上 下
161 / 195

【第百六十一話】演劇部員の叫び④

しおりを挟む
体育館へ続く渡り廊下で、中学生のチョコちゃんが演劇の練習をしている。
「私の傍にはいつも平然とした後悔が立っている。ベッドの中で羊を数える代わりに、私は今までの後悔の数を数えている」

セーラー服のスカートがたなびく。
チョコちゃんの声はグラウンドに向かっているが、運動部の掛け声に書き消されて誰にも届かない。
「後悔したって過去は変えられないのに、時間を戻せるわけもないに」

演劇部員がチョコちゃんの後ろを通る。
「あんなセリフあったか?」
「またロンが書き換えたんじゃねえの」

「私の後悔は私しか知らない!」
しおりを挟む

処理中です...