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1章 嫌われ王女、大国に嫁ぐ
話せば長い愚痴になる
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そうですわね、なにからお話すればよろしいかしら。
そんなに長々と話しても、夜が明け、同じ日々が繰り返されるだけ。
そうなれば私の話なんて忘れるでしょうから、手短に話すのがよいのでしょうね。
そうはいえども、私が生きてきた、その半分にあたりますの。――妹の愚痴は。
ですから少々長くなることをお分かりいただきたいですわ。
私が二歳の頃に、妹は生まれました。
妹が物心つくまでは、これでも私王城内で立派に愛され、いつくしまれていましたのよ。
――蝶よ花よと甘やかされ、我儘にも育ちました。
でも妹が物心ついてからは、もうだめでしたわ。
私には、素敵な素敵な幼なじみがおりました。
その幼なじみには、普段行っている我儘の五割増し言っても許されました。「だめですよスカーレット様」なんて言いながら疲れたと言えば背中におぶってくれたり、一緒に木の実をとったり、蝶を捕まえたり。捕まえた蝶の胴体部分があまりに気持ち悪くなって泣き出して怒っても、それはもうあたたかな眼差しで、私の拳を受けてくれたのよ、ジルクは。
ですけれどね、私が八つになる頃かしら。あの子、妹に目をつけられてしまったの。
私は嫌な予感がして、必死に隠したのだけれどね、ちょっとずつちょっとずつ、話す時間が長くなり、ジルクの上の空具合がひどくなり、私が頬を叩いても虚ろな目で見返すようになり、妹と比べるようになり。
ああ、私思い出すだけで胸が痛くなるわ。
ジルクはある日、私が採ってきてほしいといった、白い花を妹に渡しましたの。
その頃には、私の衛兵を抜けだして、何度も何度も密会していたのですわ。
次は宰相のアルヴィー様、そうあのアルヴィー様も最初は私のアルヴィー様だったの。
ここだけの話、初恋でしたわ。今よりも十も若く、その眼光は鋭く。しかし子どもを見るときは柔らかく。勉学に励む私に厳しくも、温かく見守ってくだすったアルヴィー様。
教師の王女の教育が怖くて逃げ出してしまってから、お忙しい時間を割いて、私のお勉強に付き合ってくださいましたわ。私、あの方に褒められたくて必死に勉強いたしましたの。おかげで愚鈍な私なりに勉強が楽しくなった時期もあったわ。
でも、あの子と一緒に参加した楽器の発表会。――あの方に教えていただいた横笛から口を話した時、こんどこそ褒めていただこうと期待を込めて向けた視線の先に、妹の頭を撫でるあの方がいたわ。
涙に滲んだ目で睨みつけると、あの子はアルヴィー様の影に隠れて泣き出して、私はその場にいた全員に責め立てられました。
ええ、そう全ては妹が聖女であったから。
――聖女の加護は、魔族のもつ穢をはらうこと。
そして聖女にはその身を守る祝福が与えられるのです。歴代で確認されているのは魅了、反射、解読、感知など様々です。
魔法では消し去ることはできない、特殊な能力ですわ。
妹は、男性から無条件で愛されるという魅了の祝福を与えられていたの。
聖女の祝福は、勇者や魔王といった、神から役割を与えられている者には効かないとされています。
もしその祝福による特殊効果が、意図しないものであり、取り消したい場合は「許す」と一言いえば良いのです。
それだけで全ては元に戻ります。
ですが考えず許してしまっては、その身に危険を晒すのも同じ。一度だけその効果を打ち消すために「許す」のか、二度と効果があらわれないよう「永遠に許す」のかは、聖女にとって重要な問題です。
真に信頼を置く者には、その刃を下ろし、加護を与えねばなりません。ですから「永遠に許す」というそれは、聖女の全幅の信頼を得たこととなるのです。百年に一度の聖女、勇者と同様に神から与えられた称号を持つその者の信頼を得るのですから、それは大変な名誉ですわ。
まあ小さかった妹は、ところかまわず男を魅了しては、その場で「許るす」日々を繰り返しておりましたけれど。
『永遠に許します』
幼くも鈴のなるような可愛らしい声であの子は男たちを許しました。そして教会から聖女の認定を受け、厳しい修練の道へと向かったのです。
そんな過程を間近で見せられ、私の心には凝りができてしまいました。
妹の恐ろしいところは、付与されている祝福の効果の対象が『男性』であるにも関わらず、男性以外も虜にしてしまうこと。
祝福ではないの、と疑うほどにお母様にも、女性の従者にも、教会の神子達にも、その天真爛漫で純真な性質は受け入れられ、その人気は国の民に広がり、国外からも賛同者が現れました。
だからそんな中、私があの子を気に入らない、異常だと訴えようものなら、私こそが異常と判断されて、憐れまれ、嘲られ、そしりを受けるの。
