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催眠無しで甘やかされる凪
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煌星の甘ったるい言葉にドギマギしているうちにそっとベッドに寝かされた。
「さあ、ここからが本番だよ凪。Strip」
「え、あ……自分で?」
「そうだよ、できる?」
優しいけれど強い意志を込めた視線で見つめられて鼓動が速くなる。
――やべえ、やっぱり俺にはこんなの耐えられないかも……。
「無理そうなら今日は僕がする?」
――くそ、俺が嫁にもらうって言って連れ帰ったんだから、これくらいやれなくてどうする。
「できるに決まってんだろ!」
俺は自分で服を脱ぎ上半身裸になった。どうだとばかりに煌星の顔を窺うとにっこり笑った彼に「続けて」と促される。
「く……っ」
履いていたスウェットも脱いでとうとう下着一枚になってしまった。恥ずかしさで顔を横に背けたら煌星に「Look」と言われて仕方がなく目を合わせる。
「可愛いよ、凪。よく頑張ったね」
今度は煌星からキスしてくれた。ついばむようなキスがくすぐったくて、笑みが溢れそうになる。すると今度は俺がさっきしたのよりもっと深く口づけられた。表面を舐められ、唇を吸われたかと思うと口の中に柔らかい舌が入り込んでくる。
――ああ、これ……なんだか安心する。
煌星の温かい体の一部で自分の体の中を撫でられている感じ。ゆるく柔らかく、溶けていくような感覚に頭がぼうっとしてくる。
――気持ちいい……。
やがて彼が口を離し、満足そうに自分の唇を舐めた。
「少しリラックスしてきたかな。凪、次はどこを舐めて欲しい? どこで気持ちよくなりたい?」
「どこって、そんなのわかんねぇ」
「そうか。じゃあ……こっち?」
煌星が胸に舌を這わせる。尖った部分を口に含み、吸われると背筋が痺れて変な声が出た。
「ふぁっ……」
「ふふ、凪はここ吸われるのが好きだよね」
「そ、そんなん知るかよ」
その後も執拗にそこを舐められ、あまりのいやらしさに見ていられなくて腕で目元を覆う。すると煌星が俺の腕をどけてまた「Look」とコマンドを出す。俺はそれに従って自分の舐められている恥ずかしい部分に目をやる。すると煌星が舌で先端をぐっと押すようにして見せつけてきた。
「ほらここ。僕が少しずつ育てたから、すごくえっちな形に尖ってるでしょう?」
「ばか――」
「ごめんね。でも育っちゃったものは仕方ないからたくさん気持ちよくなって?」
煌星は両手で同時に胸の先端をひねった。
「んっ!」
「こうやって、優しくつままれるのも大好きだよね」
ちょっと意地悪そうな顔で煌星が聞いてくる。頭ではそれを覚えていないのに、体だけはその感触を覚えていてどんどん気持ちよくなるのが怖かった。
「はぁっ……もう、やめろよそこばっかり!」
「ここからがいいところなんだけどな。どう? 胸でイけそう?」
「い、イけるわけないだろ……!」
羞恥心を我慢できなくなり上半身を捻って腕で胸をガードする。すると煌星が普段とは違った不敵な笑みを浮かべてコマンドを出す。
「凪、Present」
迷いのない口調で指示されると、反射的に体が動いてしまう。俺は両腕を開き、意地悪な幼馴染の前に再び胸をさらけ出した。
――くそっ。遊ばれてるとわかってるのに、気持ちいいのなんなんだよ?
