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第二回大規模インストールの悪い副産物
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目が覚めると目の前を白一色で、時折風の影響で白のカーテンが覗いていた。体を起こすと近くには見慣れた少女が気持ちよさそうに眠っていた。年相応の小動物のような可愛らしさがあり、無意識に頭を撫でようしていた。
「にゃ・・・・・・。」
猫のような声を上げ、ゆっくりと瞼を上げる。俺は頭に届きそうになっていた手を慌てて引っ込めた。
「お、起きていた。」
「少女よ。何故ここにいる。」
「それはー、そのー、美少女がいた方がお得だから?」
「今すぐナースかドクターを呼んで来い。」
「は、はひ!」
嚙んだことは敢えて口にはせず、素直に呼びに行ったことに感心しつつ、自ら美少女と言っていることに戦慄する。
――今の若い奴は自意識高めなのか?
そんなことを思いながら数分待つと、両方を連れてきたらしい少女が当たり前のように椅子に座る。
「あ、ここに座ったら検査できない。」
天然なのか、単に馬鹿なのか、どちらとも言えない少女にため息を吐く。
「気分はどうかな。」
「特に違和感はありません。」
医者の質問に素直に答える。軽い身体検査を受け、正常と判断したらしい医者は道具を看護師さんに渡しながら告げる。
「うん、正常だね。因みに君が気になっていることだけど、彼女は亡くなっていたよ。原因は例のものみたいだ。」
「そうですか・・・・・・。」
例のもの、と言われればそれが何を意図するのか誰でも分かるだろう。ただ誰も口にはせず、冥福を祈ることしかできない現状に多少なりとも申し訳なさを感じていた。加えて、俺が知りたがっていたことを分かっていた医者に少し違和感を覚えるもその日のうちに退院することができた。
それは良かった。良かったのだが、病院を出てからずっと後ろを付いて歩く少女が非常に鬱陶しく感じて仕方がない。
「賢氏、何故、付いてくるのだ。」
「簡単な話で、それ自体はあなたほどの探偵様なら、気付いているはずよね?」
存外探偵らしい一面があるみたいだ。多少の驚きはしたものの、個人的にはそれどころではない。本当に彼女の言うとおりであるならば、人目の付く場所で確認すべきことではない。
「お邪魔します。」
「当然の如く入るな。」
「どうせ長くはいるつもりないでしょ。」
どうしたことか。俺自身探偵という仕事を請け負っている身であるから、ポーカーフェイスは常日頃心掛けているのだが、同職には通常通用しない。一度も事件を解決したことのない彼女とて例外ではないらしい。少々憎ったらしいが。それもこれも当たっているからそう思うのは承知している。それでも思うところは思ってしまう。
「だよなぁ・・・・・・。」
カウリングを操作し、ある確認をする。それがあるかどうかを。最初から分かり切っていたこととはいえ、何というか実感が沸かない。
「まあ、最初から一人じゃないだけましだよ。」
「どう覆ってもお前を先輩とは呼ばないからな。」
「そこは思っていないよ。大先輩にそんな風に呼ばせたらこの界隈に居場所なくなる。」
それじゃなくても肩身狭いのに、と苦笑しながら付け足す。そりゃそうだろうな、と思いながらもあえてそれを口にはせず、今後の行動を考える。単純に安全な場所は消え失せた。戦闘になっても固定カメラは機能せず、その場には戦闘の跡と死体が転がるのみで、戦闘中の映像は一切映らない。隠蔽も完璧ということだ。溜息を吐かずにはいられない。
「因みに聞くけど、賢は味方か?」
「あなたを敵にするメリットがあるとでも? 頭脳明晰、簡単には死なないように鍛え上げられた肉体、その上、AIを上回るかもしれないと言われる推測力。これだけの力を備えておきながら満を持してゲームに参加。能力によっては絶対敵にしたくない。」
若干子供染みたことを言っているが、ここまで正面から高い評価を受けると少々恥ずかしい気がする。気がするだけで実際にはそう思ってはいないのだが。
「能力か・・・・・・。」
「因みに賢は、〈完全強化(ノヴァニヤ)〉と言って、精神強化と肉体強化を同時に複数人に施し、それを自身に向ければ脳の強化まで可能で、主にサポートになるけど、肉体戦でなら負けない自信あるよ。」
