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しおりを挟むその瞬間、僕の心臓が止まったかのように、世界が静止した。
玲央の声は静かで、けれどその一言が、まるで雷のように僕の全身を貫いた。
全ての感覚が一瞬で研ぎ澄まされた。
玲央の言葉が、空気を震わせ、体育館中に響き渡ったのがはっきりと感じられる。信じられない言葉が僕の耳に入り込んで、頭の中で反響していた。
「え……?」
最初にその声を発したのは、体育館の隅にいた生徒だった。まるで合図のように、その「え?」が次々と響き渡り、全校生徒が同じ疑問の声を上げた。
信じられない、理解できない。
そんな思いが一斉に広がり、しばしの静寂が体育館を包んだ。
しかし、その静けさはほんの数秒しか続かなかった。
花火が咲く、その前触れと同じだった。
「えええええええええええええっ!?」
体育館中が、爆発したかのような大絶叫に包まれた。
玲央の告白の余韻が消えた瞬間、床が揺れるほどの絶叫が一斉に巻き起こった。
誰もが信じられない思いで叫び、叫び声はまるで嵐のように、僕の周りを渦巻いていた。生徒はもちろん、先生も、教頭や校長も、誰も彼もが皆全員同じ表情で叫び声をあげていて。
「嘘でしょ!? あの白銀玲央が告白した!」
「何かの撮影なんじゃ……」
「でもカメラとか全然ないぞ!」
「まさか!? 本当に?」
「玲央くんが好きだって――!?」
「これ、あっという間に日本中に広がるぞ!」
生徒たちは叫び、興奮し、まるで何かのドラマのワンシーンを目の当たりにしたかのようにざわめき立っていた。女子生徒たちの悲鳴、男子生徒たちのどよめき、すべての音が混ざり合い、体育館は今にも崩れそうなほどの熱気に包まれた。
その喧騒の中、僕はただ呆然と立ち尽くしていた。
玲央の――「好きだ」という言葉が頭の中で何度も繰り返されて、胸が苦しくなるほどの衝撃を受けていた。周りの歓声も、叫び声も、すべてが遠く感じられて、僕の意識は玲央の言葉に釘付けになっていた。
体育館の中心で、玲央は微笑んでいた。
僕をじっと見つめたまま、その瞳には何の揺らぎもなく、まっすぐ僕に向けられていた。
僕はただ呆然と、玲央を見つめていた。
それ以外、僕のすることはなかったのだから。
世界がひっくり返る。
そんな気がした。
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