「Good boy その調子だよ。頭で考えなくていいから、僕の声に集中して。凪はできる子だよ。本能に従ってさあ、もう一度 Look 」
煌星の指さす先にある綺麗な瞳をじっと見つめる。
「恥ずかしがらなくていい。僕は君のDomだからね。何も心配しなくていいから僕にすべて委ねて。凪の全部を受け止めるから」
煌星の声が耳に心地よく響き、力強い視線に頭がぼんやりしてくる。
――煌星に……全部委ねる……。
「……わかった」
「凪、もっと触って欲しいよね?」
――煌星に触れられたい。
俺は正直に頷く。
「じゃあ素直になって。よく聞いて、次はどこを触って欲しい?」
「俺は……その……」
「Say」
ぼんやりしてきた頭で自分の体に意識を向ける。下腹部がずきずきするほど張り詰めていて、今すぐに解放されたかった。俺は下着越しに勃ち上がった性器を撫でる。
「ここが、苦しい」
「そう、教えてくれてありがとう凪。じゃあ、僕にどうして欲しいかおねだりできる?」
俺は煌星に触られるのを想像して生唾を飲み込んだ。
「煌星……ここ触って。お願い」
「よく言えたね。恥ずかしいのに頑張ってえらいよ。なんて可愛いんだ」
煌星が俺の頭を撫でながら顔中にキスをし、そのまま下着を下ろした。
「凪のここも、気持ちよくなりたくて頑張って硬くなってる。撫でてあげようね」
そう言って煌星がそれを握り、上下に動かした。
「う……っ、んっ!」
「いい子だね、ほら雫がこぼれそう」
「こうせ――あっ、あ……」
「このままイきたい? 上手におねだりできたら、口でしてあげるよ」
俺は喘ぎながら煌星の形の良い唇を見た。好きな男の口でされたら、きっと今よりずっと気持ちいいだろう。
「凪は口でイかされるのが好きだよね?」
「んっ……して……! 煌星、お願いだから口でして」
「凪、本当に上手」
煌星に褒められた喜びに浸る間もなく次の指示を出される。
「じゃあ、凪は胸を触ってて。さっき僕がしたみたいに指でつまむんだよ」
俺は言われるがままに自分の乳首に手を伸ばす。
「こ、こう――?」
「そう、いいね」
そして次の瞬間、彼の唇で性器の先端を包まれる。強烈な感触に目の前がチカチカと光って見えた。
「な……っ、あ! それやば――」
さっき口中を撫でていた彼の舌で今度はペニスを舐められる。まるでお気に入りのキャンディでも頬張るかのように、煌星は熱心に俺のものを舐め上げた。おかげでこちらは気持ちいいやら、すぐに漏れてしまいそうやらで頭がめちゃくちゃになっていた。自分で触っている胸もピリピリして、声を抑えられない。
「あっ、もう出る、出るっ!」
目の前が真っ白になって、俺は脱力した。口を拭いながら煌星が微笑む。
「よくできたね、凪」
荒い息を吐きながらぼうっとしていたら、煌星がヘッドボードの引き出しから何かを取り出した。ゴムとそれから透明な液体の入ったボトル。
「最後までしなくていいけど、久しぶりだから少しだけ後ろも慣らしておこうね」
指にゴムを被せ、煌星はその上から液体を垂らした。ぼんやりしている俺の尻に煌星はその指を押し込もうとしてくる。俺は咄嗟に腰を引いた。
「な、何……」
「凪はこっちでも気持ちよくなれるからね」
「うそ――」
ミルクティーを飲んだ翌日尻が痛いことがあったから予想はしていたが、やはり俺が入れられる方らしい。しかしそれが頭でわかっていても、こんなところに物を入れるなんて恐ろしかった。
「こ、煌星。やっぱ俺――さすがにここは……」
両手でその部分を隠して煌星に助けを求める視線を送る。しかし、彼もまた頼りなげな表情でこう言った。
「凪は僕をお嫁さんにしてくれるんだよね? 凪の体で僕を受け止めてくれないの?」
「そ、それは――」
そんな言い方をされて断れるわけもない。腹を括って俺は頷いた。
「男に二言はない。お前のことは俺がちゃんと受け入れる」
「凪――嬉しい! 男らしいところもすごく好きだよ。それじゃあPresent」
「うう……や、優しくな!」
怯えながらも脚を開いた俺に向かって煌星は笑顔で「もちろん」と答えた。ぬるりと異物が侵入してくる。
「んぐ……」
「痛かった?」
「痛くはねえけど……」
――なんだよ、なんでこんなすんなり入るんだよ!? 逆に怖えよ自分の体が!
「少し時間は経ったけど、指くらいなら軽く入っちゃうね♡」
――嬉しそうにしてんじゃねえ。
「二本に増やすよ」
「まじ……?」
止める間もなくツプンと二本目も入れられた。
「入るのかよ、くそ。なんなんだ」
「上手上手」
その後は嬉しそうな煌星に指でゆるゆると慣らされた。人間の体ってすごい。ものを入れるところじゃないのに、ずっとされてたら段々気持ちよくなるなんて。しかもこれも知りたくなかったけど、中にすんげー気持ちいいところがあるんだよ。そこを指で押されたら……。
「あっ! だめだおい、煌星もうやめ――出ちゃうから」
「あれ、もうギブアップ?」
「ち、ちがうけど……!」
「ほら気持ちいいでしょう? ここを押してあげると、凪のおちんちんが喜んで涙を流すんだ」
――恥ずかしいこと言うなよ!