「いや、それ普通のゲームだったらチートじゃねぇか。」
「賢もそう思う。」
笑いながら彼女はチートだと自覚していた。しかし、生死を分けるゲームであるなら、それだけでは勝てないということだろう。
「夜月さんはどうでしたか? 通常なら昨日のうちに」
テレビが勝手に点き、何事かと二人揃って眉間にしわを寄せる。
『やあ、諸君。もしかしたら気付いた者もいるだろう。昨日、大規模インストールを行わせてもらった。第一回の倍の人数を用意している。存分に遊んでくれることを願っている。そして、一ヶ月後に迫ったイベントの内容が決まった。「都市ジャック」をメインにプレイヤー諸君には、その事件解決を謀ってもらおう。舞台は東京全て。詳細は当日発表となる。強制参加者は事前に告知をさせてもらうが、無論そうでない者も参加してもらって構わない。では、後日会えることを楽しみにしているよ。』
部屋の中は一気に静まり返る。足音だけが響き、二人いるとは思えないくらいに静かだった。
「何しているの?」
不意に話しかけられ体を跳ね上げそうになったが、何とか堪え、質問に平然と答える。
「ゲームで世話になった奴らに感謝と事実上の引退宣言。」
「本当にプロゲーマーだったんだ・・・・・・。」
驚かれる筋合いはこれっぽっちもないんだが。チャット内で少々の会話と応援の言葉をもらって、決心してシャットダウンする。
「引退宣言はしなくてもよかったのでは?」
普通ならそういう疑問に行き着くだろう。だが、何年掛かるかも分からないゲームに身を預ける形になっている以上、戻って来たとしても今の技術に戻れる気がしない。そもそも寝る暇がないことさえあるかもしれない、得体の知れないのに他のことをやっている暇なんてありはしない。だから、両親が死んで俺が自暴自棄になりかけても立ち直らせてくれた連中にせめてもの感謝を抱いて、これ以上の迷惑を掛けないように身を引くのだ。多少の名残惜しさはあるが、致し方あるまい。
俺達は俺の家を後にして、昼食を摂る場所を探していた。
「え、それ無理じゃん。」
「俺もそう思う。」
何が無理かというと、例の〈能力〉である。普通に怪我前提というこの能力に嫌気が差す。
「頭どうこう以前に、どうやって攻撃を受けるか考えろってこと? いやいや、そんなの最初から死ねと言っているようなものじゃん。」
ごもっともだ。ましてや相手の能力何ぞ基本的に分かるわけがない。それこそトップクラスのように目立っていれば話は別なのだが、それはそれで攻撃を一度でも喰らえば死ぬだろう。つまり、最初から詰んでいる。それでなくとも難易度の高いこれが、無理ゲーと化してしまう。例えば、一度の攻撃で相手を殺傷する力を持っている能力であるならば、それは最早死そのものだ。無理ゲーにもほどがある。もう少しまともな能力が良かったと溜息を吐く。
「ま、まあ、賢の能力でちょーっとだけどうにかなるかも?」
「疑問で収まるなら変な期待はさせないでくれ。今の俺は本当に詰んでいるんだよ。」
何もしなければ何もしないで死ぬ。それはごめんだ。これからの人生、本当にどうなるんだ。不安しかない未来に、「任せたぞ、未来の俺」、と分かりやすく落胆した。
しかしまあ、人生そう甘くないので、トラブルなんていう異常事態は起きてしまうのだ。落胆した側からそれもどうかと思うのだが。
「へぇ。」
分かりやすく挑発的な笑みを浮かべている目の前の女性を美人だと思ってしまったことに不甲斐なさを感じながらも、隣に並ぶ少女に目を移す。
「まさか、いきなり〈血音ノ女王(ノイズクイーン)〉に出くわすとは・・・・・・。夜月さんって意外と運悪い?」
「ここに来て悪口っぽいこと言うのは止めてくれ。」
晴れていることもあり銀髪がよく反射する。しかし、緋色の瞳はどこか挑戦的で、興味深そうにこちらを窺っている。
「そうでもないですよ。第二回大規模インストール後、私に会ったのはあなた方が初めてなので。それに私も驚いています。まさか、天下の情報屋である〈巫女(シュリン)〉が男を連れて歩いているなんて。」
羨ましそうな嘲笑っているかのような、そんな眼差しをしている銀髪の彼女はカウリングを操作し始める。
「気を付けて。とは言っても、彼女は音を操るからほとんど逃げ場ないけど。」
――は? 音・・・・・・?
