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ボルドー攻防戦2
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まだ、朝日は昇っていない。ビズマルクの蒸気機関の音が聞こえないくらい離れた位置でじっとして待つ。
「ペーター師団長。時刻です」
冷めっ切った空気に息が白くなる。部下からの報告に頷き返事する。
「火をつけろ!明かりを灯せ!汽笛をあげろ!」
ガタンと揺れ、前進が始まる。そして、全員に喝を入れるかのような高音が響き渡る。
先頭車両の後ろに設置された作戦本部は、慌しさが加速する。
「ペーター師団長参謀本部からです」
渡された一枚の紙きれ。そこには吉報とも悲報ともとれる内容。ビスケー湾で発生した西伊連合艦隊と英仏連合艦隊の開戦が勃発。沿岸砲撃を行っていた英仏連合艦隊を遠洋から陸側に押し込むように出現した西伊連合艦隊が回避行動ができない英仏連合艦隊相手に優位に攻撃を進め、初の海戦勝利を収めた。ただ全滅とはいかず、撤退したか艦隊がボルドーに寄港する可能性があるとのこと。
この書き方的に、西伊連合艦隊も追撃ができる余裕はないみたいだな。補給か被害を受けたのか定かではないが。ただ、ボルドーに寄港されてしまうとこちらが沿岸砲撃を見舞われてしまう可能性が生まれてしまう。
出鼻をくじかれた気分だが、作戦に変更はない。
「砲塔に装填を開始せよ」
街に接近しすぎることは得策ではない。十分な距離を取ったうえで砲撃に専念する。これが正しい運用法だ。銃弾1発で死ぬかもしれない人間がその身を危険にさらし、鋼鉄に覆われた陸上戦艦は後方に居座る。笑ってしまう。
所詮人間の方が安価なのだ。
そして日が昇り始め、一帯が明るくなる。列車の制動が効き始め、ゆっくりと停止する。そして、列車の足元に横転防止の「足」が兵士によって展開される。その完了合図を受けてから、
「砲撃開始」
澄んだ冬空の明朝。48.5口径の爆音が響き渡った。少したってから着弾の土煙と音が響き渡る。
動線戦艦ビスマルクに搭載されている砲塔は48.5口径が2基。連装機関砲1基、高角砲2基の計5基だ。つまり、
2基目の48.5口径が火を噴く。
轟音とその強烈な振動を全身に受けながら、じっと待つ。そして、通信が入る。
スツーカ5機が戦域に侵入する時刻だと。空を確認している兵士が目視で確信する。サイレンを鳴らしながら爆薬を投下し帰投するスツーカ。
前線からの通信が入り、戦闘が開始された。前線への砲撃は精度的に厳しいかもしれないが、可能な限り前線への砲撃を射撃手へ指示する。
今のところ順調に戦闘は進んでいる。ただし、もう少しで市街地が前線になってしまう。もし、敵が街を明け渡さないのであれば、この砲撃は市街地に向くことになる。
降伏勧告がなされ、市民の避難が行われ始める時間を確保するために、砲撃を中止する。そして、降伏は受け入れられ兵士はボルドーに入場した。
その一報を聞き、場違いな安堵を胸にボルドーを向かうように指示を出す。ただ、予定にない通信が空軍から入る。
受け手が離席していたため、ペーター自ら通信を取る。
「そちらに攻撃を行ったスツーカのパイロットが、沖合に大型の船舶を確認したと言っている。ビスケー湾から撤退した艦隊である可能性がある。注意されたし」
ブワッと嫌な汗が噴き出す。すぐさま前線に通信と伝令を走らせる。街中に避難せよと。
「再装填!急げ!」
薄らと見えるか見えないかの距離に主砲が見える。
地図を確認すると、沖合ではない。ジロンド川だ。河川を遡上してきているのだ。なぜだ。ボルドーの街には工廠などないはずだ。
「装填完了しました」
焦って撃っても仕方ない。射程は30㎞程度。
「ビスマルクを動かせ。距離を詰める。高角砲・連装砲にも人員をしっかりと乗せておけ」