「ああ凪も泣きそうな顔して。そんな目で見られたらもっといじめたくなっちゃうな」
「お前……優しくするって言っただろうが――」
悔しくて煌星を睨みつける。
「そうだった。ごめんねつい。でも本当に可愛いんだ。僕の指でお尻がとろとろになって、中のふわふわのところを押したら、ほら」
「んっ! あぁ、あ……!」
体がびくびくしてまた性器から液体が漏れる。こんなの屈辱でしかないはずなのに、煌星にされてると思うと気持ちよくて仕方がない。
「はあ、可愛い」と吐息をもらしつつ、煌星は俺の尻を撫でた。
「見てるだけでも最高なんだけど――ねえ凪、ここを指じゃなくてもっと太いので撫でちゃだめ?」
「太いのって――」
煌星が体を起こすと、その中心部がボトムスを窮屈そうに押し上げていた。
「でも凪がまだ怖かったら無理にとは言わない。焦る必要はないから、やっぱりまたにしようか」
――そっか。俺ばっかり気持ちよくしてもらってたけど、煌星だって気持ちよくなりたいよな……。こんだけほぐしたら入るんじゃね?
「待て――やってやる」
「いいんだよ凪、無理しないで。今日は十分よくできたからまたにしよう。指と口でイかせてあげるから」
煌星は以前勝手にやって怒られたから遠慮しているんだろう。また俺のものを口に入れようとした彼の顔を両手でつかまえる。
「待てって。俺たちパートナーなんだろ」
「凪……?」
「俺はプレイ慣れしてないしよくわからないけど、どうせなら二人で気持ちよくなりたい。間違ってるか?」
俺の言葉に煌星は目を瞬いた。
「俺が怒ったのはお前としたくないからじゃないぞ。ただ、同意なしで勝手にされたことに怒ってたんだよ俺は。パートナーなんだったら俺だけじゃなくてお前も気持ちよくならないと意味ないだろ?」
「ありがとう凪――。僕は凪が気持ちよくなってるのを見るのがご褒美だから見てるだけでもいいんだけど……でも凪がそう言ってくれるなら、僕も一緒に気持ちよくなりたい」
「じゃあ、ごちゃごちゃ言ってないでとっとと来いよ」
ムードも何もないのはわかっていたが、恥ずかしいので俺にはこれが精一杯の誘いだ。煌星は嬉しそうに目を細めた。
「じゃあ、ゆっくり入れるね。痛かったら言って」
俺が頷いたのを見て煌星がこちらに腰を押し付けた。重量感のあるもので押し広げられる感覚――。これはさっきまでとはちょっと違うな、と身構える。すると煌星が俺の頭を撫でた。
「凪、力抜いて。大丈夫、凪の体は覚えてるはずだよ」
「ん……」
煌星が俺にキスをした。唇の感覚に意識が向いているうちに、彼がぐっと中に入ってきた。
「上手だね、凪。全部入ったよ」
「ふ……ん、楽勝だな……」
「そう? じゃあ動いてもいいかな」
「え? ま、待てそれは――」
また少し意地の悪い表情をした煌星が俺を見下ろしながら、腰を前後にゆるく動かしはじめた。中に入ってるだけでいっぱいいっぱいなのに、太いもので中を擦られて俺は思わず煌星の首にしがみつく。
「ちょっと、おい、まっ――」
「ああ……この感触……すごくいいよ凪」
「あぅっ、煌星、煌星……」
――気持ちいい、なんだこれ。
催眠にかかってる間、俺から何度も欲しがったというのも頷ける。煌星にゆさゆさと体を揺すられるのが、まるで全身よしよしされてるみたいで――好きな人と肌を重ねてその熱が伝わるのがこんなに気持ち良いなんて思わなかった。
「は、あっあ……っ」
「凪の中気持ちいいよ。凪も気持ちいい?」
「気持ちいい……、気持ちいい」
「いい子、凪。キスして」
夢中で口づけすると、煌星が答えてくれる。気持ちよくなって褒められるなんて最高だ。
Subって悪くないじゃん。素直になったら、大好きなDomがこうやって抱きしめてくれる。
俺はこの後もひたすら褒められ、体の中も表面も、つま先から頭のてっぺんまで煌星に愛されているのを感じた。
◇
ベッドでぼんやりしている俺を後ろから抱き込みながら煌星が言う。
