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【第百七十話】カトキンちゃんねる「フルサト高校野球部の熱戦」②

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「それより、嫌なやつが来てやがる」
おてもやんの視線の先に、ベースボールキャップをかぶりサングラスをした男が座っている。

「あれはイチロータ!」
カトキンが声を上げると、イチロータと呼ばれる男は、面倒くさそうに近付いてくる。
「お前たちから声をかけてくるのを待ってたんだがな。どうした、おてもと。俺がプロ野球選手になったのがまだ悔しいのか」
「うるせえ」

「お前もまだ野球やってんだってな。たまに話聞くぞ。たまにな」
カトキンが間に入る。
「今日の主役は高校球児。タイトルホルダーも観客席の空気。鳴るぜサイレン。しようぜ応援。おれたちはブラザー。同じ食堂の飯を食った仲間」

お前、まだそんな変な話し方してんのか、といいながらイチロータはおてもやんの隣に座った。
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