――それが分かるくらいには、私もまだ知恵を持っていました。
十そこそこの子どもに、そんな仕打ちは耐えられなかったわ。
お父様、お母様、お兄さま達、ジルク、宰相、全て――全て私の愛しい人は、妹の味方をするようになりました。
私が現状に不満を持っていたことは、城の誰もが知っていましたわ。――そしてその原因が妹にあることも。
私は何も言わなかったけれど、誰だって想像がつくことですもの。いま思えば、至極当然ね。
民も冠するその名のとおり、私は我儘でしたし、それが悪いことだとは思っておりませんでした。――実を言うと、今も思っておりませんもの。
もし、――もし妹の能力によって、不平を漏らした私に敵意を持ち、殺意を向けられたら、あっさり死んでしまうわ。メイドが紅茶に毒を入れて私に笑顔で差し出した時、心の底から恐怖いたしました。
私にだって生きる権利はあってよ。
ですから、思い切って私は家をでることにしたの。
幸い、もうその頃には同じ年のメイドであるカリアに、老いぼれた過去の英雄とその孫くらいしか、私のまわりにはおりませんでしたの。
逃げ出すのは簡単でした。
あの子も悩んだ末に、快く協力してくれたんですのよ。
そして私は城下街に降りたち、王都を離れ、山際の小さな街にたどり着いたの。
そこは、緑溢れ、精霊の住む綺麗な土地で、私が野良で生活するにもちょうどいい食べ物であふれていたわ。
しばらくは森の中で暮らしていたのだけれど、浮浪少女を見かねたパン屋の夫婦に引き取られたの。
それが私のお母さんとお父さんよ。
二人とも、私を愛してくれるとても優しくて、厳しくて、あたたかい人たちでしたわ。この世界は八割悪人という、私の持論はあっさり覆されてしまいました。
幸せだった。
だけれど数年後になって、追手が現れ捕まってしまったわ。
もちろん、平民として汚れきった私に、家族は何も期待しなかったわ。
私も、あの人達を家族だとは思わなくなっていたから、痛みなんか何も感じなかった。
私にはもう、パン屋の娘として帰る場所も、一緒に笑う人もできたから。
元凶の妹は、涙ながらに謝罪したわ。
後ろに家族を連れて。
かたわらに、ジルクを置いて。
謝罪したあと、アルヴィー様にすがりついて。
私、それを見て、とても馬鹿らしいと思ったの。
挙句の果てに、私に残された価値は、妹のために大国の人質となること、ですって。
まったく、お父様は何を勘違いなさっておられるのかしら。
国を出ないのはお父さんとお母さんと、あの街の皆のおかげなのよ。そこをわきまえてほしいものだわ。
そんなに長々と話しても、夜が明け、同じ日々が繰り返されるだけ。
そうなれば私の話なんて忘れるでしょうから、手短に話すのがよいのでしょうね。
そうはいえども、私が生きてきた、その半分にあたりますの。――妹の愚痴は。
ですから少々長くなることをお分かりいただきたいですわ。
私が二歳の頃に、妹は生まれました。
妹が物心つくまでは、これでも私王城内で立派に愛され、いつくしまれていましたのよ。
――蝶よ花よと甘やかされ、我儘にも育ちました。
でも妹が物心ついてからは、もうだめでしたわ。
私には、素敵な素敵な幼なじみがおりました。
その幼なじみには、普段行っている我儘の五割増し言っても許されました。「だめですよスカーレット様」なんて言いながら疲れたと言えば背中におぶってくれたり、一緒に木の実をとったり、蝶を捕まえたり。捕まえた蝶の胴体部分があまりに気持ち悪くなって泣き出して怒っても、それはもうあたたかな眼差しで、私の拳を受けてくれたのよ、ジルクは。
ですけれどね、私が八つになる頃かしら。あの子、妹に目をつけられてしまったの。
私は嫌な予感がして、必死に隠したのだけれどね、ちょっとずつちょっとずつ、話す時間が長くなり、ジルクの上の空具合がひどくなり、私が頬を叩いても虚ろな目で見返すようになり、妹と比べるようになり。
ああ、私思い出すだけで胸が痛くなるわ。
ジルクはある日、私が採ってきてほしいといった、白い花を妹に渡しましたの。
その頃には、私の衛兵を抜けだして、何度も何度も密会していたのですわ。
次は宰相のアルヴィー様、そうあのアルヴィー様も最初は私のアルヴィー様だったの。
ここだけの話、初恋でしたわ。今よりも十も若く、その眼光は鋭く。しかし子どもを見るときは柔らかく。勉学に励む私に厳しくも、温かく見守ってくだすったアルヴィー様。
教師の王女の教育が怖くて逃げ出してしまってから、お忙しい時間を割いて、私のお勉強に付き合ってくださいましたわ。私、あの方に褒められたくて必死に勉強いたしましたの。おかげで愚鈍な私なりに勉強が楽しくなった時期もあったわ。
でも、あの子と一緒に参加した楽器の発表会。――あの方に教えていただいた横笛から口を話した時、こんどこそ褒めていただこうと期待を込めて向けた視線の先に、妹の頭を撫でるあの方がいたわ。
