Ωの不幸は蜜の味

grotta

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Ωの不幸は蜜の味(2)

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その後も俺は不幸な恋ばかりしてきた。
別に狙ったわけじゃないのに付き合ってみたらDV彼氏。浮気ばかりする男。ノンケへの片想い――。

オメガの友人に「一番好きな人より二番目に好きな人に愛されるのが幸せな結婚」と言われて、疲れていた俺はそうすることにした。
婚約者と付き合う前一番好きだったのは妻子持ちの上司で不倫だったし。

そんなわけで、俺のことが好きだからつがいになれなくても構わないと言ってくれたアルファと結婚することにした。
彼は優しいし俺のことを大事にしてくれた。
家族とも仲良くしてくれて、心底友人のアドバイスに従ってよかったと思った。

そして結婚式当日、婚約者のアルファは会場に来なかった。

俺の弟が運命の相手で妊娠させてしまったからと2人でバックれやがった。
やけに仲がいいとは思ってたけどまさか弟と寝てたなんて。

親は「お兄ちゃんなんだから我慢して」と謎の弟擁護をする始末――。
会場に来た列席者たちに頭を下げる俺の惨めさと言ったら……。
ふざけるなよ、頭を下げるのは婚約者と弟だろ?

一緒に住むつもりで契約したマンション、子どもたくさん欲しいってあいつが言うから4LDKにしたのに。分譲と迷って転勤があるかもしれないから賃貸にしたのは正解だった。しかし、既に鍵も貰って住み始めてるのに今さら解約なんて……。
帰宅して部屋の中をよく見ると婚約者の物はほとんどなく、俺が買ったものばかりだった。当然貴重品の類も、二人で新婚旅行用に買ったキャリーケースも煙みたいに消え失せていた。

もう痛むはずのないうなじのケロイドがじりじりと焼けるように感じた。

マンションの解約しに行くと、予想はしていたが敷金礼金違約金のことで不動産屋の担当と揉めた。それで直接マンションのオーナーとやり取りすることになった。

すると、なんの因果かオーナーが知り合いだった。


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