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3章.新たな人生のはじまり
32.新婚初夜
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結婚式の後一ヶ月間、グスタフの公務の時間はぐっと少なくる。これは何をおいてもまず世継ぎをというこの国の慣例らしい。大公妃が女性であればその一ヶ月間で身籠る可能性は十分にあるのだろう。
しかし、僕はオメガ男性だ。発情期が来なければ一ヶ月毎日頑張ったとしても妊娠することはない。僕がエミールを出産してから既に約半年を過ぎていたが、実はまだ発情期は来ていなかった。
(産後約三ヶ月程で発情期がまた来ると医学書には書いてあったのにな。このまま発情期が来ないなんてことは無いよね……? グスタフの世継ぎを産まないといけないから早く身体が産前のように戻って欲しいんだけど……)
そんなわけで、結婚式当日も僕はちょっと憂鬱な気分だった。焦るほどのことではないと思う。一人目をあんなにすぐに妊娠したのだから、妊娠しにくい身体ではないはずだ。
(でも……グスタフはここに僕が来てすぐの時にもう子どもが欲しいって言ってたくらいだし――)
結婚式の夜、つまり今夜が初夜となる。
今日からは離宮ではなく宮殿での生活が始まるのだ。晩餐会の後僕とグスタフは早々に引き上げさせられた。新郎新婦は長々と宴会の席に居座ることなく夫婦最初の共同作業に励むべし、というわけだ。
僕は宮殿で初めて入浴した。宮殿にも離宮ほどではないが立派な浴場が備え付けられていた。いつもより丁寧に身体を磨かれ、下ろしたての夜着を着せられてグスタフの寝室に入る。ベッドに腰掛けていたグスタフに手招きされて彼の隣に座る。すると彼は僕の手を取って言う。
「ルネ。この時を俺がどれだけ待ちわびたかわかるか?」
「グスタフ……あの、先に謝りたいことがあって」
「なんだ? まさか、初夜だというのに抱かれたくないなんて言わないよな?」
グスタフが珍しく不安げな顔をした。
「あ、そうじゃなくて……。実は一般的には産後三ヶ月で発情期が来るらしいんだけど、僕まだその兆候がなくて……」
「ああ、そのようだな」
「だからごめんなさい。この一ヶ月せっかく公務の量を減らしてもらえるっていうのに……赤ちゃんはできないと思うんだ」
僕がそう言うとグスタフは目を丸くした。
「なんだ。そんなことを気にしているのか? 全くお前という奴は……」
グスタフは僕を抱きしめた。
「子どもができようができまいが関係ない。俺はルネに触れたいだけだ」
「グスタフ……」
「産後の身体で無理はさせられないからと、俺は我慢していたんだ」
(そうだった。グスタフはこれまでずっと我慢してくれていたんだ)
「ごめんね、今夜はグスタフの好きにして……」
「可愛いことを言ってくれる」
グスタフは僕の顔を指で持ち上げてキスした。
「……ん」
普段のキスとは違い、欲望を掻き立てるようにわざと舌と唾液を絡ませ、音を立てて唇を吸われる。
「あ……ふっ……」
「ルネ……俺の可愛い妻……」
同時に彼の大きな手が僕の腰を掴んでベッドに横たわらせた。
「グスタフ……僕もずっとこうしたかった」
夜着は剥ぎ取られ、喉元を舐められる。たまに柔らかく噛まれるのも気持ちいい。彼の頭に腕を絡め抱きしめる。
(激しくされたい。今まで僕を蹂躙した男たちのことを全部忘れるくらい……)
夫が僕を見つめる瞳はいつもと同じ緑色だが、情欲に濡れて鋭い光を放っていた。グスタフは息を荒くして言う。
「もう誰にも指一本触らせない」
これまで妊娠中だったり産後だったということでかなり気を遣わせていたのだ。彼は本来ちょっと気性が荒いというのは一緒に生活するようになって僕にもわかっていた。これまで一貫して優しく壊れ物を扱うようにしか触れてこなかった彼が、獣の本性を剥き出しにして僕にのしかかってくる。
「グスタフ……愛してる……」
「俺もだ。ルネ、愛してるよ」
グスタフは僕が我を忘れてしまうくらい激しく抱いてくれた。発情期でもないのに、僕は彼の体臭に酔って淫らに啼き喘いだ。
「そこ気持ちいい……あっ、舐めてお願いグスタフ……」