ゆっくりと進み始めるビスマルク。路線図を確認し経路を指示する。
十数分後敵戦艦を射程に収める。射撃の合間にビスマルクを制止させて打ち返すことは現実的ではない。発射間隔はこちらと敵戦艦が変わらないと仮定すれば、射撃頻度は1分ほど。ビスマルクの静止状態にするには3分はかかり、「足」を展開させてから撃つには最低でも5分はかかる。
これは標準を合わせて2~3発は先に撃たれてしまうことを示している。賭けをするにはあまりにも分が悪すぎる。
そう考えているうちに、戦艦が第1射目を放つ。幸い列車の速度に慣れていないようで、遥か後ろに着弾する。
そして、2射目が放たれ、これは頭上を通過する。偏差は合ってきている。
「高角砲をで射撃を開始!」
合図が伝わり射撃による揺れを感じる。窓から結果を確認するが、大きく逸れてしまっている。敵の3射目。ビスマルクの進行方向に着弾し、砂煙を浴びる結果になる。次は当たる。そう直感してしまうそうな至近弾。
「何かに捕まってください!」
車内に響く声。まもなく強烈な横Gを受けて、反応できなかった兵士が壁にぶつかってしまう。
このまま進めばボルドー市内に侵入する。そんなルート。ただ、このルートは敵戦艦の進行方向に垂直に取れる位置。敵は正面砲塔のみで、こちらは全ての砲塔が使用できる。こうなったらもう、賭けるしかない。
「全力で制動せよ!」
先ほどの横Gとは違う進行方向への強烈なG。
「停止後、48.5口径の乗った区画とその前後の区画を接続せよ」
「足」とは違う補助機構。全体を接続して一本にしてしまうことで、射撃の反動に耐える。この機構の欠点は一度きりしか使用できないことと、走行中に使用すると曲がれなくなってしまいことだ。
急の制動に敵戦艦の着弾位置がずれる。
「撃て!」
爆音と同時、金属がねじ切れるような音がする。酷い揺れと音による不快さを殺し、戦艦を見ると正面が大きく陥没してしまっている。
こちらの2射目によって、砲塔は潰れて完全に停止する。高射砲が戦闘指揮所に直撃し黒煙が上がる。
こうして、ボルドー攻略は一先ず終了した。
「ペーター師団長。時刻です」
冷めっ切った空気に息が白くなる。部下からの報告に頷き返事する。
「火をつけろ!明かりを灯せ!汽笛をあげろ!」
ガタンと揺れ、前進が始まる。そして、全員に喝を入れるかのような高音が響き渡る。
先頭車両の後ろに設置された作戦本部は、慌しさが加速する。
「ペーター師団長参謀本部からです」
渡された一枚の紙きれ。そこには吉報とも悲報ともとれる内容。ビスケー湾で発生した西伊連合艦隊と英仏連合艦隊の開戦が勃発。沿岸砲撃を行っていた英仏連合艦隊を遠洋から陸側に押し込むように出現した西伊連合艦隊が回避行動ができない英仏連合艦隊相手に優位に攻撃を進め、初の海戦勝利を収めた。ただ全滅とはいかず、撤退したか艦隊がボルドーに寄港する可能性があるとのこと。
この書き方的に、西伊連合艦隊も追撃ができる余裕はないみたいだな。補給か被害を受けたのか定かではないが。ただ、ボルドーに寄港されてしまうとこちらが沿岸砲撃を見舞われてしまう可能性が生まれてしまう。
出鼻をくじかれた気分だが、作戦に変更はない。
「砲塔に装填を開始せよ」
街に接近しすぎることは得策ではない。十分な距離を取ったうえで砲撃に専念する。これが正しい運用法だ。銃弾1発で死ぬかもしれない人間がその身を危険にさらし、鋼鉄に覆われた陸上戦艦は後方に居座る。笑ってしまう。
所詮人間の方が安価なのだ。
そして日が昇り始め、一帯が明るくなる。列車の制動が効き始め、ゆっくりと停止する。そして、列車の足元に横転防止の「足」が兵士によって展開される。その完了合図を受けてから、
「砲撃開始」
澄んだ冬空の明朝。48.5口径の爆音が響き渡った。少したってから着弾の土煙と音が響き渡る。
動線戦艦ビスマルクに搭載されている砲塔は48.5口径が2基。連装機関砲1基、高角砲2基の計5基だ。つまり、
