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【第百二十七話】ヨコイさんの帰郷⑩

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銭湯から帰ってくると、玄関先の小豆は掃除されていた。
体はきれいになったが、服はまだ日本酒のにおいがほのかに残っている。

玄関に現れたヨコイさんの母親はまだ仏頂面のままだったが、三人を家の中に入れてくれた。
通されたのは和室で、立派な仏壇には老婆の写真が飾られていた。

「いつ亡くなられたんですか?」
カトキンの問いに誰も答えない。
「なぜノーアンサー、お前らがしゃべる番だ」

「あんた、覚悟決めて帰ってきたんだろうね」
ヨコイさんは母親と目を合わせぬまま小さく頷いた。
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