「ここか?」
彼は僕の胸の突起を執拗に舐め回した。肉厚でざらついた舌の感触がたまらない。
「んっ……そこ。ああっ、もっと……もっとして……」
「こんなに赤く腫れて、いやらしい眺めだ。この中もこんなに濡れてとろけている」
滑りを帯びた秘部に指を入れられ、恥ずかしいことを言われて全身が熱くなる。
「ああ、そんな。かき混ぜちゃだめ……」
「嘘だな。指を動かすほど、もっと弄って欲しいと中は吸い付いてくるぞ」
ぬちぬち……と濡れた音を立てながらグスタフの骨ばった太い指が僕の中を擦る。
「あっあっ。そこ、だめ……。ふぁ……ん」
(恥ずかしいけど気持ちいい。愛してる人に触られるのってこんな感じなの……)
「挿れるぞ」
「ん……欲しい、グスタフもう……」
(――やっと彼のものにしてもらえる)
グスタフの硬くて熱いものが僕の中を全て満たした。
「はぁ、あ……全部入った?」
「入ったよ。お前はこの俺を全部飲み込んだ」
額同士をくっつけて、グスタフが微笑む。僕は彼の顔を両手で引き寄せ、唇に自分の唇を押し付けた。
「はぁ、はぁ……気持ちいい……このまま死んでも構わない」
「馬鹿言うな。動くぞ」
粘液がかき混ぜられる音と、二人の皮膚がぶつかり合う音が室内に響く。グスタフの汗がぽたりと僕の頬に落ちる。僕も全身汗ばんでいて、溶けてしまいそうな気がした。
(この人の子を早く産みたい。僕の愛する人の命をこの体で受け止めたい……)
「グスタフ……中で出して、お願い」
「ああ、勿論。俺の子種も今後は全てお前だけのものだ」
「嬉しい、んっ、すごい……もうだめ……」
体位を変えて責められ、僕は何度も絶頂を迎えた。そしてグスタフも僕の中に幾度となく子種を注ぎ込んだ。
(気持ちいい……中、すごく気持ちいい……)
発情期のとき中に出された際もそうだったのだが、アルファの精子が体内に入るとあまりの快感に気が変になりそうだった。
(発情期じゃないのに、なんだか目眩がしそうなくらい気分が高揚して……おかしなかんじ)
「すごいな、ルネ……はぁ、はぁ、ああ、全部搾り取られそうだ」
「あっ……はぁ……中で脈打ってる……」
アルファの射精は長く、量も多い。僕は彼の子種がなるべく体外に流れ出さないように、無意識のうちに後孔をぎゅっと締め付けていた。
しかし、僕はオメガ男性だ。発情期が来なければ一ヶ月毎日頑張ったとしても妊娠することはない。僕がエミールを出産してから既に約半年を過ぎていたが、実はまだ発情期は来ていなかった。
(産後約三ヶ月程で発情期がまた来ると医学書には書いてあったのにな。このまま発情期が来ないなんてことは無いよね……? グスタフの世継ぎを産まないといけないから早く身体が産前のように戻って欲しいんだけど……)
そんなわけで、結婚式当日も僕はちょっと憂鬱な気分だった。焦るほどのことではないと思う。一人目をあんなにすぐに妊娠したのだから、妊娠しにくい身体ではないはずだ。
(でも……グスタフはここに僕が来てすぐの時にもう子どもが欲しいって言ってたくらいだし――)
結婚式の夜、つまり今夜が初夜となる。
今日からは離宮ではなく宮殿での生活が始まるのだ。晩餐会の後僕とグスタフは早々に引き上げさせられた。新郎新婦は長々と宴会の席に居座ることなく夫婦最初の共同作業に励むべし、というわけだ。
僕は宮殿で初めて入浴した。宮殿にも離宮ほどではないが立派な浴場が備え付けられていた。いつもより丁寧に身体を磨かれ、下ろしたての夜着を着せられてグスタフの寝室に入る。ベッドに腰掛けていたグスタフに手招きされて彼の隣に座る。すると彼は僕の手を取って言う。
「ルネ。この時を俺がどれだけ待ちわびたかわかるか?」
「グスタフ……あの、先に謝りたいことがあって」
「なんだ? まさか、初夜だというのに抱かれたくないなんて言わないよな?」
グスタフが珍しく不安げな顔をした。
「あ、そうじゃなくて……。実は一般的には産後三ヶ月で発情期が来るらしいんだけど、僕まだその兆候がなくて……」
「ああ、そのようだな」
「だからごめんなさい。この一ヶ月せっかく公務の量を減らしてもらえるっていうのに……赤ちゃんはできないと思うんだ」
僕がそう言うとグスタフは目を丸くした。
