日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門

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 男子たちが一瞬、驚いて僕の方を向く。だけど、すぐにその表情は嘲笑に変わる。

「警察? こんなことで通報するわけねーだろ」
「嘘つくなよお前。殺すぞ」

 予想通りのセリフが返ってくる。だからどうした、今も全身が震えるけれど、もうやるしかない。
 僕は彼等のもとへ駆け寄り、少女を守るようにその男子たちに向かって立ちはだかった。

「本当に警察を呼ぶつもりだ。今すぐ離れろ!」

 僕の声は、今も震えていたけれど、今度はしっかりとした力がこもっていたと思う。彼女を守るために、もう逃げるわけにはいかない。男子たちは目を見開いて少し後ろに引いたが、それでも僕の周りを取り囲むように立ち続ける。

 その時だ。
 どこからか、サラリーマンの男性が走り出した。

「電話するよりも呼んできた方が早い! こっちに交番があるはずだから待ってろ!」

 と僕と少女に言いながら、向かう足音が聞こえた。男たちはその姿を見て、このままではマズイという顔をする。たしか、走って5分程度のところに交番があったはずなのだ。彼等はそれを忘れていたのだろう。

 警察官がもうすぐ来る。僕はそれを感じ取りながら、必死に目の前の男子たちに立ち向かう。

「ほら、どうする!? すぐに警察が来るぞ、時間の問題だ!」

 男たちの中で、だんだんと動きが鈍くなるのを感じた。本当に警察が来ると認識したのだろう。僕はその隙をついて、美少女の腕を引っ張り、無理にその場から引き離した。

「大丈夫、逃げよう」

 彼女は一瞬、驚いたように僕を見つめた後、すぐに頷いた。僕たちはそのまま、後ろを振り返らずに走り出した。同時、警察官が走りながらこちらへ向かってくるのが見える。

 サラリーマンが巡回警察官と運良く出会えたのだろう。男たちは動揺し、蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。そのうちの数人をサラリーマンと警察官が捕まえている。

「あれ、これって僕らは逃げない方がいいんじゃ」
「早く行こう! あそこにいても面倒なことになるだけだよ!」

 少女はそう言って僕の手をむんずと掴み走り出す。
 ……うん? ちょっとおかしいな。
 この声、どこかで聞いたことがあるような……。

 そう、テレビで聞いたような……。

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