「すっごく上手だったよ、凪。凪はこんなに男らしいのに中はとろとろで柔らかくて……全身で僕を受け入れてくれたのがわかってもう、最高だった」
「ちょっと黙ろうか」
「ねえ凪。今回のことで凪がいなかったら、僕は生きていけないってわかった」
「またお前は大げさな……」
「でも本当なんだ。凪のために勉強も就職も家事も頑張ってきて自分はなんでもできるって思い込んでた」
煌星は実際何をやらせても優秀で非の打ち所がなかった。
「だけど、それはあくまでも凪がいてこそなんだ。僕が穏やかに過ごせてるのは凪がいるからだよ」
「そうなのかな」
「実家に帰った後もいらいらしてグレアがおさまらなかったのに、凪が抱きしめてくれたら気持ちがすっと楽になったんだ」
「煌星……」
「誰でもいいわけじゃない。これまで他のSubとも会ってきたけど、僕は凪じゃないとだめなんだ」
煌星がぎゅっと俺を抱く腕に力を込めた。俺だって、こいつ以外にこんなことしたいと思うような相手なんていない。
「凪、お願いがあって。今度また買い物に付き合ってほしいんだけど」
「またかよ。服か?」
「ううん。今回は僕のものじゃなくて」
「なに?」
「凪に贈る《カラー》一緒に選んでくれる?」
DomはパートナーのSubに庇護と愛の証としてカラーと呼ばれる首輪を贈る。Subがそれを着けることで二人の信頼関係が明示されるのだ。それを着けていると、Subの精神的が安定するという効果もある。
俺が振り向くと煌星がこちらを見つめて微笑む。
「実は姉ちゃんがジュエリーショップで働いてるんだ。まずはそこ見に行ってもいいかな?」
「もちろん、いいよ」
「本当!? やっと長年の願いが叶うんだ……!」
「長年の?」
「うん。凪が僕の贈ったカラーを着けてくれるのが僕の夢だったんだ」
煌星は嬉しそうに俺を抱きしめ、しばらくすると寝息を立てるのが聞こえた。
「ったく、そんな夢煌星ならすぐに叶えられると思わなかったのかな?」
俺に内緒で催眠をかけるなんて腹黒いところがあるわりに、どこか抜けている。そんなイケメンDom様の安心毛布として俺はこれからもこいつに甘えさせてもらうことにした。
〈完〉
――――――――――
ご覧いただきありがとうございます!
はじめて書いたDomSabユニバースでしたが楽しかったです。
次に何を書くかまだ決めてませんが、また他のお話しも読んでいただけたら嬉しいです。
「さあ、ここからが本番だよ凪。Strip」
「え、あ……自分で?」
「そうだよ、できる?」
優しいけれど強い意志を込めた視線で見つめられて鼓動が速くなる。
――やべえ、やっぱり俺にはこんなの耐えられないかも……。
「無理そうなら今日は僕がする?」
――くそ、俺が嫁にもらうって言って連れ帰ったんだから、これくらいやれなくてどうする。
「できるに決まってんだろ!」
俺は自分で服を脱ぎ上半身裸になった。どうだとばかりに煌星の顔を窺うとにっこり笑った彼に「続けて」と促される。
「く……っ」
履いていたスウェットも脱いでとうとう下着一枚になってしまった。恥ずかしさで顔を横に背けたら煌星に「Look」と言われて仕方がなく目を合わせる。
「可愛いよ、凪。よく頑張ったね」
今度は煌星からキスしてくれた。ついばむようなキスがくすぐったくて、笑みが溢れそうになる。すると今度は俺がさっきしたのよりもっと深く口づけられた。表面を舐められ、唇を吸われたかと思うと口の中に柔らかい舌が入り込んでくる。
――ああ、これ……なんだか安心する。
煌星の温かい体の一部で自分の体の中を撫でられている感じ。ゆるく柔らかく、溶けていくような感覚に頭がぼうっとしてくる。
――気持ちいい……。
やがて彼が口を離し、満足そうに自分の唇を舐めた。
「少しリラックスしてきたかな。凪、次はどこを舐めて欲しい? どこで気持ちよくなりたい?」
