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【第百十四話】演劇部員の叫び②

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体育館へ続く渡り廊下で、中学生のチョコちゃんが演劇の練習をしている。
「大切な人を悪意ある誰かに無惨に殺されたとして、私はその人をうまく恨めるだろうか」

セーラー服のスカートがたなびく。
チョコちゃんの声はグラウンドに向かっているが、運動部の掛け声に書き消されて誰にも届かない。
「どんなことでも起こりうるこの世界で!」

演劇部員がチョコちゃんの後ろを通る。
「あんなセリフあったか?」
「またロンが書き換えたんじゃねえの」

「私だって誰かを殺してしまうかもしれない、この世界で!」
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