涙に滲んだ目で睨みつけると、あの子はアルヴィー様の影に隠れて泣き出して、私はその場にいた全員に責め立てられました。
ええ、そう全ては妹が聖女であったから。
――聖女の加護は、魔族のもつ穢をはらうこと。
そして聖女にはその身を守る祝福が与えられるのです。歴代で確認されているのは魅了、反射、解読、感知など様々です。
魔法では消し去ることはできない、特殊な能力ですわ。
妹は、男性から無条件で愛されるという魅了の祝福を与えられていたの。
聖女の祝福は、勇者や魔王といった、神から役割を与えられている者には効かないとされています。
もしその祝福による特殊効果が、意図しないものであり、取り消したい場合は「許す」と一言いえば良いのです。
それだけで全ては元に戻ります。
ですが考えず許してしまっては、その身に危険を晒すのも同じ。一度だけその効果を打ち消すために「許す」のか、二度と効果があらわれないよう「永遠に許す」のかは、聖女にとって重要な問題です。
真に信頼を置く者には、その刃を下ろし、加護を与えねばなりません。ですから「永遠に許す」というそれは、聖女の全幅の信頼を得たこととなるのです。百年に一度の聖女、勇者と同様に神から与えられた称号を持つその者の信頼を得るのですから、それは大変な名誉ですわ。
まあ小さかった妹は、ところかまわず男を魅了しては、その場で「許るす」日々を繰り返しておりましたけれど。
『永遠に許します』
幼くも鈴のなるような可愛らしい声であの子は男たちを許しました。そして教会から聖女の認定を受け、厳しい修練の道へと向かったのです。
そんな過程を間近で見せられ、私の心には凝りができてしまいました。
妹の恐ろしいところは、付与されている祝福の効果の対象が『男性』であるにも関わらず、男性以外も虜にしてしまうこと。
祝福ではないの、と疑うほどにお母様にも、女性の従者にも、教会の神子達にも、その天真爛漫で純真な性質は受け入れられ、その人気は国の民に広がり、国外からも賛同者が現れました。
だからそんな中、私があの子を気に入らない、異常だと訴えようものなら、私こそが異常と判断されて、憐れまれ、嘲られ、そしりを受けるの。
――それが分かるくらいには、私もまだ知恵を持っていました。
十そこそこの子どもに、そんな仕打ちは耐えられなかったわ。
お父様、お母様、お兄さま達、ジルク、宰相、全て――全て私の愛しい人は、妹の味方をするようになりました。
私が現状に不満を持っていたことは、城の誰もが知っていましたわ。――そしてその原因が妹にあることも。
私は何も言わなかったけれど、誰だって想像がつくことですもの。いま思えば、至極当然ね。
民も冠するその名のとおり、私は我儘でしたし、それが悪いことだとは思っておりませんでした。――実を言うと、今も思っておりませんもの。
もし、――もし妹の能力によって、不平を漏らした私に敵意を持ち、殺意を向けられたら、あっさり死んでしまうわ。メイドが紅茶に毒を入れて私に笑顔で差し出した時、心の底から恐怖いたしました。
私にだって生きる権利はあってよ。
ですから、思い切って私は家をでることにしたの。
幸い、もうその頃には同じ年のメイドであるカリアに、老いぼれた過去の英雄とその孫くらいしか、私のまわりにはおりませんでしたの。
逃げ出すのは簡単でした。
あの子も悩んだ末に、快く協力してくれたんですのよ。
そして私は城下街に降りたち、王都を離れ、山際の小さな街にたどり着いたの。
そこは、緑溢れ、精霊の住む綺麗な土地で、私が野良で生活するにもちょうどいい食べ物であふれていたわ。
しばらくは森の中で暮らしていたのだけれど、浮浪少女を見かねたパン屋の夫婦に引き取られたの。
それが私のお母さんとお父さんよ。
二人とも、私を愛してくれるとても優しくて、厳しくて、あたたかい人たちでしたわ。この世界は八割悪人という、私の持論はあっさり覆されてしまいました。
幸せだった。
だけれど数年後になって、追手が現れ捕まってしまったわ。
もちろん、平民として汚れきった私に、家族は何も期待しなかったわ。
私も、あの人達を家族だとは思わなくなっていたから、痛みなんか何も感じなかった。
私にはもう、パン屋の娘として帰る場所も、一緒に笑う人もできたから。
元凶の妹は、涙ながらに謝罪したわ。
後ろに家族を連れて。
かたわらに、ジルクを置いて。
謝罪したあと、アルヴィー様にすがりついて。
私、それを見て、とても馬鹿らしいと思ったの。
挙句の果てに、私に残された価値は、妹のために大国の人質となること、ですって。
まったく、お父様は何を勘違いなさっておられるのかしら。
国を出ないのはお父さんとお母さんと、あの街の皆のおかげなのよ。そこをわきまえてほしいものだわ。
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