このゲームはそういうチートしかいないのだろうか。どう考えても勝ち目はない。いくら精神と肉体を強化しようと、音は空気の振動。それを避ける手段などありはしない。ましてや、体の大部分は水分でできている。直接体に触れらでもしたら・・・・・・そう考えるだけで身震いする。
「あらら、パーティー組んでないじゃないですか。ごめんなさいね、ビギナーさん。先にあなたに強制戦闘送りました。」
さらっとあり得ない発言をする彼女は申し訳ないなど微塵も感じさせない笑顔を向けている。これが挑発的な笑みでないのであるならば、きっと見惚れていただろう。
「夜月さん、残念なお知らせです。パーティーやユニオンを組んでいないと私の能力は適用外です。」
「さらっと絶望要素を足さないでくれるか?」
軽口のようで、全くそうではない会話をしたその一瞬。腹部に重い何かを感じた。誰かが触れているわけではなく、空気そのものに押し出されるような感覚。物理法則に反した人為的力とでも言えばいいのだろうか。体は簡単に宙に浮き、そのまま真後ろに飛ばされる。ビル一階のコンクリート製の壁に激突した。
「にゃ・・・・・・。」
猫のような声を上げ、ゆっくりと瞼を上げる。俺は頭に届きそうになっていた手を慌てて引っ込めた。
「お、起きていた。」
「少女よ。何故ここにいる。」
「それはー、そのー、美少女がいた方がお得だから?」
「今すぐナースかドクターを呼んで来い。」
「は、はひ!」
嚙んだことは敢えて口にはせず、素直に呼びに行ったことに感心しつつ、自ら美少女と言っていることに戦慄する。
――今の若い奴は自意識高めなのか?
そんなことを思いながら数分待つと、両方を連れてきたらしい少女が当たり前のように椅子に座る。
「あ、ここに座ったら検査できない。」
天然なのか、単に馬鹿なのか、どちらとも言えない少女にため息を吐く。
「気分はどうかな。」
「特に違和感はありません。」
医者の質問に素直に答える。軽い身体検査を受け、正常と判断したらしい医者は道具を看護師さんに渡しながら告げる。
「うん、正常だね。因みに君が気になっていることだけど、彼女は亡くなっていたよ。原因は例のものみたいだ。」
「そうですか・・・・・・。」
例のもの、と言われればそれが何を意図するのか誰でも分かるだろう。ただ誰も口にはせず、冥福を祈ることしかできない現状に多少なりとも申し訳なさを感じていた。加えて、俺が知りたがっていたことを分かっていた医者に少し違和感を覚えるもその日のうちに退院することができた。
それは良かった。良かったのだが、病院を出てからずっと後ろを付いて歩く少女が非常に鬱陶しく感じて仕方がない。
「賢氏、何故、付いてくるのだ。」
「簡単な話で、それ自体はあなたほどの探偵様なら、気付いているはずよね?」
存外探偵らしい一面があるみたいだ。多少の驚きはしたものの、個人的にはそれどころではない。本当に彼女の言うとおりであるならば、人目の付く場所で確認すべきことではない。
「お邪魔します。」
「当然の如く入るな。」
「どうせ長くはいるつもりないでしょ。」
どうしたことか。俺自身探偵という仕事を請け負っている身であるから、ポーカーフェイスは常日頃心掛けているのだが、同職には通常通用しない。一度も事件を解決したことのない彼女とて例外ではないらしい。少々憎ったらしいが。それもこれも当たっているからそう思うのは承知している。それでも思うところは思ってしまう。
「だよなぁ・・・・・・。」
