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【第百八十三話】ピアノで盆踊り⑤

チョコちゃんがムーちゃんの手を引いて、踊りの輪に加わる。
ショパンのピアノが一段と力強く境内に鳴り響く。
浴衣を揺らして躍動的に舞うチョコちゃん、
周りを見ながらぎこちなく踊るムーちゃん。

輪の中にはおてもやん、ヨコイさん、チミンもいる。
ノワ洋菓子店のバイトの女の子も浴衣を着て、彼氏と一緒に踊っている。
店長はロックフェスに出られなかった鬱憤を晴らすように、時に輪からはみだしながら激しく踊り狂っている。
カトキンは盆踊りの光景を撮りながら、興奮のライムを視聴者に届けている。
陽は落ち切って薄暗くなり、離れた人の顔は見えなくなっていく。

ショパンが最後の曲を弾き終えると、自然と拍手が起こった。
方々から感謝の言葉が飛ぶ。
「みんながあまりに華麗に踊るからこっちも力が入っちゃったよ」
ショパンは立ち上がって、四方に礼をする。

「来年は僕の出番なんてないといいね。行事で出しゃばるのはみっともないよ」