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25.【最終話】二人でキスの続きを
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彼は休む間を与えてくれず、項垂れた性器の後ろのプラグにまたもや手を伸ばした。
「あぅっ」
彼は外に出た取手の部分を掴み、ゆっくりと引き出した。柊一は体から力が抜け、抵抗もできずにただそれを見ていた。
すぐにまた彼はプラグの先端を浅く挿入する。入り口付近でクプクプとその動作を繰り返されると、自分で無理やり入れていた時とは違うむず痒さを感じた。
(なにこれ。気持ちいい……もっと、もう少し奥まで――……)
「ん……あっ、それ……きもちぃ……っ」
ただぐったりしていた柊一の反応が明らかに変わったのを見て京介はプラグをぐっと奥まで差し込んだ。
「あっ! ……んぅっ」
彼は奥まで入れたプラグをぐにぐにと回すように動かす。
「はぅっ……や、やめて……」
「気持ちいいね。ほらこっちも元気になってきた」
彼に言われて股間に目をやると、一度萎えていたものが再び勃ち上がっていた。
「あ……なんで……?」
「柊一、もっと奥に触っていい?」
京介がアナルプラグを引き抜いた。窄まりの縁を擦れて出ていく感覚にぞくぞくし、柊一はまた声を上げた。そして今度は彼の指が中に入ってくる。
「うぅ……っ」
「いいね。ちゃんとほぐれてるからすぐに二本入った」
しばらく指で内部を刺激され、同時にペニスも手で擦られる。未体験の強すぎる快感に柊一はシーツをぎゅっと掴み、目を閉じた。
「柊一、そろそろ入れてもいいかな?」
ふいに耳元で低く囁かれて柊一は目を開けた。
「あ……はい。もう、大丈夫です……」
柊一だけ必死でこの行為に耐えていると思っていたけど、自分を見下ろす京介も額に汗を浮かべていた。熱っぽい視線に見つめられ、それだけこの男に求められているのだと思うと気分が高揚する。
「ください……京介さんの――」
柊一の言葉が終わらないうちに口付けされた。厚めの唇が強く押しつけられるこの感じは癖になりそうだ。もう、女性とのキスで満足できる気がしない。
先程までプラグが差し込まれていた場所に、もっと太い物が入ってくる。圧迫感はあったが、柔らかくなったそこは彼のものを上手く飲み込んだ。
「全部入ったよ」
そして彼は柊一の顔を両手で包み込むとまたキスをした。柊一は彼が笑みを浮かべるのを見て安堵した。
(――俺にもちゃんとできた……)
しかしほっとしたのもつかの間、彼がゆっくりと動き始めた。
「あっ……」
「俺も気持ちいいよ。柊一、大丈夫?」
「大丈夫……」
本当はあまり大丈夫ではない。彼のものがアナルプラグなど比較にならないほど奥を刺激してきて、それがたまらなく気持ち良いのだ。
(初めてなのに、俺……)
「あっ、あっ! んんっ……」
グリグリと奥を擦るようにされると反射的に仰け反ってしまう。彼の厚い胸板が柊一の上半身を押し潰すみたいにのしかかってくる。その重みと、揺さぶられる振動で頭がおかしくなりそうだった。二人の熱い息が混じり合い、汗の滲んだ肌が擦れる。
美しい男の下で荒々しく揺さぶられる快感に柊一は溺れた。彼の動きが激しくなるにつれ、理性がすり切れて自分も相手に合わせ腰を揺らしていた。
「いい……気持ちいいっ……京介さん……」
「俺もだよ、柊一……こっちを見て」
彼に言われて閉じていた目を開ける。意志の強そうな黒い瞳を見つめると、彼も動きながらこちらをじっと見返した。
「君が、気持ち良くなる顔を見たいんだ」
彼の瞳が欲望に濡れ光るのを目の当たりにし、その色気にぞくっとする。彼は目を見たまま柊一のペニスを手にすると終わりを促すように扱いた。柊一は堪えきれずに声を震わせる。
「……いきそうっ……そこ、気持ちいい」
二人で見つめ合いながら、お互いの体を激しく擦り付け合うようにして達した。汗で滑る彼の首にきつくしがみつくと、京介も短くうめいて柊一の中で果てた。ビクビクと痙攣している体に彼はゆっくりと腰を押し付けるようにしてくる。彼の欲望がそれだけ強いものなのだと感じて熱いものが込み上げる。
程なくして脱力した京介が柊一に体を預けた。その重みが愛しくて、ぎゅっと抱きしめる。
息を弾ませながら彼が口を開いた。
「君のことが好きでたまらない……。俺のことも、できれば好きになって欲しい」
「京介さん、俺――あなたのことが好きです。たぶん最初に会った日から」
柊一の言葉を聞くと彼はムクッと体を起こした。
「本当に?」
「はい。最初にキスされたとき、戸惑ったけど気持ちが良かった。きっと俺、あの時からずっとこうされたかったんです」
すると彼が柊一の胸に額を擦り付けた。
「嬉しいよ……」
柊一はそんな彼の頭を撫でる。
「やっとゴマ太郎に勝てた気がする」と呟き、彼は棚に置いてあるぬいぐるみに人差し指を向け「見たか?」と言った。
情事の間とは違って、大きな口で彼が笑うとものすごく可愛い人に見える。
(こんなの、好きになるに決まってる)
「京介さん、キスしたい」
思わずそう言うと彼が嬉しそうに這い上がって柊一の唇をふさいだ。
そしてまるで大型犬がそうするように、ペロペロと舌で唇を舐め、その後派手な音を立てて顔中にキスしてくる。
(好きな人に思い切り愛情表現されるのって、こんなに幸せなんだ――……)
柊一は嬉しさのあまりキスを返した。すると彼が言う。
「柊一……俺はまだ教え足りないんだけど」
「え?」
「キスの続き。もう一回……」
眉を下げ、彼が甘えたような声で「だめ?」と尋ねる。こんな顔で懇願されたら、柊一は彼の要望を断ることはできない。
一見近寄り難いほどのいい男なのに、実は気さくで優しい。強引でせっかちな人かと思えば、不思議と甘えたがりなところのある彼。
柊一はそんな彼にキスの続きをもう少し教えてもらうことにした。
END
――――――――
あけましておめでとうございます。
新年早々の連続投稿、最後まで読んでいただきありがとうございました!