カウリングを操作し、ある確認をする。それがあるかどうかを。最初から分かり切っていたこととはいえ、何というか実感が沸かない。
「まあ、最初から一人じゃないだけましだよ。」
「どう覆ってもお前を先輩とは呼ばないからな。」
「そこは思っていないよ。大先輩にそんな風に呼ばせたらこの界隈に居場所なくなる。」
それじゃなくても肩身狭いのに、と苦笑しながら付け足す。そりゃそうだろうな、と思いながらもあえてそれを口にはせず、今後の行動を考える。単純に安全な場所は消え失せた。戦闘になっても固定カメラは機能せず、その場には戦闘の跡と死体が転がるのみで、戦闘中の映像は一切映らない。隠蔽も完璧ということだ。溜息を吐かずにはいられない。
「因みに聞くけど、賢は味方か?」
「あなたを敵にするメリットがあるとでも? 頭脳明晰、簡単には死なないように鍛え上げられた肉体、その上、AIを上回るかもしれないと言われる推測力。これだけの力を備えておきながら満を持してゲームに参加。能力によっては絶対敵にしたくない。」
若干子供染みたことを言っているが、ここまで正面から高い評価を受けると少々恥ずかしい気がする。気がするだけで実際にはそう思ってはいないのだが。
「能力か・・・・・・。」
「因みに賢は、〈完全強化(ノヴァニヤ)〉と言って、精神強化と肉体強化を同時に複数人に施し、それを自身に向ければ脳の強化まで可能で、主にサポートになるけど、肉体戦でなら負けない自信あるよ。」
「いや、それ普通のゲームだったらチートじゃねぇか。」
「賢もそう思う。」
笑いながら彼女はチートだと自覚していた。しかし、生死を分けるゲームであるなら、それだけでは勝てないということだろう。
「夜月さんはどうでしたか? 通常なら昨日のうちに」
テレビが勝手に点き、何事かと二人揃って眉間にしわを寄せる。
『やあ、諸君。もしかしたら気付いた者もいるだろう。昨日、大規模インストールを行わせてもらった。第一回の倍の人数を用意している。存分に遊んでくれることを願っている。そして、一ヶ月後に迫ったイベントの内容が決まった。「都市ジャック」をメインにプレイヤー諸君には、その事件解決を謀ってもらおう。舞台は東京全て。詳細は当日発表となる。強制参加者は事前に告知をさせてもらうが、無論そうでない者も参加してもらって構わない。では、後日会えることを楽しみにしているよ。』
部屋の中は一気に静まり返る。足音だけが響き、二人いるとは思えないくらいに静かだった。
「何しているの?」
不意に話しかけられ体を跳ね上げそうになったが、何とか堪え、質問に平然と答える。
「ゲームで世話になった奴らに感謝と事実上の引退宣言。」
「本当にプロゲーマーだったんだ・・・・・・。」
驚かれる筋合いはこれっぽっちもないんだが。チャット内で少々の会話と応援の言葉をもらって、決心してシャットダウンする。
「引退宣言はしなくてもよかったのでは?」
普通ならそういう疑問に行き着くだろう。だが、何年掛かるかも分からないゲームに身を預ける形になっている以上、戻って来たとしても今の技術に戻れる気がしない。そもそも寝る暇がないことさえあるかもしれない、得体の知れないのに他のことをやっている暇なんてありはしない。だから、両親が死んで俺が自暴自棄になりかけても立ち直らせてくれた連中にせめてもの感謝を抱いて、これ以上の迷惑を掛けないように身を引くのだ。多少の名残惜しさはあるが、致し方あるまい。
俺達は俺の家を後にして、昼食を摂る場所を探していた。