「どこって、そんなのわかんねぇ」
「そうか。じゃあ……こっち?」
煌星が胸に舌を這わせる。尖った部分を口に含み、吸われると背筋が痺れて変な声が出た。
「ふぁっ……」
「ふふ、凪はここ吸われるのが好きだよね」
「そ、そんなん知るかよ」
その後も執拗にそこを舐められ、あまりのいやらしさに見ていられなくて腕で目元を覆う。すると煌星が俺の腕をどけてまた「Look」とコマンドを出す。俺はそれに従って自分の舐められている恥ずかしい部分に目をやる。すると煌星が舌で先端をぐっと押すようにして見せつけてきた。
「ほらここ。僕が少しずつ育てたから、すごくえっちな形に尖ってるでしょう?」
「ばか――」
「ごめんね。でも育っちゃったものは仕方ないからたくさん気持ちよくなって?」
煌星は両手で同時に胸の先端をひねった。
「んっ!」
「こうやって、優しくつままれるのも大好きだよね」
ちょっと意地悪そうな顔で煌星が聞いてくる。頭ではそれを覚えていないのに、体だけはその感触を覚えていてどんどん気持ちよくなるのが怖かった。
「はぁっ……もう、やめろよそこばっかり!」
「ここからがいいところなんだけどな。どう? 胸でイけそう?」
「い、イけるわけないだろ……!」
羞恥心を我慢できなくなり上半身を捻って腕で胸をガードする。すると煌星が普段とは違った不敵な笑みを浮かべてコマンドを出す。
「凪、Present」
迷いのない口調で指示されると、反射的に体が動いてしまう。俺は両腕を開き、意地悪な幼馴染の前に再び胸をさらけ出した。
――くそっ。遊ばれてるとわかってるのに、気持ちいいのなんなんだよ?
「Good boy その調子だよ。頭で考えなくていいから、僕の声に集中して。凪はできる子だよ。本能に従ってさあ、もう一度 Look 」
煌星の指さす先にある綺麗な瞳をじっと見つめる。
「恥ずかしがらなくていい。僕は君のDomだからね。何も心配しなくていいから僕にすべて委ねて。凪の全部を受け止めるから」
煌星の声が耳に心地よく響き、力強い視線に頭がぼんやりしてくる。
――煌星に……全部委ねる……。
「……わかった」
「凪、もっと触って欲しいよね?」
――煌星に触れられたい。
俺は正直に頷く。
「じゃあ素直になって。よく聞いて、次はどこを触って欲しい?」
「俺は……その……」
「Say」
ぼんやりしてきた頭で自分の体に意識を向ける。下腹部がずきずきするほど張り詰めていて、今すぐに解放されたかった。俺は下着越しに勃ち上がった性器を撫でる。
「ここが、苦しい」
「そう、教えてくれてありがとう凪。じゃあ、僕にどうして欲しいかおねだりできる?」
俺は煌星に触られるのを想像して生唾を飲み込んだ。
「煌星……ここ触って。お願い」
「よく言えたね。恥ずかしいのに頑張ってえらいよ。なんて可愛いんだ」
煌星が俺の頭を撫でながら顔中にキスをし、そのまま下着を下ろした。
「凪のここも、気持ちよくなりたくて頑張って硬くなってる。撫でてあげようね」
そう言って煌星がそれを握り、上下に動かした。
「う……っ、んっ!」
「いい子だね、ほら雫がこぼれそう」
「こうせ――あっ、あ……」
「このままイきたい? 上手におねだりできたら、口でしてあげるよ」
俺は喘ぎながら煌星の形の良い唇を見た。好きな男の口でされたら、きっと今よりずっと気持ちいいだろう。
「凪は口でイかされるのが好きだよね?」
「んっ……して……! 煌星、お願いだから口でして」
「凪、本当に上手」
煌星に褒められた喜びに浸る間もなく次の指示を出される。
「じゃあ、凪は胸を触ってて。さっき僕がしたみたいに指でつまむんだよ」
俺は言われるがままに自分の乳首に手を伸ばす。
「こ、こう――?」
「そう、いいね」
そして次の瞬間、彼の唇で性器の先端を包まれる。強烈な感触に目の前がチカチカと光って見えた。
「な……っ、あ! それやば――」
