【悲報】恋活パーティーサクラの俺、苦手な上司と遭遇しゲイ認定され愛されてしまう

grotta

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31.毒を以て毒を制す(1)

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「はぁ、もういきなり呼び出してなんなんすかぁ?ラブラブアピールなら間に合ってますけど」

目の前に居る後輩の北山はうんざりした顔で俺と課長を見た。
俺たちは今3人で居酒屋に来ている。最初に俺が北山に連れてこられた個室のある店だ。
ふてくされている北山に課長が切り出す。

「北山、頼みがあるんだよ」

「頼み?なんで俺が宮藤課長の頼み聞かないといけないんです?」

北山はますます眉間の皺を深くした。
こいつ、課長に対して態度でけぇな……と俺は横でハラハラしながら2人を見ていた。

「君は俺の恋人に手を出しただろう?」

「えっ!?」

北山が急に焦りだした。

「ちょっと待ってくださいよ。俺はもう課長達は別れたと思ったから単に話を聞きたくて先輩のこと飲みに誘っただけですってば」

「そうか。だけど家にまで連れ込んだよな?」

「う……それはあの、アイドルのポスターをあげようと……」

俺はポスターのことを思い出して口を挟んだ。

「あ!あれ俺貰い忘れてたんだよ。くれるの?」

「え?いるんですか?」

「うん、ほし……」

「奏太?アイドルのポスターなんていらないよね?」

欲しいと言おうとしたら課長に睨まれた。あ、やべ。ノンケなのバレたので女の子のポスター欲しいなんて言ったらまたお仕置きされてしまう。

「北山……やっぱりいいわ。いらん」

「はぁ、そうすか」

課長が咳払いをして改めて言う。

「で、だ。君は俺の大事な奏太に手を出そうとした。この件を追求しないでやる代わりに俺の頼みを聞いてもらいたい」

「えー。でも……直属の上司でもないのに他部署の人間使うとは鬼っすね」

「仕事の頼みじゃない」

「え、じゃぁなんなんです?」

「奏太のストーカーを追い払ってくれ」

「はぁ?ストーカー??」

ここでざっと(サクラの件は伏せて)パーティーでのことと日下部によるストーカー行為について北山に説明をした。
あ、ちなみにこの間課長の部屋に泊まった後俺のマンションに来てもらったけど盗聴器はたぶん大丈夫だった。だけどポストの中に日下部からの手紙&写真が入ってた。姉ちゃんが受け取ったのと同じ、会社前を歩く俺と課長それぞれの写真の他になんと北山と俺が肩を並べて歩いてる写真もあった。

「うわ!これ俺じゃないすか!」

「そうなんだよ。お前も撮られてたんだよ」

「キンモ……鳥肌立った~!」

素直な感想を口にする北山に課長が言う。

「な?キモいだろ。それで君的にこいつはどうだ?イケそう?」

「んー、まぁ……悪くないっすね」

え……?悪くない……とは?

「北山。俺と奏太のためにひと肌脱いでくれ」

「しょうがないなぁ、どうせ俺も新木先輩にフラれて暇だし。いいっすよ!」

どうなってんだ?

「あの、どういうことですか課長」

「北山に日下部を落としてもらうんだよ」

「はぁ?!落とすって……」

「俺、変わった奴イケるくちなんで」

北山は端正な顔で爽やかに笑った。


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