「なんだ。そんなことを気にしているのか? 全くお前という奴は……」
グスタフは僕を抱きしめた。
「子どもができようができまいが関係ない。俺はルネに触れたいだけだ」
「グスタフ……」
「産後の身体で無理はさせられないからと、俺は我慢していたんだ」
(そうだった。グスタフはこれまでずっと我慢してくれていたんだ)
「ごめんね、今夜はグスタフの好きにして……」
「可愛いことを言ってくれる」
グスタフは僕の顔を指で持ち上げてキスした。
「……ん」
普段のキスとは違い、欲望を掻き立てるようにわざと舌と唾液を絡ませ、音を立てて唇を吸われる。
「あ……ふっ……」
「ルネ……俺の可愛い妻……」
同時に彼の大きな手が僕の腰を掴んでベッドに横たわらせた。
「グスタフ……僕もずっとこうしたかった」
夜着は剥ぎ取られ、喉元を舐められる。たまに柔らかく噛まれるのも気持ちいい。彼の頭に腕を絡め抱きしめる。
(激しくされたい。今まで僕を蹂躙した男たちのことを全部忘れるくらい……)
夫が僕を見つめる瞳はいつもと同じ緑色だが、情欲に濡れて鋭い光を放っていた。グスタフは息を荒くして言う。
「もう誰にも指一本触らせない」
これまで妊娠中だったり産後だったということでかなり気を遣わせていたのだ。彼は本来ちょっと気性が荒いというのは一緒に生活するようになって僕にもわかっていた。これまで一貫して優しく壊れ物を扱うようにしか触れてこなかった彼が、獣の本性を剥き出しにして僕にのしかかってくる。
「グスタフ……愛してる……」
「俺もだ。ルネ、愛してるよ」
グスタフは僕が我を忘れてしまうくらい激しく抱いてくれた。発情期でもないのに、僕は彼の体臭に酔って淫らに啼き喘いだ。
「そこ気持ちいい……あっ、舐めてお願いグスタフ……」
「ここか?」
彼は僕の胸の突起を執拗に舐め回した。肉厚でざらついた舌の感触がたまらない。
「んっ……そこ。ああっ、もっと……もっとして……」
「こんなに赤く腫れて、いやらしい眺めだ。この中もこんなに濡れてとろけている」
滑りを帯びた秘部に指を入れられ、恥ずかしいことを言われて全身が熱くなる。
「ああ、そんな。かき混ぜちゃだめ……」
「嘘だな。指を動かすほど、もっと弄って欲しいと中は吸い付いてくるぞ」
ぬちぬち……と濡れた音を立てながらグスタフの骨ばった太い指が僕の中を擦る。
「あっあっ。そこ、だめ……。ふぁ……ん」
(恥ずかしいけど気持ちいい。愛してる人に触られるのってこんな感じなの……)
「挿れるぞ」
「ん……欲しい、グスタフもう……」
(――やっと彼のものにしてもらえる)
グスタフの硬くて熱いものが僕の中を全て満たした。
「はぁ、あ……全部入った?」
「入ったよ。お前はこの俺を全部飲み込んだ」
額同士をくっつけて、グスタフが微笑む。僕は彼の顔を両手で引き寄せ、唇に自分の唇を押し付けた。
「はぁ、はぁ……気持ちいい……このまま死んでも構わない」
「馬鹿言うな。動くぞ」
粘液がかき混ぜられる音と、二人の皮膚がぶつかり合う音が室内に響く。グスタフの汗がぽたりと僕の頬に落ちる。僕も全身汗ばんでいて、溶けてしまいそうな気がした。
(この人の子を早く産みたい。僕の愛する人の命をこの体で受け止めたい……)
「グスタフ……中で出して、お願い」
「ああ、勿論。俺の子種も今後は全てお前だけのものだ」
「嬉しい、んっ、すごい……もうだめ……」
体位を変えて責められ、僕は何度も絶頂を迎えた。そしてグスタフも僕の中に幾度となく子種を注ぎ込んだ。
(気持ちいい……中、すごく気持ちいい……)
発情期のとき中に出された際もそうだったのだが、アルファの精子が体内に入るとあまりの快感に気が変になりそうだった。
(発情期じゃないのに、なんだか目眩がしそうなくらい気分が高揚して……おかしなかんじ)
「すごいな、ルネ……はぁ、はぁ、ああ、全部搾り取られそうだ」
「あっ……はぁ……中で脈打ってる……」
アルファの射精は長く、量も多い。僕は彼の子種がなるべく体外に流れ出さないように、無意識のうちに後孔をぎゅっと締め付けていた。
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