こちらは以前ショートショートとして公開した話を公募向けに短編の長さになるようリメイクしたものになります。
元々は恋の始まりを予感させるところで終わっていたのですが、続きを望むコメントいただき、せっかくなのでちゃんと結ばれるまで書いてみました。
結果受賞はなりませんでしたが、二人の恋が成就するまで書けたので良かったです♡
BL雑誌の公募なら現代物でもいいかなと思ったんですが、総評を見るに紙媒体でも特殊設定が求められているようで……オメガバースや転生、死に戻りなどのファンタジー設定じゃないと読まれないのかな??
そんな風に思いつつ、今回こちらで掲載してみたところたくさんの方に読んでいただけたので嬉しかったです。
ありがとうございました!
更新が停滞してますが現在Dom/Subユニバースの話を連載中です。
『隠れSubの俺は幼馴染の腹黒Domにこっそり催眠プレイで甘やかされていることを知らない』
こちらも良ければご覧下さい♪
「あぅっ」
彼は外に出た取手の部分を掴み、ゆっくりと引き出した。柊一は体から力が抜け、抵抗もできずにただそれを見ていた。
すぐにまた彼はプラグの先端を浅く挿入する。入り口付近でクプクプとその動作を繰り返されると、自分で無理やり入れていた時とは違うむず痒さを感じた。
(なにこれ。気持ちいい……もっと、もう少し奥まで――……)
「ん……あっ、それ……きもちぃ……っ」
ただぐったりしていた柊一の反応が明らかに変わったのを見て京介はプラグをぐっと奥まで差し込んだ。
「あっ! ……んぅっ」
彼は奥まで入れたプラグをぐにぐにと回すように動かす。
「はぅっ……や、やめて……」
「気持ちいいね。ほらこっちも元気になってきた」
彼に言われて股間に目をやると、一度萎えていたものが再び勃ち上がっていた。
「あ……なんで……?」
「柊一、もっと奥に触っていい?」
京介がアナルプラグを引き抜いた。窄まりの縁を擦れて出ていく感覚にぞくぞくし、柊一はまた声を上げた。そして今度は彼の指が中に入ってくる。
「うぅ……っ」
「いいね。ちゃんとほぐれてるからすぐに二本入った」
しばらく指で内部を刺激され、同時にペニスも手で擦られる。未体験の強すぎる快感に柊一はシーツをぎゅっと掴み、目を閉じた。
「柊一、そろそろ入れてもいいかな?」
ふいに耳元で低く囁かれて柊一は目を開けた。
「あ……はい。もう、大丈夫です……」
柊一だけ必死でこの行為に耐えていると思っていたけど、自分を見下ろす京介も額に汗を浮かべていた。熱っぽい視線に見つめられ、それだけこの男に求められているのだと思うと気分が高揚する。
「ください……京介さんの――」
柊一の言葉が終わらないうちに口付けされた。厚めの唇が強く押しつけられるこの感じは癖になりそうだ。もう、女性とのキスで満足できる気がしない。
先程までプラグが差し込まれていた場所に、もっと太い物が入ってくる。圧迫感はあったが、柔らかくなったそこは彼のものを上手く飲み込んだ。
「全部入ったよ」
そして彼は柊一の顔を両手で包み込むとまたキスをした。柊一は彼が笑みを浮かべるのを見て安堵した。
(――俺にもちゃんとできた……)
しかしほっとしたのもつかの間、彼がゆっくりと動き始めた。
「あっ……」
「俺も気持ちいいよ。柊一、大丈夫?」
「大丈夫……」
本当はあまり大丈夫ではない。彼のものがアナルプラグなど比較にならないほど奥を刺激してきて、それがたまらなく気持ち良いのだ。
(初めてなのに、俺……)
「あっ、あっ! んんっ……」
グリグリと奥を擦るようにされると反射的に仰け反ってしまう。彼の厚い胸板が柊一の上半身を押し潰すみたいにのしかかってくる。その重みと、揺さぶられる振動で頭がおかしくなりそうだった。二人の熱い息が混じり合い、汗の滲んだ肌が擦れる。
美しい男の下で荒々しく揺さぶられる快感に柊一は溺れた。彼の動きが激しくなるにつれ、理性がすり切れて自分も相手に合わせ腰を揺らしていた。
「いい……気持ちいいっ……京介さん……」
「俺もだよ、柊一……こっちを見て」
彼に言われて閉じていた目を開ける。意志の強そうな黒い瞳を見つめると、彼も動きながらこちらをじっと見返した。
「君が、気持ち良くなる顔を見たいんだ」
彼の瞳が欲望に濡れ光るのを目の当たりにし、その色気にぞくっとする。彼は目を見たまま柊一のペニスを手にすると終わりを促すように扱いた。柊一は堪えきれずに声を震わせる。
「……いきそうっ……そこ、気持ちいい」
