ようこそ、フルサトへ【どこかで失くしたアイツのあした】

【第百七十五話】ヨコイさんの帰還

ムーちゃんがファミレスの控室に入ると、ヨコイさんが座っていた。
髪の毛がだいぶ伸びている。
「どうしたんや、そんな顔して。ずっと向こうにいるとは言ってないやろ」

店長室から店長が叫ぶ。
「迷惑なんだよ。お前がいないつもりで人増やしちまっただろ」
「辞めるなんて言ってないじゃないですか」
壁越しに言い合う二人。
壁の上部が開いているため、姿は見えなくても声はよく通る。

控室にオオカミのかぶりものをしたタツヤが入ってくる。
「ヨコイさん、久しぶりっす！」
「タツヤ、本当にバイトはじめたんやな。白夜隊からは足洗ったんだろうな」
「ええ、もうきれいさっぱりっす。水で食べるそうめんぐらいさっぱりっす」

「(そうめん食べたいな)」