【悲報】恋活パーティーサクラの俺、苦手な上司と遭遇しゲイ認定され愛されてしまう

grotta

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番外編

【課長視点】俺の可愛い部下(1)

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俺は宮藤暁斗、34歳独身。最近部下の新木奏太と付き合うことになった。
そう、俺はゲイだ。奏太のことは彼が入社した時から知っているが、これまでプライベートでの付き合いは全く無かった。
それがたまたま予定をキャンセルされたせいで暇になりフラッと参加したゲイ向けのカップリングパーティーで彼と会ってしまったのだ。

それまで彼がゲイだとは思っておらず驚いた。まさか同じ部署に同類がいたとはね。
しかもそのパーティーの主催者が高校時代の同級生だった上、彼と奏太は兄弟だという。こんな偶然があるなんて、事実は小説よりも奇なりだ。

苗字は同じだが、彼らは全く似ていないから兄弟とは気づかなかった。
兄の律は高校のときから中性的で綺麗な顔立ちをしていた。それが今では髪の毛を長く伸ばして化粧をし、完全に女性の姿になっていた。元の姿を知らなかったら彼が男だと気づく者は少ないだろう。

対して奏太は俺ほどじゃないが体型も筋肉質で背も高め、性格は明るく快活な体育会系。顔立ちは整っていて笑顔が可愛く、つい構いたくなる魅力がある。俺は女っぽい男は好みじゃないので、彼もゲイなら付き合ってみるのもアリだなと思って一応事前に兄にひと声かけることにした。

すると新木の奴、高校時代より随分図々しくなっていて、弟に手を出す許可を与える代わりに俺に言うことを聞けだなんて言ってきた。いつもの俺ならこんな要求突っぱねるんだが、その日はどうしても奏太にちょっかいかけたい気分だったんだよな。

兄の方と話している間に弟はもう帰ったかと思いつつビルを出たら、先程のパーティー参加者が彼のことを無理矢理誘おうとしているところへ出くわした。

やれやれ……隙が多い奴だな。

「新木、待たせたな」

「あれ、宮藤さん……」

奏太は俺を見てびっくりした顔をした。俺が「さぁ、行こうか」と言うと意図に気づいて芝居に乗ってきた。

「はい。というわけなんですいません」

としつこい男に告げた。そいつはしっぽを巻いて逃げていった。
そのまま帰ろうとする奏太を引き止め飲みに誘った。最初は渋っていたけど、急に血相を変えて暇だと言い出したので行きつけのバーに連れて行った。
自分でもよくわからないんだが、この店は俺のお気に入りなので付き合いの浅い人間を連れて行くことはまず無い。しかしなんとなく奏太なら良いような気がした。

奏太は席に着くなり盛大に腹を鳴らした。恥ずかしそうにしているのが可愛くてつい笑ってしまう。メニューには無いまかないのカレーを注文してやったら大喜びで食っていた。犬のしっぽでも見えそうなくらいの勢いだ。
つい笑みが溢れる。正直裏表が無くてつまらなそうだという理由でこういうタイプとは付き合ったことがない。どちらかというとちょっとミステリアスな男が好きなんだよな。
だけど、馬鹿みたいにわかりやすいこういう子もたまには悪くないかな?

すごい勢いでカレーを食い尽くし、喉を鳴らして酒も飲んだ奏太は屈託なく笑いながら言う。

「いやー、この店すごく良いですね!連れてきてくれてありがとうございます」

これまで仕事でも割と目をかけていて、結構仕事もあえてキツめに振っていた。見込みがあって成長して欲しいからこそなんだが、きっと俺のこと嫌ってるだろうに……素直でいいやつじゃないか。
俺もいつもみたいに面倒な駆け引きをする気が失せてつい本音が漏れる。

「だろ?会社の奴を連れてきたのはお前が初めてだよ。今夜新木と会えて嬉しかった。理解者が同じ会社にいるなんてな」

いつもなら気取った顔でこっそり強めの酒でも飲ませるところだが、なんとなく自然と笑顔になっていた。
彼のことが知りたくなって根掘り葉掘り色々聞いてしまったが、なかなかゲイとして経験豊富で武勇伝をたくさん持っていて驚いた。
そんなふうには見えないんだがな?
なんとなく見た目とのギャップを感じつつ話を聞いていた。

そろそろ店を出ようと促すと奏太が急にしなだれかかってきた。
え?なんだ、話に聞いた通りたしかに積極的だな。

……いや。これは本当に酔ってるな?

こちらが意図せずに勝手に杯を重ねていた奏太はそれほど強い酒を飲んだわけでもないのに、足元がおぼつかなくなっていた。
仕方なくタクシーに乗り込むが、住所も言えない奏太は俺の腕に巻き付いて胸に頭を乗せると気持ちよさそうに寝息を立て始めた。

「ったく……こっちの気も知らないで」

こんな子どもみたいな奴、好みじゃないんだがな。
しかしどこかに放り出すわけにもいかない。家に連れて行くしかないか……
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