二人で見つめ合いながら、お互いの体を激しく擦り付け合うようにして達した。汗で滑る彼の首にきつくしがみつくと、京介も短くうめいて柊一の中で果てた。ビクビクと痙攣している体に彼はゆっくりと腰を押し付けるようにしてくる。彼の欲望がそれだけ強いものなのだと感じて熱いものが込み上げる。
程なくして脱力した京介が柊一に体を預けた。その重みが愛しくて、ぎゅっと抱きしめる。
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(好きな人に思い切り愛情表現されるのって、こんなに幸せなんだ――……)
柊一は嬉しさのあまりキスを返した。すると彼が言う。
「柊一……俺はまだ教え足りないんだけど」
「え?」
「キスの続き。もう一回……」
眉を下げ、彼が甘えたような声で「だめ?」と尋ねる。こんな顔で懇願されたら、柊一は彼の要望を断ることはできない。
一見近寄り難いほどのいい男なのに、実は気さくで優しい。強引でせっかちな人かと思えば、不思議と甘えたがりなところのある彼。
柊一はそんな彼にキスの続きをもう少し教えてもらうことにした。
END
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あけましておめでとうございます。
新年早々の連続投稿、最後まで読んでいただきありがとうございました!
こちらは以前ショートショートとして公開した話を公募向けに短編の長さになるようリメイクしたものになります。
元々は恋の始まりを予感させるところで終わっていたのですが、続きを望むコメントいただき、せっかくなのでちゃんと結ばれるまで書いてみました。
結果受賞はなりませんでしたが、二人の恋が成就するまで書けたので良かったです♡
BL雑誌の公募なら現代物でもいいかなと思ったんですが、総評を見るに紙媒体でも特殊設定が求められているようで……オメガバースや転生、死に戻りなどのファンタジー設定じゃないと読まれないのかな??
そんな風に思いつつ、今回こちらで掲載してみたところたくさんの方に読んでいただけたので嬉しかったです。
ありがとうございました!
更新が停滞してますが現在Dom/Subユニバースの話を連載中です。
『隠れSubの俺は幼馴染の腹黒Domにこっそり催眠プレイで甘やかされていることを知らない』
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そうなんですね!教えてくれてありがとうございます😊早速読ませて頂きます❗️
そうなんです〜!
そういえば謎のオメガバースもどき設定があるので、もし特殊設定もの苦手だったらすみません🙏💦
完結おめでとうございます!
お互いの感情がすれ違っててもどかしい気持ちで読み進めていましたが、無事結ばれて幸せ〜な気持ちになりました♡戸惑ったり迷ったりしているのは柊一のほうだけなのかな?と思いきや、京介の抱えるトラウマが強くて、驚きでした。これからは過去に囚われずに愛を育んで欲しいです♡♡そして、妹ちゃんグッジョブですჱ̒⸝⸝•̀֊•́⸝⸝)
亜沙美さーん!ありがとうございます😭🙏読んで下さったんですね✨
京介のトラウマが最後いきなり出てくるのは本当は後出しみたいでよくないなと思いつつ…実は過去作に当て馬として出ていたのが京介だったんですね。で、ワケアリな男だってことにしちゃいました😂
今回の話でハッピーエンドにしてあげられたので良かったなと思っております♡
とても面白かったです❣️続き書いてくれないかなぁと思ってた作品だったのでとても嬉しいです😊前彼の話しも書いてくれたらいいなと思います😁
みーさん、ご感想ありがとうございます!
ショートショート版から読んで下さってたんでしょうか😆嬉しいです✨
前彼の話なんですが、実は前彼が主人公の過去作がありまして。
『セックス依存症の精神科医がスパダリCEOと結ばれるまで』
というかなり初期の短編の中に「名取」という男性が脇役で出ています。←下の名前すら出てこないモブ
たった2話しか出てこなくてすぐいなくなるんですが、いい人なのにかわいそうだから幸せにしてあげたいなーって思って今回「京介」と名付けて復活させた次第です。
(セックス依存症の〜の13話目「初対面」という話に出てきます。もしよければ覗いてみてください♪)
※そのままだと年齢が合わないんですが、今回の話ではちょっと京介を若く設定し直しました。