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【第百二十八話】ヨコイさんの帰郷⑪

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「カトキン、カメラ回しときや」
ヨコイさんはそう言うと、服を脱いで素っ裸になって、仏壇の前に敷いてあった新聞の上に座った。

「YouTubeとはいえそれは放送禁止、BANされれば相当瀕死、引退必死」と言いながらカトキンはカメラを回し続けている。

ヨコイさんの母親は、日に焼けた青年からバリカンを受け取るとヨコイさんの頭を刈り始めた。
黒い髪のかたまりが芝生の斜面を下りる発砲スチロールのように、ヨコイさんの体を伝い、新聞へと落ちていく。
「一周忌まであと1ヶ月もないよ。死ぬ気でやりな」

「これは体罰それともブラックジョーク、故郷で受ける坊主の屈辱」
ヨコイさんの頭を刈り終わった悪役レスラーは、日焼け青年にカミソリを持ってくるように言った。
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