2基目の48.5口径が火を噴く。
轟音とその強烈な振動を全身に受けながら、じっと待つ。そして、通信が入る。
スツーカ5機が戦域に侵入する時刻だと。空を確認している兵士が目視で確信する。サイレンを鳴らしながら爆薬を投下し帰投するスツーカ。
前線からの通信が入り、戦闘が開始された。前線への砲撃は精度的に厳しいかもしれないが、可能な限り前線への砲撃を射撃手へ指示する。
今のところ順調に戦闘は進んでいる。ただし、もう少しで市街地が前線になってしまう。もし、敵が街を明け渡さないのであれば、この砲撃は市街地に向くことになる。
降伏勧告がなされ、市民の避難が行われ始める時間を確保するために、砲撃を中止する。そして、降伏は受け入れられ兵士はボルドーに入場した。
その一報を聞き、場違いな安堵を胸にボルドーを向かうように指示を出す。ただ、予定にない通信が空軍から入る。
受け手が離席していたため、ペーター自ら通信を取る。
「そちらに攻撃を行ったスツーカのパイロットが、沖合に大型の船舶を確認したと言っている。ビスケー湾から撤退した艦隊である可能性がある。注意されたし」
ブワッと嫌な汗が噴き出す。すぐさま前線に通信と伝令を走らせる。街中に避難せよと。
「再装填!急げ!」
薄らと見えるか見えないかの距離に主砲が見える。
地図を確認すると、沖合ではない。ジロンド川だ。河川を遡上してきているのだ。なぜだ。ボルドーの街には工廠などないはずだ。
「装填完了しました」
焦って撃っても仕方ない。射程は30㎞程度。
「ビスマルクを動かせ。距離を詰める。高角砲・連装砲にも人員をしっかりと乗せておけ」
ゆっくりと進み始めるビスマルク。路線図を確認し経路を指示する。
十数分後敵戦艦を射程に収める。射撃の合間にビスマルクを制止させて打ち返すことは現実的ではない。発射間隔はこちらと敵戦艦が変わらないと仮定すれば、射撃頻度は1分ほど。ビスマルクの静止状態にするには3分はかかり、「足」を展開させてから撃つには最低でも5分はかかる。
これは標準を合わせて2~3発は先に撃たれてしまうことを示している。賭けをするにはあまりにも分が悪すぎる。
そう考えているうちに、戦艦が第1射目を放つ。幸い列車の速度に慣れていないようで、遥か後ろに着弾する。
そして、2射目が放たれ、これは頭上を通過する。偏差は合ってきている。
「高角砲をで射撃を開始!」
合図が伝わり射撃による揺れを感じる。窓から結果を確認するが、大きく逸れてしまっている。敵の3射目。ビスマルクの進行方向に着弾し、砂煙を浴びる結果になる。次は当たる。そう直感してしまうそうな至近弾。
「何かに捕まってください!」
車内に響く声。まもなく強烈な横Gを受けて、反応できなかった兵士が壁にぶつかってしまう。
このまま進めばボルドー市内に侵入する。そんなルート。ただ、このルートは敵戦艦の進行方向に垂直に取れる位置。敵は正面砲塔のみで、こちらは全ての砲塔が使用できる。こうなったらもう、賭けるしかない。
「全力で制動せよ!」
先ほどの横Gとは違う進行方向への強烈なG。
「停止後、48.5口径の乗った区画とその前後の区画を接続せよ」
「足」とは違う補助機構。全体を接続して一本にしてしまうことで、射撃の反動に耐える。この機構の欠点は一度きりしか使用できないことと、走行中に使用すると曲がれなくなってしまいことだ。
急の制動に敵戦艦の着弾位置がずれる。
「撃て!」
爆音と同時、金属がねじ切れるような音がする。酷い揺れと音による不快さを殺し、戦艦を見ると正面が大きく陥没してしまっている。
こちらの2射目によって、砲塔は潰れて完全に停止する。高射砲が戦闘指揮所に直撃し黒煙が上がる。
こうして、ボルドー攻略は一先ず終了した。
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