さっき口中を撫でていた彼の舌で今度はペニスを舐められる。まるでお気に入りのキャンディでも頬張るかのように、煌星は熱心に俺のものを舐め上げた。おかげでこちらは気持ちいいやら、すぐに漏れてしまいそうやらで頭がめちゃくちゃになっていた。自分で触っている胸もピリピリして、声を抑えられない。
「あっ、もう出る、出るっ!」
目の前が真っ白になって、俺は脱力した。口を拭いながら煌星が微笑む。
「よくできたね、凪」
荒い息を吐きながらぼうっとしていたら、煌星がヘッドボードの引き出しから何かを取り出した。ゴムとそれから透明な液体の入ったボトル。
「最後までしなくていいけど、久しぶりだから少しだけ後ろも慣らしておこうね」
指にゴムを被せ、煌星はその上から液体を垂らした。ぼんやりしている俺の尻に煌星はその指を押し込もうとしてくる。俺は咄嗟に腰を引いた。
「な、何……」
「凪はこっちでも気持ちよくなれるからね」
「うそ――」
ミルクティーを飲んだ翌日尻が痛いことがあったから予想はしていたが、やはり俺が入れられる方らしい。しかしそれが頭でわかっていても、こんなところに物を入れるなんて恐ろしかった。
「こ、煌星。やっぱ俺――さすがにここは……」
両手でその部分を隠して煌星に助けを求める視線を送る。しかし、彼もまた頼りなげな表情でこう言った。
「凪は僕をお嫁さんにしてくれるんだよね? 凪の体で僕を受け止めてくれないの?」
「そ、それは――」
そんな言い方をされて断れるわけもない。腹を括って俺は頷いた。
「男に二言はない。お前のことは俺がちゃんと受け入れる」
「凪――嬉しい! 男らしいところもすごく好きだよ。それじゃあPresent」
「うう……や、優しくな!」
怯えながらも脚を開いた俺に向かって煌星は笑顔で「もちろん」と答えた。ぬるりと異物が侵入してくる。
「んぐ……」
「痛かった?」
「痛くはねえけど……」
――なんだよ、なんでこんなすんなり入るんだよ!? 逆に怖えよ自分の体が!
「少し時間は経ったけど、指くらいなら軽く入っちゃうね♡」
――嬉しそうにしてんじゃねえ。
「二本に増やすよ」
「まじ……?」
止める間もなくツプンと二本目も入れられた。
「入るのかよ、くそ。なんなんだ」
「上手上手」
その後は嬉しそうな煌星に指でゆるゆると慣らされた。人間の体ってすごい。ものを入れるところじゃないのに、ずっとされてたら段々気持ちよくなるなんて。しかもこれも知りたくなかったけど、中にすんげー気持ちいいところがあるんだよ。そこを指で押されたら……。
「あっ! だめだおい、煌星もうやめ――出ちゃうから」
「あれ、もうギブアップ?」
「ち、ちがうけど……!」
「ほら気持ちいいでしょう? ここを押してあげると、凪のおちんちんが喜んで涙を流すんだ」
――恥ずかしいこと言うなよ!
「ああ凪も泣きそうな顔して。そんな目で見られたらもっといじめたくなっちゃうな」
「お前……優しくするって言っただろうが――」
悔しくて煌星を睨みつける。
「そうだった。ごめんねつい。でも本当に可愛いんだ。僕の指でお尻がとろとろになって、中のふわふわのところを押したら、ほら」
「んっ! あぁ、あ……!」
体がびくびくしてまた性器から液体が漏れる。こんなの屈辱でしかないはずなのに、煌星にされてると思うと気持ちよくて仕方がない。
「はあ、可愛い」と吐息をもらしつつ、煌星は俺の尻を撫でた。
「見てるだけでも最高なんだけど――ねえ凪、ここを指じゃなくてもっと太いので撫でちゃだめ?」
「太いのって――」
煌星が体を起こすと、その中心部がボトムスを窮屈そうに押し上げていた。
「でも凪がまだ怖かったら無理にとは言わない。焦る必要はないから、やっぱりまたにしようか」
――そっか。俺ばっかり気持ちよくしてもらってたけど、煌星だって気持ちよくなりたいよな……。こんだけほぐしたら入るんじゃね?
