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あしたのムー

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【第百三十一話】ヨコイさんの独白①

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「兄ちゃん、医者にはなれたのか」
日焼け青年が言った。
「医者!」とカトキンが単語で叫ぶ。
「なんで先に言うんや。今から話すところやろ」
バリカンを持ってきた日焼け青年は、ヨコイさんの七つ離れた弟らしい。

「ブラックジャックに憧れて医者になることに決めて、医学部を受けたけど見事に全部落ちてな。予備校行くために実家を出たんや。その時にばあちゃんに『医者になって帰ってくるからな』って約束したんや」

「何日か予備校に行ってな、ある朝空を見上げたらめっちゃ青空やったんや。本当に限りなく吸い込まれるようなブルー。でも、ひとつだけ青空を邪魔するような雲があった。予備校に行く途中だったんだけど、足がその雲の方に向いて、気付いたら知らん町の歓楽街やった」

「それから予備校には行かんくなった。勉強もやめた。雀荘入り浸って借金作って、実家から金借りたこともあったわ。美人局にあったこともある。色んなものから逃げてきてたどり着いたのがフルサトだったんや」
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