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【第百五十話】はじめての墓参り

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ムーちゃんがバイクで走っている。
両脇が林になっている山あいの道を上っていくと、こじんまりとした墓地に出る。

人の気配はない。
水道のそばに古びたバケツやひしゃくが置いてあるがムーちゃんは目もくれない。
墓石をひとつひとつ確認しながら歩き、ひとつの墓の前で止まる。

ムーちゃんは手を合わせて目を閉じる。
何も語りかけない。
ただ心を無にして故人の対峙する。

目を開けて立ち去ろうとすると、後ろにアトちゃんが仁王立ちしている。
「もっと早くきなさいよ!」
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