない。
「……」
ならば
「そんなに泣くと、喉、痛めるよ」
その世界を、変えよう。
光の後ろから、想い人の声が聞こえた。
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