「待て――やってやる」
「いいんだよ凪、無理しないで。今日は十分よくできたからまたにしよう。指と口でイかせてあげるから」
煌星は以前勝手にやって怒られたから遠慮しているんだろう。また俺のものを口に入れようとした彼の顔を両手でつかまえる。
「待てって。俺たちパートナーなんだろ」
「凪……?」
「俺はプレイ慣れしてないしよくわからないけど、どうせなら二人で気持ちよくなりたい。間違ってるか?」
俺の言葉に煌星は目を瞬いた。
「俺が怒ったのはお前としたくないからじゃないぞ。ただ、同意なしで勝手にされたことに怒ってたんだよ俺は。パートナーなんだったら俺だけじゃなくてお前も気持ちよくならないと意味ないだろ?」
「ありがとう凪――。僕は凪が気持ちよくなってるのを見るのがご褒美だから見てるだけでもいいんだけど……でも凪がそう言ってくれるなら、僕も一緒に気持ちよくなりたい」
「じゃあ、ごちゃごちゃ言ってないでとっとと来いよ」
ムードも何もないのはわかっていたが、恥ずかしいので俺にはこれが精一杯の誘いだ。煌星は嬉しそうに目を細めた。
「じゃあ、ゆっくり入れるね。痛かったら言って」
俺が頷いたのを見て煌星がこちらに腰を押し付けた。重量感のあるもので押し広げられる感覚――。これはさっきまでとはちょっと違うな、と身構える。すると煌星が俺の頭を撫でた。
「凪、力抜いて。大丈夫、凪の体は覚えてるはずだよ」
「ん……」
煌星が俺にキスをした。唇の感覚に意識が向いているうちに、彼がぐっと中に入ってきた。
「上手だね、凪。全部入ったよ」
「ふ……ん、楽勝だな……」
「そう? じゃあ動いてもいいかな」
「え? ま、待てそれは――」
また少し意地の悪い表情をした煌星が俺を見下ろしながら、腰を前後にゆるく動かしはじめた。中に入ってるだけでいっぱいいっぱいなのに、太いもので中を擦られて俺は思わず煌星の首にしがみつく。
「ちょっと、おい、まっ――」
「ああ……この感触……すごくいいよ凪」
「あぅっ、煌星、煌星……」
――気持ちいい、なんだこれ。
催眠にかかってる間、俺から何度も欲しがったというのも頷ける。煌星にゆさゆさと体を揺すられるのが、まるで全身よしよしされてるみたいで――好きな人と肌を重ねてその熱が伝わるのがこんなに気持ち良いなんて思わなかった。
「は、あっあ……っ」
「凪の中気持ちいいよ。凪も気持ちいい?」
「気持ちいい……、気持ちいい」
「いい子、凪。キスして」
夢中で口づけすると、煌星が答えてくれる。気持ちよくなって褒められるなんて最高だ。
Subって悪くないじゃん。素直になったら、大好きなDomがこうやって抱きしめてくれる。
俺はこの後もひたすら褒められ、体の中も表面も、つま先から頭のてっぺんまで煌星に愛されているのを感じた。
◇
ベッドでぼんやりしている俺を後ろから抱き込みながら煌星が言う。
「すっごく上手だったよ、凪。凪はこんなに男らしいのに中はとろとろで柔らかくて……全身で僕を受け入れてくれたのがわかってもう、最高だった」
「ちょっと黙ろうか」
「ねえ凪。今回のことで凪がいなかったら、僕は生きていけないってわかった」
「またお前は大げさな……」
「でも本当なんだ。凪のために勉強も就職も家事も頑張ってきて自分はなんでもできるって思い込んでた」
煌星は実際何をやらせても優秀で非の打ち所がなかった。
「だけど、それはあくまでも凪がいてこそなんだ。僕が穏やかに過ごせてるのは凪がいるからだよ」
「そうなのかな」
「実家に帰った後もいらいらしてグレアがおさまらなかったのに、凪が抱きしめてくれたら気持ちがすっと楽になったんだ」
「煌星……」
「誰でもいいわけじゃない。これまで他のSubとも会ってきたけど、僕は凪じゃないとだめなんだ」
煌星がぎゅっと俺を抱く腕に力を込めた。俺だって、こいつ以外にこんなことしたいと思うような相手なんていない。
「凪、お願いがあって。今度また買い物に付き合ってほしいんだけど」
「またかよ。服か?」
「ううん。今回は僕のものじゃなくて」
「なに?」
「凪に贈る《カラー》一緒に選んでくれる?」
DomはパートナーのSubに庇護と愛の証としてカラーと呼ばれる首輪を贈る。Subがそれを着けることで二人の信頼関係が明示されるのだ。それを着けていると、Subの精神的が安定するという効果もある。
俺が振り向くと煌星がこちらを見つめて微笑む。
「実は姉ちゃんがジュエリーショップで働いてるんだ。まずはそこ見に行ってもいいかな?」
「もちろん、いいよ」
「本当!? やっと長年の願いが叶うんだ……!」
「長年の?」
「うん。凪が僕の贈ったカラーを着けてくれるのが僕の夢だったんだ」
煌星は嬉しそうに俺を抱きしめ、しばらくすると寝息を立てるのが聞こえた。
「ったく、そんな夢煌星ならすぐに叶えられると思わなかったのかな?」
俺に内緒で催眠をかけるなんて腹黒いところがあるわりに、どこか抜けている。そんなイケメンDom様の安心毛布として俺はこれからもこいつに甘えさせてもらうことにした。
〈完〉
――――――――――
ご覧いただきありがとうございます!