「え、それ無理じゃん。」
「俺もそう思う。」
何が無理かというと、例の〈能力〉である。普通に怪我前提というこの能力に嫌気が差す。
「頭どうこう以前に、どうやって攻撃を受けるか考えろってこと? いやいや、そんなの最初から死ねと言っているようなものじゃん。」
ごもっともだ。ましてや相手の能力何ぞ基本的に分かるわけがない。それこそトップクラスのように目立っていれば話は別なのだが、それはそれで攻撃を一度でも喰らえば死ぬだろう。つまり、最初から詰んでいる。それでなくとも難易度の高いこれが、無理ゲーと化してしまう。例えば、一度の攻撃で相手を殺傷する力を持っている能力であるならば、それは最早死そのものだ。無理ゲーにもほどがある。もう少しまともな能力が良かったと溜息を吐く。
「ま、まあ、賢の能力でちょーっとだけどうにかなるかも?」
「疑問で収まるなら変な期待はさせないでくれ。今の俺は本当に詰んでいるんだよ。」
何もしなければ何もしないで死ぬ。それはごめんだ。これからの人生、本当にどうなるんだ。不安しかない未来に、「任せたぞ、未来の俺」、と分かりやすく落胆した。
しかしまあ、人生そう甘くないので、トラブルなんていう異常事態は起きてしまうのだ。落胆した側からそれもどうかと思うのだが。
「へぇ。」
分かりやすく挑発的な笑みを浮かべている目の前の女性を美人だと思ってしまったことに不甲斐なさを感じながらも、隣に並ぶ少女に目を移す。
「まさか、いきなり〈血音ノ女王(ノイズクイーン)〉に出くわすとは・・・・・・。夜月さんって意外と運悪い?」
「ここに来て悪口っぽいこと言うのは止めてくれ。」
晴れていることもあり銀髪がよく反射する。しかし、緋色の瞳はどこか挑戦的で、興味深そうにこちらを窺っている。
「そうでもないですよ。第二回大規模インストール後、私に会ったのはあなた方が初めてなので。それに私も驚いています。まさか、天下の情報屋である〈巫女(シュリン)〉が男を連れて歩いているなんて。」
羨ましそうな嘲笑っているかのような、そんな眼差しをしている銀髪の彼女はカウリングを操作し始める。
「気を付けて。とは言っても、彼女は音を操るからほとんど逃げ場ないけど。」
――は? 音・・・・・・?
このゲームはそういうチートしかいないのだろうか。どう考えても勝ち目はない。いくら精神と肉体を強化しようと、音は空気の振動。それを避ける手段などありはしない。ましてや、体の大部分は水分でできている。直接体に触れらでもしたら・・・・・・そう考えるだけで身震いする。
「あらら、パーティー組んでないじゃないですか。ごめんなさいね、ビギナーさん。先にあなたに強制戦闘送りました。」
さらっとあり得ない発言をする彼女は申し訳ないなど微塵も感じさせない笑顔を向けている。これが挑発的な笑みでないのであるならば、きっと見惚れていただろう。
「夜月さん、残念なお知らせです。パーティーやユニオンを組んでいないと私の能力は適用外です。」
「さらっと絶望要素を足さないでくれるか?」
軽口のようで、全くそうではない会話をしたその一瞬。腹部に重い何かを感じた。誰かが触れているわけではなく、空気そのものに押し出されるような感覚。物理法則に反した人為的力とでも言えばいいのだろうか。体は簡単に宙に浮き、そのまま真後ろに飛ばされる。ビル一階のコンクリート製の壁に激突した。
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