はじめて書いたDomSabユニバースでしたが楽しかったです。
次に何を書くかまだ決めてませんが、また他のお話しも読んでいただけたら嬉しいです。
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いつも以上に孕むだのなんだの言いまくってるし攻めのセリフにも♡がつく
えっちな美形男子〇校生が出会い系ではじめてあった男の人に疑似孕ませっくすされて雌墜ちしてしまう回
朝井染両
BL
タイトルのままです。
男子高校生(16)が欲望のまま大学生と偽り、出会い系に登録してそのまま疑似孕ませっくるする話です。
続き御座います。
『ぞくぞく!えっち祭り』という短編集の二番目に載せてありますので、よろしければそちらもどうぞ。
本作はガバガバスター制度をとっております。別作品と同じ名前の登場人物がおりますが、別人としてお楽しみ下さい。
前回は様々な人に読んで頂けて驚きました。稚拙な文ではありますが、感想、次のシチュのリクエストなど頂けると嬉しいです。
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
イケメン幼馴染に執着されるSub
ひな
BL
normalだと思ってた俺がまさかの…
支配されたくない 俺がSubなんかじゃない
逃げたい 愛されたくない
こんなの俺じゃない。
(作品名が長いのでイケしゅーって略していただいてOKです。)
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こんにちは、はじめまして。
痛々しいドムサブが苦手な私にとって、こちらの作品は攻めが受けを甘々に甘やかし、攻めのドロドロな執着愛が伝わり読んでいてとても幸せでした!
私は攻め側の視点が読めるのが好きなのですが、煌星の凪に対する想いを何度も読めて、読んでいて楽しかったです。
特に凪に、“おすわり”以上のプレイをしていたことがバレてのシーンでは必死に煌星が捨てないでとすがりついているのが、読んでいる私までに必死さが伝わり涙が溢れてしまいました。絶対に凪でなくてはいけないし、今までもこれからも凪以上の人に出会えないと確信している煌星の必死さが、ヒシヒシと伝わりました。ここまで必死な攻めをみれて私は幸せです。ありがとうございます。
楽しいお話をありがとうございました。
うみねこさん、はじめまして!
ご感想ありがとうございます。
こちらはイケメンのDomが幼馴染Subを思う存分甘やかすところを見たい一心で書いたので、その点を楽しんで貰えて嬉しいです♡
煌星のように執着が強すきて愛が重い攻めが好きなんですよね〜。
なんだかんだ凪がいないと何もできないし、仕事頑張ってるのも全部凪のため。
そんな煌星の気持ちに寄り添う感想を頂けて、私も幸せな気分です…!
読んで下さりありがとうございました♡
よく「good boy」を、いい子だね。という読み方にしている人を見かけるのですが、私は正直「いい子」と書いている人だけしかあまり読みたくない人でして・・・。なので「良い子」と書いてあり、嬉しかったです!!いい作品でしたがんばってください!!
そうなんですね!
読み方、作者さんによって色々ですよね。
Dom/Subはこれが初めてだったので私もルビの振り方は悩みました。
読んでいただき、ご感想まで貰えて嬉しいです。
ありがとうございました!
再公開ありがとうございます。ヾ(^▽^)ノ
もう1回最初から読み直しますね。
こちらこそ、また読んでいただけて嬉しいです!(*´꒳`*)ありがとうございます♡